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「ブドウ以外のものを使わず、ワインを造る」。山形県南陽市のワイナリーGRAPE REPUBLIC、初となる国際品種のワイン造りへの挑戦

著者: 株式会社グレープリパブリック


山形県南陽市に醸造所をもつGRAPE REPUBLIC(株式会社グレープリパブリック)は、2023年4月に新商品「Cabernet Franc 2021(カベルネフラン 2021)」をリリースしました。本商品はGRAPE REPUBLICが初めてカベルネ・フランを主要品種にした赤ワインで、醸造所がある山形県置賜(おきたま)地域の小川農園が育てたカベルネ・フランを使っています。


私たちが大切にしてきた土地の個性「テロワール」(その⼟地固有の個性を表現する⾔葉)という考えや「Made of 100% Grapes」のワインに対するこだわり、当社初となる国際品種でのワイン造りへの挑戦について、Cabernet Franc 2021開発者でありGPARE REPUBLIC醸造責任者の矢野陽之が語ります。



「テロワール」を第一に、地域に根ざしたワイン造りをおこなう


GRAPE REPUBLICは、土地ごとの気候、地勢、土壌のみならず、そこに暮らす人や、人々が育んできた文化を含めた「テロワール」という概念を第一に考えたワイナリーです。ワインの原料となるブドウも、GRAPE REPUBLICの醸造所がある山形県南陽市周辺地域の風土を生かして作られたワイン用ブドウが中心です。


私はもともと料理人で、イタリアではソムリエも兼任していました。そこでワインの奥深さを知り、ワイン造りの道に進むことに決めました。オーストラリアやニュージーランドでブドウの栽培や醸造について一から学ぶなかで、ある醸造家から紹介を受けてGRAPE REPUBLICに就職しました。


ワインの世界では、前述の「テロワール(Terroir)」というフランス語をよく使います。古くからフランスをはじめとするヨーロッパでは、このテロワールがワインの味の違いに大きく影響をもたらすと考えられています。GRAPE REPUBLICがある南陽市にはヨーロッパの街並みこそないものの、食や生活の知恵、生きていく上での技、コミュニティのつながりなど、地域に根差した文化があると感じています。



土壌の強みを活かし、果実の味で勝負。ブドウ以外のものを使わない


また私たちは2017年の設立以来、一貫して“Made of 100% Grapes”という言葉を掲げてワインを造り続けています。これは「ブドウ以外のものを使わず、ワインを造る」という意味で、醸造の過程では酸化防止剤を使用せず、補糖や補酸もおこなわず、酵母は天然のものだけにこだわっています。この姿勢は、ワインの原料になるブドウの栽培においても一貫しており、自社畑では除草剤や殺虫剤をはじめとする農薬等は使用せず、有機栽培を行っています。


酸化防止剤を使っていないため、ブドウをバクテリアから守るためにブドウ自身の酸が強めであることが重要なのですが、これは寒冷な産地でないと難しいことです。また有機栽培なので湿度が高いとブドウが病気になりやすくなってしまいます。私たちの畑がある土地は1日の寒暖差が大きく、風が湿気を飛ばしてくれるうえ、水はけも良い土地です。ブドウにとっては過酷ですが、いろいろな条件から見て、ワイン造りに適した土壌と言えます。


ワイン造りは料理に似ています。私は畑と醸造所のことを「大きなキッチン」だと考えています。土壌を活かしながらワインを造ろうと思った結果、有機栽培によるブドウ作りに行き着きました。


設立前から育てていたブドウは、2015年に100kgの収穫量でしたが、、周囲の契約農家の協力もあり、2019年には60tにまで増えました。また2020年には約1.5haの自社ぶどう園を増設し、今後は新品種を加え収量100t以上10万本のワイン造りを目指しています。



世界の主流、国際品種で造るワインを造りたい


GRAPE REPUBLICではこれまで、生食用品種として知られ、ワイン用ブドウとしても栽培されるデラウェアやナイアガラ、スチューベンなどを使ったワイン造りをしてきました。それは、私たちの醸造所がある山形県置賜(おきたま)地域が、もともと生食用のブドウを栽培していたためです。



これらのワインは、軽やかで飲みやすく和食にも合わせやすい一方で、グローバルなワイン市場で見れば主流とはいえません。国内外のワインラヴァーは、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなど、国際的に主流とされるブドウで造られたしっかりと強いワインを好む傾向にあるからです。


実は、ヨーロッパなどの気候に比べ高温多湿な日本では、国際品種の栽培が難しいという課題がありました。しかし近年は日本に適した品種の選定や、育成技術などの成熟もあり、国際品種の栽培面積が増加しています。


私たちGRAPE REPUBLICにとっても、これまで積み重ねてきたデラウェアなどの品種で造ったワインとともに、国際品種のワインを両立して造ることは長年の課題でした。



国際品種「カベルネ・フラン」の生産に乗り出す


国際品種のワイン造りを始めるにあたり注目した品種が、世界中で知られる国際品種「カベルネ・フラン」です。カベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった世界的に知られる黒ブドウ(赤ワイン用ブドウ)の元になった品種で、世界中で栽培されています。フランスのロワール地方やボルドー地方などで多く栽培されており、フランスで6番目に広い栽培面積を持つ赤ワイン用ブドウ品種でもあります。



このカベルネ・フランは比較的早熟で冷涼地でも完熟しやすいのが特徴で、以前からこの特徴が置賜地域に合うと感じていました。実際、置賜地域の他の畑では、すでにカベルネ・フランを栽培している農家さんもいらっしゃいました。


ある日、GRAPE REPUBLICの契約農家である「小川農園」(山形県高畠町)の小川徹さんにカベルネ・フランのことを話したところ、「カベルネ・フランの苗木が欲しい」と申し出てくれました。小川さん自身も国際品種の栽培を検討するなかで、「カベルネ・ソーヴィニヨンは完熟するのが遅く、冬が来る前に収穫できるような、置賜地域での栽培にもっと適した品種があるのではないか」と考えていたからだそうです。


農園の全面協力があったからこそ、できたワイン


小川さんは、とても研究熱心な方です。とても知識が豊富なので、GRAPE REPUBLICの自社畑のことでも相談させてもらうほど。カベルネ・フランの栽培も、やり方を毎年変えて試行錯誤してくれました。



2018年春に植えた苗木は、4年目の2021年10月にようやく0.6tを収穫できるようになりました。今回リリースしたのは、この初めて収穫されたカベルネ・フランを醸造したファースト・ヴィンテージです。小川さんと一緒でなければ、こんなにも早くカベルネ・フランのワインを造ることはできなかったと思います。


カベルネ・フランを使った初めてのワイン造り


カベルネ・フランは2021年10月10日に収穫し、その日のうちに醸造所内で除梗(房の実をつないでいる部分「果梗」を取り除くこと)し、ブドウの実を皮ごとアンフォラ(素焼きの壺)に入れ8日間発酵させました(スキン・ファーメント)。圧搾し、できた果汁をステンレスタンクに移し更に3週間発酵した後、春までステンレスタンク内で熟成させています。滓引き(おりびき)した後、7月までさらに熟成し、瓶詰めしました。これを半年置いた後、リリースしています。



フレッシュなブラックベリーに紅茶のような香ばしさ。青いニュアンスも



カベルネ・フランはまだ4年目なので若木ですが、しっかり深いワインができました。とくに2021年は、9月末から10月にかけて雨が降らなかったので、しっかり糖度があがって熟すことができました。プラムのような果実感がありながら、ゴボウのような青いニュアンスもあり、清涼感があると思います。


「サローネグループ」エグゼクティブ ソムリエの野田俊輔から、テイスティングコメントを一部ご紹介します。


◆香り&味わい

香りはフレッシュなブラックベリーに紅茶のような香ばしさも加わった複雑な印象。味わいはほどよい酸味と心地よい青みが広がり、余韻にはやわらかなタンニンを伴います。


◆温度とグラス

温度が上がり過ぎないように保冷して召し上がることをオススメします。グラスは中程度のもので、形状はボルドー型に近い方が味わいのメリハリが感じられます。


◆料理の組み合わせ

ワインの特徴的な香ばしさや、しなやかな味わいを活かして、薫香を感じる料理、また青みや土の香りのある野菜などをオススメします。


これからも、GRAPE REPUBLICでは日本ならではの繊細な風味のブドウを武器に、国際的に認知されているブドウ品種も材料に加えながら、山形県南陽市でしか造りえない土地の個性を表現していきます。


■商品概要

商品名:Cabernet Franc 2021(カベルネフラン 2021)

定価:3,960円(税込)

タイプ:赤ワイン(果実酒)

生産者:GRAPE REPUBLIC

生産地:山形県南陽市

ブドウ生産者:小川徹(小川農園、山形県高畠町)

ブドウ品種:カベルネ・フラン Cabernet Franc 88%、カベルネ・ソーヴィニヨン Cabernet Sauvignon 12%

アルコール分:11.5%

内容量:750ml

URL:https://shop.grape-republic.com/c/item/cat_wine/GRC1082




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