三郎丸蒸留所から生まれた日本初のスモーキーハイボール缶、累計販売本数100万本達成! 開発の裏側と「本格」へのこだわり
若鶴酒造株式会社が2019年3月に日本で初めて開発したスモーキーハイボール缶「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」が、2023年2月に累計販売本数100万本※1を突破した。原酒、炭酸、パッケージデザイン、全てにこだわった逸品であり、大手メーカーではなくクラフト蒸留所から生まれたということにも関心が集まる。今回はその開発の裏側を振り返る。
開発者 稲垣貴彦 プロフィール
若鶴酒造株式会社 代表取締役CEO 三郎丸蒸留所ブレンダー&マネジャー
1987年生。2015年、実家富山に戻り曾祖父稲垣小太郎が1952年に始めたウイスキー造りを引き継ぐ。2017年、クラウドファンディングにより三郎丸蒸留所を改修し再興。2019年 伝統工芸高岡銅器の技術を活用した世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」(特許第6721917号)を発明。世界のウイスキー専門誌ウイスキーマガジンの表紙を飾る。
2022年、日本初のジャパニーズウイスキーボトラーズ「T&T TOYAMA」を設立するなどジャパニーズウイスキーの産業の発展のため幅広く活動している。
「スモーキー」を潜在的に望んでいる顧客は多い
三郎丸蒸留所の稲垣がハイボール缶を構想し始めたのは17年の年末だった。飲料缶をはじめさまざまな容器を開発・製造する東洋製罐株式会社に相談をし、テストパックを行ったのが18年7月、発売が翌年3月であるので、開発期間は1年あまりということになる。今でこそスモーキーなハイボール缶がいくつか販売されているが、当時ハイボール缶は大手メーカーの商品しかなく、スモーキーを打ち出した商品は皆無だった。やはり多くの人に受け入れられることを優先すると、個性的な商品は生まれにくい。一方、稲垣自身はスモーキーなウイスキーで作ったハイボールが好きで、そういうものを潜在的に望んでいる方は多いのではないかと気付いたことが、アイディアのきっかけとなった。
ハイボール缶ならではの難しさ。特別なブレンドを行った原酒
ハイボールの作り方はなかなか難しいもので、バーテンダーが作るハイボールと居酒屋のハイボールはまったく違うのだそう。もちろん従来の缶のハイボールもバーで飲むハイボールとは別物である。バーの本格ハイボールを、缶で手軽に多くの人に飲んでもらえたらという思いがあったという。
原酒のブレンドにもハイボール缶ならではの難しさがあり、ボトルのウイスキーを使った作りたてのハイボールとあらかじめ割ってあるものでは、同じ原酒を使っていてもまったく違う味になってしまう。
またハイボールの魅力は爽快な飲み口にあり、通常の原酒ではウイスキーの味わいの方が負けてしまう。だからこそ、かなりスペックの高いウイスキーを使い、ハイボール缶のためだけにブレンドを行った。ハイボール缶でスモーキーな香りや個性ある味わいを出すための原酒構成には苦労した。
炭酸ガスのボリュームを、細かく調整して検討した
缶に充填する炭酸ガスのボリュームにも、とてもこだわっていた。強炭酸になるだろうという思いはあったが、飲んだときにどう感じるかを追求して検討を重ね、現場でガスボリュームを0.2ずつ上げながら試飲を繰り返していったのだという。ガス圧は繊細なパラメータなので、細かく調整して検討できたのは東洋製罐社の技術力があったからだと感じている。現場で細かくガスボリュームを詰めていくというのは、稲垣にとって初めての貴重な経験だった。
そこで気がついたのは、原酒の濃さによって、炭酸の感じ方も違うということである。アルコール度数が高いほど強い炭酸と渡り合える。だからアルコール度数も、ガスボリュームと並んでかなり悩んだポイントだ。最終的には度数9%で商品化されたが、そこに至るまで、いろいろな度数でハイボールを作りながら試行錯誤した。9%という数値はハイボール缶としては高いのだが、バーのハイボールも度数が高い。そこを目指した結果である。
こだわった「黒」のパッケージデザイン
味もアルコール度数も従来とは一線を画したものだったが、パッケージデザインもまた挑戦的なものであった。黒いハイボール缶というのは斬新で、ハイボールと言えば黄色のイメージが定着していた。クラフト蒸留所として初めて世に出すハイボール缶、価格も大手ハイボール缶の倍近くである。
いかに手に取ってもらえるか、高級感を感じてもらえるかという点で、パッケージデザインも非常に重要であった。デザインを担当されていたアートディレクターとも打合せを重ね、発泡インキでの印刷を提案した。ざらざらとした質感を出すことができる手法で、上質さを感じる手触りになったが、この質感もなかなか苦労した。発泡インキを盛るほど質感は高まるが、その特性上、インキが剥がれてしまうリスクが出てしまう。そのバランスを追求して、最大限まで質感を出すことができたと思っている。
それからもうひとつ、缶にデザインされた三郎丸蒸留所の外観画像だ。これがかなり細かいもので、それを精確に表現するのも課題だった。現場で実際に印刷したものを何度も校正をした。重ねながらひとつのものを作り上げたというのは、とても大きな経験となった。
三郎丸蒸留所外観
製造者の予想を上回る売れ行き
こうして完成した三郎丸蒸留所のハイボール缶は、発売以来好評を博している。製造者の予想を上回る売れ行きで、一時は販売調整をしなければならない状況にもなったほど。やはりスモーキーな本格ハイボールを缶で楽しみたいと潜在的に感じていた方々が多くいたということだ。嬉しいことに、このハイボール缶が三郎丸蒸留所を知るきっかけになったという方も多い。ハイボール缶で知って蒸留所に見学に来たという方もたくさんいらっしゃった。
クラフト蒸留所から発信。日本のウイスキー文化をより豊かで奥深いものに
2022年11月からは「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」としてリニューアルされた。世界初鋳造製蒸留器「ZEMON(ゼモン)」を稲垣が開発して3年が経過し、「ZEMON(ゼモン)」で作ったウイスキー原酒が使えるようになったタイミングで、これまで以上に三郎丸の名を前面に出していくようになった。日本初のクラフトハイボール缶、前例のないスモーキーハイボール缶に挑戦した目的は、大手メーカーではない、クラフト蒸留所が作るウイスキーの存在をさらに多くの人に知ってもらうことである。ハイボール缶なら、たくさんの人に手軽に親しんでもらえる。当時に比べれば、日本にもクラフト蒸留所がどんどん増えている。他の蒸留所からも、それぞれの個性を活かしたハイボール缶が出てきたらおもしろいな、と思っている。そうすれば日本のウイスキー文化はより豊かで奥深いものになっていくだろう。
世界初鋳造製蒸留器「ZEMON(ゼモン)」
※1 2019年3月の発売からの累計本数換算
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詳しくはこちらをご覧ください。
若鶴酒造公式ホームページ内、キャンペーン専用特設ページ
https://www.wakatsuru.co.jp/saburomaru/campaign/craft_highball_05.php
【会社概要】
社名:若鶴酒造株式会社
本社所在地:富山県砺波市三郎丸208
代表者:稲垣貴彦
事業内容:製造業
HP:http://www.wakatsuru.co.jp/
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