食品ロス削減も、地域・社会への貢献も。高知のマーケティング会社が全国のスーパーとともに展開する「もぐもぐチャレンジ」とは
株式会社アッシェは高知県発のマーケティング会社です。アイデアの力で企業課題や社会課題を解決することを強みにしており、社会にハッピーの連鎖をつくることをビジョンに掲げています。
アッシェは持続可能な社会の実現を目指し、2019年よりスーパーマーケット向け食品ロス削減プログラム「もぐもぐチャレンジ」をスタートしました。地元・高知県内のスーパーマーケットで試験的に始めた取り組みが話題を呼び、現在国内のスーパーマーケット約300店舗で実施されるまで至りました。本取り組みを行うに至った背景や現在の展開状況、今後の展望をお伝えします。
高知発・マーケティング会社が食品ロス削減に取り組む理由
高知県発のマーケティング会社、株式会社アッシェ。事業基盤としてデジタルマーケティング支援(WEBサイト制作、広告制作・配信、SNS運用、動画制作)、EC運用、食品ロス削減事業を手掛けており、高知本社ではカフェの経営もしています。
会社の成長戦略として掲げているキーワードが「社会貢献」です。高知県は全国でも3番目に人口が少ない県であり、人口減少によって様々な社会問題が発生しています。働き手の減少、後継者不在による事業撤退、観光地や商店街の衰退など・・・高知でビジネスを営み、高知の皆様に支えられてきた弊社は、自社の強みであるマーケティングソリューションを通じて地域活性化に貢献できる企業になりたいと考えています。
その考えの下、現在は「社会貢献」に挑むための2つのチームを構えています。1つ目は、『ソーシャルグッド事業部』。地元高知県のクライアントに対して地域の資源価値を高めるためのブランド作りの提案を行うなど、クライアントビジネスを通じた社会貢献を目指すチームです。2つ目は、『ソーシャルイノベーション事業部』です。スーパーマーケットにおける食品ロスを減らすため、自社で食品ロス削減事業を運営しているチームです。
食品ロス削減事業は2019年よりスタートしており、現在、ビジネスを軌道に乗せるために注力しているエリアです。マーケティングカンパニーであるアッシェが手掛ける意義は、スーパーマーケットの皆様も、エンドユーザーであるお客様も巻き込み、広がりのある取り組みにできることにあると考えています。そのため、シンプルでユニークな革新的アイデアで食品ロス問題に挑む必要がありました。
「お客様参加型」フードロス削減プログラムが起案された理由
日本では、まだ食べることができるにも関わらず捨てられている食品は1年間でおよそ522万トンあると言われています(農林水産省 令和2年度推計値)。一方で、世界や日本国内においても貧困や自然災害などの影響で満足に食事をとることができない人が存在します。こうした食の需要と供給のバランスを見直し、同時に地域の方々と「おいしく、楽しく」食品ロスの削減を行っていこうという取り組みが「もぐもぐチャレンジ」です。
「もぐもぐチャレンジ」は、対象のスーパーマーケットで賞味期限・消費期限が迫った商品に貼られたシールを集めることで、気軽に食品ロスの削減に貢献でき、寄付や抽選にも参加することができる、お客様参加型の社会貢献プログラムです。
このプログラムが始まったきっかけは、デジタルマーケティングの提案でお付き合いのあった地元スーパー、サニーマートさんへの提案でした。2018年2月、恵方巻の廃棄問題が大きく報道されるニュースを目の当たりにし、スーパーマーケットにおける食品ロスの存在を知りました。食品ロス問題は、まだ食べられる食品が捨てられることだけが問題なのではなく、廃棄されたゴミを輸送・焼却するための費用がかかり、さらには燃やすことで生じる温室効果ガスによる環境負荷があることなど、様々な問題が関連しています。アッシェでもこの食品ロス問題に対して貢献できることがないかと考え、サニーマートさんにご提案するためのアイデアを作り始めました。
「シール」を集めること自体を楽しめるプログラムとして設計
スーパーマーケットは日々多くのお客様が訪れる買い物先であり、生活や地域に欠かせないお店です。毎日のように足を運ぶスーパーマーケットで様々なお客様が気軽に参加することができ、食品ロス問題を自分ゴト化してもらえるような活動にできれば、一過性ではない継続的な活動となり、大きな効果を描けると考えました。そして、押し付けるような活動にするのではなく、お店で働くスタッフもお客様も、楽しみながら食品ロスをなくしてゆけるプログラムを検討することも大切であると考えました。
そこで生み出したのが、オリジナルキャラクター「もぐにぃ」です。日本は、言わずと知れたキャラクター大国です。食品ロス問題を「もぐにぃ」というキャラクターと一緒に、楽しみながら解決することができるアイデアにしました。
また、多くの人に参加してもらえるメカニズムとして、「シール」を活用したアイデアにしました。シールを集めて参加する企画であれば誰でも参加することができ、継続的な活動にすることができます。また、シールを集めること自体も楽しい体験です。
その2つのアイデアを掛け合わせ、賞味期限・消費期限が迫った商品にもぐにぃのシールを貼り、食品ロスをお客様とともに減らす活動「もぐもぐチャレンジ」をご提案。サニーマートさんにご採用いただき、食品ロス削減プロジェクト「もぐもぐチャレンジ」が2019年2月にスタートする運びとなりました。(当初は「もぐもぐプライス」を略した「もぐプラチャレンジ」という企画名でスタートしました)
活動が話題となり、他のエリアのスーパーマーケットへ拡大
試験的に1店舗でスタートした「もぐもぐチャレンジ」は、狙い通りの成果が得られました。お子様連れのファミリー層がメインのユーザーとして参加され、シール集めを楽しむことで気が付いたら食品ロス削減に貢献しているという気軽さがうけ、「すばらしい取り組み」「かわいい」「押しつけがましくないところがいい」といったご評価をいただきました。
試験導入に際して、店舗のスタッフ様からは「シールを貼る手間が増える」という懸念の声も上がっていました。しかし、試験導入をした店舗での廃棄額の前年比が大きく改善され、廃棄にかかる手間も削減されたため、他の店舗への導入を決断をしていただきました。
サニーマートさんでの展開後、他のスーパーマーケットにその評判が行き届き、様々なエリアのスーパーマーケットに拡大しました。四国から始まり、中国、関東、北海道、関西と徐々に実施エリアが拡大してゆき、2023年5月末時点でおよそ300店舗で実施されるまでに活動の輪が広がりました。
自治体と連携した食育活動の展開
アッシェは、スーパーマーケットでの「もぐもぐチャレンジ」の展開と並行して、自治体と連携した食育活動にも力を注いでいます。多くの自治体では食品ロス問題の対策を講じており、スーパーマーケットでの「もぐもぐチャレンジ」との連携による相乗効果が期待できるためです。
高知県の四万十町においては、2021年にSDGs推進に向けた連携協定を締結し、食品ロス削減事業の産官学連携モデルとして、小学校や幼稚園での食育授業や食育イベント、食育教材の開発・配布など、様々な協業による検証を重ねています。
また、2023年には大阪府交野市にあるこども園でもぐにぃが登場する食育イベントを実施し、食育に関する絵本の読み聞かせや、もぐにぃと一緒に踊るオリジナルダンスを園児たちと共に楽しみました。イベント実施後、近隣の「もぐもぐチャレンジ」実施店舗では「もぐもぐチャレンジ」に対するお問い合わせ件数が増えたそうです。
もぐにぃのファンを増やしてゆく観点でもこういった草の根活動は大切なことであると考えており、今後も「もぐもぐチャレンジ」実施店舗の拡大とともに、自治体と連携した食育活動も手掛けてゆきたいと考えています。
もぐもぐチャレンジ参加者の81%が、食品ロス問題への意識変化を実感
「もぐもぐチャレンジ」の効果を検証するため、2023年2月、インターネット上で消費者調査を実施しました。対象者は20〜59歳の男女、「もぐもぐチャレンジ」実施店舗・非実施店舗を1か月以内に利用したお客様です。
どんなお客様が参加されているのか、どういった目的で参加されているのか、参加することでどんな変化が起こっているのか、様々な観点で調査を行いました。その中で注目すべき調査結果は、参加者の「意識変化」の大きさでした。
「もぐもぐチャレンジ」参加者の81%が食品ロス問題への意識変化を実感していると回答しており、他にも、環境問題やSDGsへの意識変化まで波及していることが分かりました。「もぐもぐチャレンジ」実施店舗を増やし、参加者を拡大してゆくことで、スーパーマーケットでの食品ロスを減らすだけではなく、家庭や飲食店における食品ロスの削減につながることまで考えられます。影響の大きさを考えると、とても意義深い「チャレンジ」になるのではないかと思わされました。
<調査結果の詳細>
もぐもぐチャレンジの挑戦は、まだ始まったばかり
2019年、高知から始まった「もぐもぐチャレンジ」の挑戦は、まだ始まったばかりです。全ての都道府県でスタートすることを目標に掲げ、現在、全国のスーパーマーケットへのご提案を重ねています。
一方、SDGsでは2030年までに達成する目標を掲げており、残りの期間も短くなってきました。地球環境への負荷を減らす行動はいち早く求められており、待ったなしの状況です。
日常のスーパーマーケットでの買い物で、楽しみながら食品ロスを減らす活動に参加できる「もぐもぐチャレンジ」は、お客様・スーパーマーケット・地域社会や地球環境といった関係者全てがハッピーになれるアイデアです。もぐにぃのともだちになり、活動を応援していただけたら幸いです。
■「もぐもぐチャレンジ」ホームページ
もぐにぃ公式サイト:https://mognny.fun
スーパーマーケット様向けサイト:https://mognny.fun/program/
もぐにぃ公式Twitter:https://twitter.com/mognny_
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