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「職人は店で寿司を握るだけ?」歴30年の寿司職人が大病を乗りこえて掴んだ日本一の称号。その裏にある、視野と可能性を広げる三崎恵グループの社風

著者: 株式会社 三崎恵水産

私たちは、神奈川県三浦市の城ヶ島で55年続くまぐろ専門の卸問屋です。「豊かな魚食文化をつなぐ」をミッションに掲げ、飲食店にまぐろを卸したり、ご家庭で安心安全なまぐろが気軽に食べられるように無添加加工品の製造・販売をしたりしています。


さらに、グループ会社である株式会社ネオ・エモーションでは「グルメ回転寿司」の業態を中心に11店舗展開しており、毎日職人がお客様の目の前で三崎まぐろの寿司を握っています。漁師や職人に支えていただきながら、まぐろと地球の未来を少しでも良くしたいと日々試行錯誤している三崎恵グループです。


先日、ネオ・エモーションに勤める職人が、全日本回転寿司MVP選手権の最優秀賞を受賞しました。


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喜ばしいニュースに社内は大盛り上がりでしたが、この結果の裏側には、無くしては語れない出来事が。3年前、彼は大病を患い、一時は寿司が握れない状態になっていたのです。30年間寿司に入魂してきたひとりの職人が再起し、輝かしい結果を手にするまでの過程には、支えてきた仲間や家族の存在がありました。そして、多くのメンバーが部署や職種を越えて活躍する土台となっている、グループ全体として大事にしている思想についても併せてご紹介します。

修行のはじまりは16歳、大好きな寿司一筋でやってきた


今回日本一の寿司職人に輝いた矢後潤一郎。現在、まぐろ問屋 三浦三崎港 恵み 渋谷ヒカリエ店で副店長を勤めています。寿司職人を目指すきっかけを聞いてみました。


「幼い頃、実家で来客があるときに寿司を頼むことがあったんですが、お客さんが帰った後にお重の中を見るとかっぱ巻きやかんぴょう巻きが一切れくらい残っていたんですよ。それをこっそりつまんでいた思い出があって。僕はお小遣いもなかったので早く働きはじめたかったのですが、働くなら寿司屋がいいなと思って16歳のときに近くの寿司屋で働きはじめました」


アルバイトをはじめた店には、かつて銀座の高級店で花板(板前の責任者)を務めていた職人さんが働いていたんだそう。運良く腕のいい職人に付いて教えてもらえたといいます。


「元々頭よりも身体を使う仕事がいいと思っていたので、高校も工業高校の土木科だったんです。それで一度は寿司屋を辞めて土木関係に就職したんですが、やっぱり寿司がいいとすぐに戻りましたね」


(柔らかい雰囲気でスタッフからの信頼が厚い矢後)


その後、修行を重ね25歳でネオ・エモーションに入社。27歳の時、共通の知人からの誘いがあって一度は独立するも、リーマンショックや奥様の妊娠などがあり4年ほどで閉店を決意しました。


「独立したときはまだ若かったしいろんな人に止められましたけど、後悔したくなかったんです。50歳くらいで独立のタイミングが来たとして、金銭的な余裕はあるかもしれないけれど、さあやるぞと強い気持ちになれるか自信がなかった。結果、すごく良い経験でした」


その後、専務の誘いでネオ・エモーションに戻り、店舗の立ち上げや複数の現場を経て、渋谷ヒカリエ店へ。開店から店長としてお店を守ってきました。

「徐々に力が入らなくなった」、頚椎椎間板ヘルニアとの闘い


「病気が判明したのはちょうどコロナ禍に入った頃でした。肩周りの痛みが出はじめて徐々にひどくなり、最初は整骨院に行ったんですよ。通っても悪化する一方で『うちでは難しい、ちゃんと検査したほうがいい』と言われて、整形外科でMRIを撮ったら頚椎椎間板ヘルニアだと診断されました」


いくつか病院を周り、レーザー治療ができる病院を発見。骨の移植という大手術は避けられましたが、「握力が戻るかどうかはわからない」と言われ、絶望的な状況。小さい醤油皿すら持てなくなり、最終的に握力は幼稚園児ほどに。左半身がほとんど動かなくなり、精神的にも辛い日々が続きました。


「リハビリの成果もあって1年弱で現場には戻りましたが、体力的にも精神的にもすぐに完全復帰とはならず、これまで通り働けるようになったのは実は最近のこと。1日働けなかったり、途中でまた休職したりを繰り返しながら、3年くらいかかりましたね……」


(矢後とは公私ともに10年ほどの付き合いで、よく食事をする仲でもある幸喜)


隣でインタビューに付き添っていたのは本社マネージャーの幸喜(こうき)。


「ようやく矢後さんの調子が戻ってきていたこともあって、今回会社側から大会出場を推薦しました。矢後さんは第1・2回大会に出場した過去があって、第2回では審査員賞も受賞している実力があります。でもそれ以上に今回は自信を取り戻してほしかったんです。落ち込んでいる様子もずっと見てきましたから」(幸喜)


推薦と立候補で集まったメンバーから社内選考会で正式に矢後が選ばれてから、会社一丸となって矢後をサポートする日々が始まりました。

「大会に出るつもりはなかった」、背中を押され三度目の挑戦を決意


「僕自身は、大会に出るつもりはなかったんです。でも推薦してもらって、いざ出ると決まったら『やるしかない』という気持ちになって。病気してからなかなか調子を上げてこられなかったなとか、会社のみんなが背中を押してくれていることとか、いろんなことを思いながら日に日に気持ちも入ってきて。奮い立たせてました」(矢後)


第1・2回大会の出場時に取れなかった最優秀賞へのリベンジでもあります。


「会社からは『最低でも優勝ね』と言われてましたから、ちょっとプレッシャーもありましたが...... 実力を出せるようにどれくらい落ち着いてやれるかだなと。でも本番はあまり緊張しなかったです。結果が出たとき、嬉しかったのはもちろんですが、もう感謝しかなかったですね。それに尽きます」(矢後)



サポートしていた周囲のスタッフからも温かいコメントが。前回大会に出場するも敗れ、今回、立候補するも社内選考会で落ちてしまった村山からも激励が届いた。


「練習に付き合わせてもらい、矢後さんは周りの意見を何でも受け入れ常に前向きに練習に臨んでいたのが印象的です。今回で3度目の出場。3度目の正直という言葉が本当に存在したのを間近で見られ感動しましたし、私も来年の出場へ向けて再度火がつきました。沢山の苦難を乗り越えての優勝、心からおめでとうございます!」(村山)


三崎恵グループの社長・石橋は、当日他の仕事を終えて急いで駆けつけました。


「社長、『本当に勝っちゃったよ』って言って喜んでましたね。嬉しかったです。配信で見ていた家族も、電話越しでおめでとうと言ってくれて」(矢後)


(大会時にもらった家族からの手紙には「いつも尊敬しているよ、パパなら大丈夫」と温かい言葉が)


「幸喜さんにもそうですし、他の方にも会社にも、本当に感謝しています。大会に関してもそうですが、自分の入院中、病状に進展がなくても毎月かならず面談しに来てくれていて。『もうちょっと休んだほうがいいね』と言ってくれたり、支えられました」(矢後)


「本部では、いつでもどの店舗でも矢後さんを受け入れられる体制を整えていた感じです。復帰できてよかった。グループ会社である三崎恵水産は、元々家族経営からはじまった会社ということもあるのか、初代の社長の頃からいつも社員のことを気にかけて可愛がってくれるような雰囲気。今の社長もそう。仕事においても、もちろん『好きなようにやって』とまでは言わないけれど、自分たちが思い描いたように走らせてくれます」(幸喜)


「働く人を尊重してくれる空気感がありますよね。普段、店長同士もよく話しをして助け合っていましたし。今回病気になって、それでも働きたくてギリギリまでやっていたんですが、会社側からもストップが入って、一時は『もう寿司を辞めるしかない』とまで思っていましたから」(矢後)


寿司を続けていけることになってよかった。今回結果を残したことは、矢後にとっても他の社員にとっても、大きな力になったように感じます。

現場だけではできない経験がある。視野の広い職人に育てたい


今回の大会当日、矢後は同じ渋谷ヒカリエ店で働きはじめたばかりの若手社員を3人連れてきていました。職人として店で寿司を握るだけでなく、いろんな世界を見てほしいという思いからです。


「大会では、日常では味わえない経験ができます。自分の実力もよくわかりますし、仲間への感謝もより生まれます。これまでも店のみんなが伸び伸びと働けることを意識して働いてきましたが、これからはもっと、新しい社員の教育に力を入れたいなと思っていますね。大会にチャレンジできるような職人も育てていきたいです」


これは、社長の石橋がいつも話していることにも通じます。



「職人だから寿司しか握らない、販売スタッフだから商品の知識しか知らないのではなく、視野を広く持ってほしい。矢後さんも今回チャレンジをしてくれましたし、その姿を後輩たちに見せてくれたのもすごく良いことだと思っています。うちのグループでは、元々ネオ・エモーションで寿司職人として活躍してくれて、今は恵水産で通販事業の責任者をやってくれているスタッフなんかもいます」


職人としての可能性を拡げることも、環境問題も、外の世界を知ることから。現状を知ることからはじまります。


2022年11月、『恵、サステナブル宣言』と称し、ホームページをリニューアル。我々が行っている環境への取り組みや、その姿勢を記しました。



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「水産業界は環境問題と密接に関わっているので、社をあげてできることから取り組んでいます。まぐろの加工で出る残渣(あまり)を使ってペットフードを作ったり、海外では進んでいる脱プラスチックの動向を視察に行き、取り入れたり。しかし、業界全体で見ると意識が高いとは言えません。漁師、仲買人、寿司職人、みんな業界に関わっているのに、意識して何か行動に起こしている人は正直多くないでしょう。うちの会社も、取り組みや思想が社員に伝わっているかと言われるとまだまだだと思います。自分たちでできることを行動しつつ、少しずつでも、社内と業界に伝え広げていきたいです」


視野が広がると可能性が広がる。ひとりの可能性が広がると、会社としての可能性も広がっていく。少しずつですが、そう信じています。


「望めばいろんなことにチャレンジできる環境が揃っていると思います。興味を持って、能動的に動いてくれる人は仲間になってほしいです。ぜひご連絡ください」


日本一の職人・矢後が握るまぐろを店舗でご賞味あれ


矢後が働くのは「まぐろ問屋 三浦三崎港 恵み」渋谷ヒカリエ店。店舗で味わえる矢後のおすすめは『三崎めばちまぐろ四天王』。三崎港で水揚げされた新鮮な三崎めばちまぐろを、そのまま、醤油漬け、塩漬け、ほほ肉の塩ユッケ軍艦で味わえます。『生七味漬けまぐろ』もぜひ。


美味しいまぐろと職人の技、三崎恵グループの風をぜひ、味わいにいらしてください。



▼店舗詳細

店名:まぐろ問屋 三浦三崎港 恵み 渋谷ヒカリエ店

住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ6階

営業時間:11:00-23:00(L.O.21:30)

席数:55席(カウンター19席、ボックス2人×6席、ボックス4人×6席)

支払い方法:各種クレジットカード、電子マネー可


▼会社情報

株式会社ネオ・エモーション

https://neo-emotion.jp/company/


▼プレスリリースに関するお問い合わせ

TEL.045-620-5291

FAX.045-620-5295

担当:幸喜(コウキ)




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