国産石の魅力を伝えたい。ショールーム「STONES」開設とカタログ発刊に込めた思い
松下産業株式会社は、天然の素材である『石』に限りない可能性を見出し、長年培われた知識と技術を駆使し、価値ある空間づくりに活かしてまいりました。昭和14年(1939年)の創業以来、「石材関連商品のトータルプランナー」として「調達/加工/販売/施工/メンテナンス」と総合的に事業を展開しています。
本ストーリーでは、「国産石」カタログ発刊への想いと「国産石」のブランディングツールでもある当社ショールーム「STONES」開設にまつわる秘話をお伝えいたします。
新カタログ「国産石」 松下産業本社ビル エントランス 2022年リニューアル
国産石の魅力を伝えるためのショールーム開設
「石屋なので本物の石にこだわりたい。そのためには『国産石』の存在はかかせない。」
石材の調達・加工・販売・施工・メンテナンスまで手がける当社。特に調達に関しては、いまでこそ世界中にネットワークを拡げていますが、もとは国内産地との連携からスタートしています。それだけに「国産石」とその産地に対する思いが強くあります。
近年の建築市場では、石とタイルの境界が曖昧になっており、それを否定することはできませんが、だからこそもう一度、石屋としての原点を見直したいという思いが生まれました。
世界各国の石を中国経由で入手できるようになった今日、その選択基準は価格が優先される傾向があります。そのような状況でも、一部では日本固有の石を見直す動きも出はじめており、当社でも改めて国産の石の魅力を発信し日本の石文化を伝える事が産地への恩返しになると考えました。
すでに庵治石や大谷石など、それぞれの産地がブランディングに取り組んでいますが、当社では「国産石」そのものをブランド化するプロジェクトを立ち上げ、先ずはショールーム「STONES」という形で具現化してまいりました。
2019年東京・五反田にオープンしたSTONES東京を皮切りに、翌年には大阪にSTONES堂島、2022年福岡にSTONES博多、同年仙台にSTONES仙台を開設。いずれも日本各地の「国産石」を内装に使うなど、実際の使用例・空間デザインとして、その魅力を各方面に伝えております。また2021年には東京・新宿の本社ビル エントランス壁面を庵治石で全面リニューアルし、各拠点ともに他社にはない、「国産石」のブランディングツールとして機能しています。
STONES東京 2019年4月オープン
「石の塊感をどう表現するか」をテーマに、ショールームシンボルとして琉球石の塊(原石)をアーチに削り出したゲート。
〈アーチ:沖縄県産 琉球石、床・壁面:鹿児島県産 薩摩石 使用〉
STONES堂島 2020年9月オープン
多彩な石の魅力に触れ、セミナー会場やデザイン学生の発表展示にも使える体験型ショールーム。
〈アーチ:沖縄県産 琉球石、壁面(一部):大分県産 豊後石 使用〉
STONES博多 2022年4月オープン
〈触覚〉の空間として素材や色を体感する身体的コミュニケーションの場を目指し、日暮れと共にラウンジBARのような空間となる。
〈アーチ:沖縄県産 琉球石、床:熊本県産 肥後石 使用〉
STONES仙台 2022年7月オープン
オフィスとショールームが融合し、秋保産の凝灰岩に囲まれた物質感に満ちたワンルーム空間。
〈アーチ・壁面:宮城県産 秋保石、エントランス壁:長崎県産 諫早石 使用〉
2019年4月STONES東京をオープン、同年9月にはオープン記念イベントとして第1回目のトークイベントを開催。当社のショールーム開設は順調に進んでおりました。
そんな最中、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大していったのです。この未曾有の事態は、当社の新たな挑戦であるショールーム「STONES」の展開にも大きな影響を与えました。お客様と直接コミュニケーションをはかりながら、石の魅力をお伝えする場として開設したショールームでの活動を控えざるを得ない状況は、非常に辛く苦しいものでした。
しかし、この逆境に立ち向かうべく、当社すべての営業拠点にショールーム開設することを決断したのです。
STONES堂島、STONES博多、STONES仙台とSTONES東京に引き続き、3つのショールームをオープンし、各ショールームのオープン記念トークイベントのオンライン配信やショールームをバーチャル化しWeb上で閲覧していただけるなど石材の魅力を発信する活動を続けてまいりました。
選りすぐりの23石種を収録したカタログ「国産石」
そして今年、2019年から現在までの集大成的な存在としてカタログ「国産石」を発刊しました。
「国産石」の収録石種は、いずれも当社が実際に各産地に足を運び、丁場の採掘状況や
工場の生産体制などを視察し、選りすぐった23石種です。加工についても、特に仕上げ工程において各種機械や技術が必要となるため、弊社の三重工場(Mono-Factory)での加工がメインとなりますが、協業・分業可能な部分は各産地とも連携して対応しています。
三重工場<Mono-Factory>
採掘場のようす
石の魅力を語り合うトークイベントを開催
また、カタログ「国産石」の発刊を記念して “STONES TALK LOUNGE Vol.5(第5回ストーンズトークラウンジ)”を2023年6月16日弊社東京ショールーム「STONES東京」のある東京デザインセンター5F crafTecギャラリーにて開催しました。
このトークイベントは、各地のショールーム開設にあわせて開催してきた歴史があります。毎回「STONES」のデザインを担当するインテリアデザイナー・飯島直樹氏をモデレーターとして、建築家・デザイナー・家具メーカーの方などをお招きし、石の魅力などについて語っていただく、大変ご好評いただいているイベントです。
第2~4回はコロナ禍のためオンラインでのライブ配信となっておりましたが、久しぶりにリアル会場を設営しての開催となりました。
今回も同様にモデレーターとして飯島氏を、ゲストには建築家・デザイナーの芦沢啓治氏(㈱芦沢啓治建築設計事務所社長)とランドスケープアーキテクトの平賀達也氏(㈱ランドスケープ・プラス社長)をお招きしました。
「コミュニケーションの場作り」をテーマに、芦沢氏は建築・インテリア・家具・プロダクトの設計・デザインおよびそれらのファシリテーターとしての立場で、また平賀氏はランドスケープデザインから都市に取り込む試みを具現化する立場から、それぞれお二方ご自身が関わられたプロジェクトをご紹介いただきながらコミュニケーションの場作りについて、また石の使用例や活かし方などもお話いただきました。
左から芦沢氏(ゲスト)、飯島氏(モデレーター)、平賀氏(ゲスト)、百田貴宏(当社社長)
写真:石文社
STONES TALK LOUNGE Vol.5 YouTube動画
国産石の魅力を国内外に伝え続ける
ショールーム開設により「STONES」が松下産業とは異なる独立した存在となったように思います。松下産業を知らない方が「STONES」を通して松下産業を知っていただく。必ずしも松下産業のショールームとしての「STONES」ではなく、「STONES」自体がブランドとして確立し、認知されたという事ではないかと大変嬉しく思っております。
コロナ禍を機にSNSを使った情報提供活動にも力を注いだことも、より多くの方々に認識いただくきっかけとなりました。
また新カタログ「国産石」は、各ショールームで実際にご覧いただける国産石の施工例や展示サンプルとの相乗効果もあり、大変ご好評いただいております。
日本各地には、全国的に流通していなくても、しっかりと地元に根づき、古くからまちづくりや墓石として大切に使用され、いまも産業として続いている石がたくさんあります。それら「国産石」の魅力、価値を国内外に広く伝え、その採掘・出荷に従事する方々に貢献するのも当社の務めです。そこに暮らす人々、また風土や気候により育まれた日本の石の美しさを、より多くの皆様に知っていただく活動を続けて参ります。
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