カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®開発ストーリー。環境保善へ向けたJALグループとの取り組みとこれから
「カネカは世界を健康にする」。株式会社カネカはこの志を基に「環境・エネルギー」「食糧」「健康」という地球が抱える3つのクライシスに対して、さまざまな角度からソリューションを提供することで豊かな未来を切り拓いていきます。
当社が開発したカネカ生分解性バイオポリマー「Green Planet®」(以下Green Planet)は、石油由来のプラスチックと遜色のない物性や品質を実現し、自然の土壌はもちろん、海水の中でも生分解されることが確認されています(※1)。当社は約30年前からGreen Planetの開発に着手し、微生物に大量のGreen Planetを生産させることに成功。現在も生分解性ポリマーの生産性や加工性の向上、原料の多様化に向けて研究開発に日々取り組んでいます。
このストーリーでは「Green Planet」の開発経緯とその後の用途開発についてお伝えします。
1990年代前半、カネカの研究者がGreen Planetを作る微生物を偶然に発見
カネカがGreen Planetの開発に乗り出したのは1990年代前半。当時は、海洋マイクロプラスチック問題はまだ世界的には認識されておらず、石油資源に依存しない、環境にやさしいソリューションを提供したいという思いが原点でした。加えて、研究者がカネカの高砂工業所の土の中でGreen Planetを作り出す微生物を発見するという奇跡も起こりました。
試行錯誤を繰り返したものの、生産性を高めることができず
しかし、当初発見された微生物ではわずかなGreen Planetしか作り出せず、実用化には課題が山積みでした。生分解性ポリマーを製品として安定的に作るためには、生産性を大幅に向上させる必要があり、様々な試行錯誤が繰り返されました。
そんな中、1997年に理化学研究所との共同研究によって、微生物の野生株ではできなかったような生産性の大幅な改良ができることがわかったのです。新たな遺伝子を導入した微生物は、従来の数十倍の植物油を取り込んで、Green Planetの工業化に必要な生産性を得ることができました。
「微生物はできた。しかしそこからが大変だった」プラスチック代替の原料として利用するために克服した課題とは
一方、Green Planetを大量に作り出す微生物ができても、プラスチック代替の原料として利用するために克服しなければならない課題があったのです。原料のGreen Planetをどうやって加工するかということです。汎用プラスチックとは異なるGreen Planetに適した成形加工条件を研究開発・エンジニアメンバーと成形加工メーカーが一丸となって追及することで、ようやく製品化にたどり着きました。
JALグループのショッピングバッグや包材への導入が始まる
微生物が作り出した新しいポリマーに魅了されたのが日本航空(JAL)グループです。JALグループは、主に航空業界における新規石油由来品の全廃を目標に掲げています。
その一環として、まずは空港店舗や機内で使用されるショッピングバッグにGreen Planet製品が導入されました。JALグループのJALUXが運営する全国24空港70店舗(2023年3月末現在)の「JAL PLAZA」では、昨年導入されたGreen Planet製のショッピングバッグの更なる展開として、レジ袋・紙袋製を除く大部分のバッグが順次Green Planet製に変更される計画です。
また、JALグループは客室やラウンジで提供する使い捨てプラスチック用品においても、2025年度までに新規石油由来品の全廃を目指しており、その一環として、カネカとJALUXが共同で進めてきたGreen Planet製のおにぎりの包材が、2023年4月よりJAL羽田空港ダイヤモンド・プレミアラウンジに導入されました。食品の個包装にGreen Planet製フィルムを用いる事例としては世界初となります。
ダイヤモンド・プレミアラウンジ
本製品開発にあたっては、同ラウンジで提供されるおにぎりの製造会社・日本エアポートデリカ株式会社も加わり、安全性や耐久性を十分に検証して、おにぎりの個包装フィルムを使用するに至りました。
「おにぎりのフィルムを作る上で、食の安全性を第一に考えながら、フィルムの耐久性など、通常の素材を使用したフィルムでは容易な仕様も当たり前にはいかず、越えなければいけないハードルがいくつもありました。素材からフィルムを作る成形加工メーカー、おにぎりの製造会社のみなさまと、何度も試作を重ね、今回の導入に至りました。カネカやJALUXだけでは実現が難しく、関係した企業のさまざまな協力者の理解があり、おにぎりの包材が完成しました。」とJALUX加工食品部の担当者は語ります。
広がるGreen Planet導入の輪
JALグループをはじめとする環境意識の高いブランドホルダーとのGreen Planetを使用した製品の共同開発や導入の動きは日々加速しています。大手コンビニエンスストアでのカトラリーやストロー、ホテルでの歯ブラシの採用などがその一例です。今後は、新たに育苗ポットやマルチフィルムといった農業資材や食品包装での展開など、用途の幅を広げていきながら、全世界をターゲットとしたGreen Planetの普及を行っていきます。
Green Planetを使った製品を全世界に。豊かな地球環境を守りたい
プラスチックは、私たちの暮らしにとって便利で欠かせないものですが、きちんと処理がされないことで海に流れ出てしまい、生態系や人々の健康に悪影響を与える可能性があります。海水中でも生分解するGreen Planetを使った製品が、全世界に広がることによって、海洋マイクロプラスチック問題の解決をはじめ豊かな地球環境を守っていきたいと考えています。
※1:海水中で生分解されることを示すTÜV AUSTRIA Belgium NVの認証「OK Biodegradable MARINE」を取得しています。海水中(30℃)で、生分解度が 6 ヵ月以内に 90%以上になること。ベルギーに本部を置く、国際的な認証機関 Vincotteより、海水中(30℃)で、生分解度が 6 ヵ月以内に 90%以上になることを条件とした「OK Biodegradable MARINE」を2017 年 9 月認証取得。Vincotte は 2017 年 12 月 TÜV AUSTRIA Belgium NV に認証業務を引き継いだ。
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