アナログオーディオの奥深さと、そこに魅せられた人々の物語。編集長 野間美紀子が語る、国内唯一(※)のアナログオーディオ専門雑誌『アナログ』の世界観とは
音元出版は1949年創業、70年の間にさまざまなメディア発信を行い、現在ではオーディオやオーディオビジュアルの専門誌や各種アワードの展開、オーディオやオーディオビジュアル、デジタルガジェットのニュースやレビューをお届けするウェブサイトでの情報発信を行っています。音元出版が発行するオーディオ専門誌の中で、季刊誌「アナログ」は、アナログオーディオと人と物にまつわる物語を紹介する、国内唯一のアナログオーディオ専門誌です。アナログレコードが注目されている昨今、本誌の編集に携わり2020年からは編集長として活躍する野間美紀子が、アナログオーディオの世界や、雑誌づくりに向けた思いを語ります。
国内唯一のアナログオーディオ専門誌「アナログ」(2023年10月3日発売のVol.81号)
“アナログ”こそオーディオの最先端!? ブーム以前に雑誌をいち早くスタート
20年の歴史をもつ雑誌「アナログ」
オーディオ専門誌の中で、特にアナログの分野にフォーカスしている雑誌が「アナログ」です。オーディオが各家庭に広がった昭和期はアナログレコードが主流でした。80年代半ばからはCDの時代になり、90年代頃からアナログレコードは姿を消した感がありましたけれど、ここ5年ほどでしょうか、アナログレコードの人気が再燃して、新譜もたくさん出るようになっています。
雑誌「アナログ」はというと、アナログレコードの人気が今ほどには盛り上がっていなかった2000年に、あえて刊行した「アナログレコード再生の本」が前身なんです。誌名ロゴを「analog」に変えて、2004年に定期刊行化しました。
コアなアナログオーディオファンの間で、ひそやかに続いてきた趣味をテーマにした本なので、20年以上経ってアナログがこんなに人気になるとは、私たちもびっくりしています。そしてこの趣味をずっと続けてこられた方々は、誇らしく思われているんじゃないでしょうか。
技術の進化で音楽再生がもっと面白く
今の音楽の楽しみ方はさまざまで、サブスクのストリーミングも、ハイレゾも、CDも、アナログレコードも、音楽ソフトを入手する時の状況に合わせて使い分けられて、共存するようになりましたよね。そして今や多くの方がスマートフォンでも、手軽に音楽を再生しています。
そんな中で、一旦姿を消したアナログレコードが注目されていますね。エレクトロニクスや素材、精度など、オーディオ技術は飛躍的に進歩していますので、今の最新のアナログシステムで40年前のレコードを再生すると、当時の機器では聴こえなかった音が聴こえる! というようなことも起こります。ある意味アナログは、オーディオの最先端と言えるんじゃないでしょうか。
そして、ヴィンテージのオーディオ機器もまた、今の機器とは違う独特の魅力を持ち、迫ってくるものがあるんですよね。最新の機器との対比もとても面白いんです。
さまざまな要素で音が変わる再生のノウハウや、アナログの深淵に触れる人々の物語を伝える
人々の熱い“アナログ愛”が原動力
雑誌「アナログ」は、そういったアナログオーディオの面白さや奥深さ、それらをより楽しむためのノウハウをたくさんご紹介しています。針、トーンアーム、ターンテーブル、フォノイコライザー、それにターンテーブルマットやスタビライザーなど、アナログオーディオにはいろいろなアイテムがあって、それらの素材、硬さ、重さ、機械的なことと電気的なことのかけ合わせなどで、音が変わってくる面白さがあります。そこにまだまだ解明できていない部分もたくさんあって、だからこそ使う人、作る人、それぞれの持論や、物語があるんですね。
オーディオのユーザーの方々は音楽が好き、メカが好きで、機器を自分で直したり作ったりする方や、それが長じてガレージメーカーを創設するような方もいます。機器メーカー側の方々にも、アナログ全盛期からのエンジニアの方が独立されたり別の企業で活躍していたり、あるいは若くして発明家のような方が斬新な設計で製品を出すなどさまざまな方がいます。そして評論家の方々も、アナログオーディオが本当に好きでずっと続けてこられて、それぞれにご自身の流儀をお持ちです。
写真はカートリッジの第一人者である海老澤徹氏。
ご自身が辿ってきた昭和オーディオの物語も本誌にて連載中
こうした皆さんは、“アナログ愛”に溢れているんです。「アナログ」では、アナログオーディオを愛する人たちがたくさん登場して、興味深い物語を語ってくださっています。マニアックとも言える世界です。
自身でも実感するオーディオの魅力
こうしたマニアックな世界にいるのはほとんどが男性ですが、なぜここに私がいるのでしょうかね(笑)?
私自身、この雑誌に携わる前まではそうではなかったのですが、気がついたらオーディオマニアに仲間入りしていました。アナログオーディオを楽しむ人に接するうちに、その純粋な、キラキラした目に吸い込まれて(笑)、皆さんがやっていることを知っていないといけないなと思い、ちょっとやってみるかと足を突っ込んだら、なにこれ、快感! 最高! という感じなんです。
「オーディオの好きな女性ももちろん存在します。皆さんもどうぞ」、というメッセージを送るべく、本誌のvol.76号では、「女性とオーディオ」という特集を組みました。女性のオーディオ愛好家たちが登場して、「自分に必要と分かったら、女性の払いっぷりはいいのよ」などと、語り合ったんですよ!
オーディオショップ「サウンドクリエイト」店長の竹田響子さんと、クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが、オーディオ愛を披露した特集
「女性とオーディオ」のページ
私もお休みの日には、家でオーディオ機器をいじっています。例えば、仮想アースに関しては、2年くらい前にある記事の取材後、メーカーさんから個人的にお借りして、自分の家のアナログシステムで試しました。ボリュームを上げていくと、どうしても発生する残留ノイズが仮想アースで消えるのだろうか? とあれやこれや。
面白がって取り組まないと、雑誌は面白く出来上がらないと思うんです。面白い雑誌って、読む前から、つくっている人が面白がっているオーラを感じ取れる気がするんです。だから個人的にも、面白そうだと思ったことはまずやってみようと。それを誌面展開にも活かしていければいいなと思います。これからもどんどん、面白がってチャレンジしたいです。
底深い面白さをもつアナログオーディオを追求し続けていく
手元に置いて、何度も繰り返し読みたくなるように。企画やアートディレクションにこだわって
雑誌ならではの存在感を
ウェブは情報をいちはやく発信できますし、誌面のようなスペースの制限なく表現できます。一方、雑誌は、手元に置いて、眺めて、何度も読み返して、「豊かさ」を与える存在だと思っています。だから、選び抜いた内容を、また雑誌ならではの見せ方でお届けしなくてはと思っています。
ハイエンドの高価な製品は、機器そのものも音も、ともに美しく、憧れの存在ですよね。そういう世界もアナログオーディオの魅力のひとつとして雑誌でしっかりお伝えしていきたいです。巻頭特集などで、大きな見開きスペースをふんだんに使う、そして美しい大きな写真で製品の魅力を見せて、いつまでも眺めたくなる誌面を作る、というようにアートディレクションにもこだわっているんです。
また、最新号vol.81の「趣味性の極み〜MC昇圧トランス探究」や「連続特集 人気定番プレーヤー使いこなし大作戦」などのような、他ではできないような深いコンテンツを、経験豊富な編集者たちが、専門的なノウハウとセンスで制作しています。
世の中はデジタル全盛です。効率的で合理的な反面、情報過多にお疲れの方もいらっしゃるのではないでしょうか。アナログレコードを手に取って、ターンテーブルに置いて、良い音で聴いてみてください。そしてこのアナログの世界に魅了された人々の物語を、季刊「アナログ」でさらにお楽しみください。
誌名:アナログ
価格:1,680 円 (本体 1,527 円)
判型:A4変形判(H285mm×W210mm)
発行形態:定期刊行(季刊誌)
発売日:1月3日/4月3日/7月3日/10月3日
発行:株式会社音元出版
編集長:野間美紀子
概要:「アナログ感覚」をキーワードにした、レコード/アナログオーディオをはじめとするアナログテイスト満載の雑誌
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