創業110年目の新たな挑戦。福山市鞆の浦地区で老舗旅館が手掛ける町家再生プロジェクト”潮待ちホテル”のストーリー
瀬戸内の中心地で かつて“潮待ちの港”として栄えた福山市鞆の浦。古くから息づく歴史ロマンあふれる小さな港町を拠点に置く「鞆スコレグループ」の始まりは、明治期から続く宿屋でした。以来、110余年の間 国内外から多くの旅人を当地にお迎えしてまいりました。
景勝館漣亭・ホテル鷗風亭・汀邸遠音近音とグループ施設が続く中、新たな施設として分散型古民家リノベーションホテル「潮待ちホテル」を2019年に開業。”暮らすように泊まり、まちの物語を楽しむ旅”をコンセプトに、歴史的商家や町屋を再生したプロジェクトをご紹介いたします。
潮待ちの港として栄え、国の重要伝統的建造物群保存地区でもある「鞆の浦」で
プロジェクトスタート
2018年に「瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町 ~セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦~」のストーリーで日本遺産に認定された鞆の浦。古くは万葉集の大伴旅人の歌にも詠まれ、中世・近世には瀬戸内海の中心として海運の要衝となり、潮の満ち引きを待つ船が数多く集いました。“潮待ちの港”として栄えたこの町は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されており、歴史的商家や町家が数多く残ります。その中の一角で、”潮待ちホテル”プロジェクトは始動しました。
明治期に建てられた旧商家を再生する「潮待ちホテルプロジェクト」
発端は地域の方より譲り受けた、築100年以上の古民家がきっかけです。
重要伝統的建造物群保存地区の中に位置し、明治前期から後期に建てられた鞆を代表する商家「櫓屋」。往時には和船の漕具造りを生業としており、潮待ちの港町に欠かせない商家でした。時代とともにその役割を終えて静かに幕を下ろした後は、歴史的空間を活かした食事処「潮待ち茶屋 元櫓屋跡」として地域の人々にとっての憩いと交流の場として親しまれ、たくさんの想いや美しい物語を紡いできた施設でした。
歴史と文化、物語のつまったこの伝統建築を再生し、100年先も愛されるように。昔も今もそして未来も変わらず、人と文化が交わる港町・鞆の浦であるように。そういった想いが潮待ちホテルプロジェクトに込められています。
リノベーションにより現代に新しく生まれ変わる櫓屋
間口三間半の主屋とその背後に中庭を介して建つ離れからなり、伝統的手法を随所に残す町家・櫓屋。海水に浸され今も耐久性を保つ太い梁、時を超え深みを感じる土壁や柱・建具。それらの重厚かつ伝統的な空間を生かしながら、現代の暮らしに合わせたリノベーションを行い、2019年夏「潮待ちホテル櫓屋-ROYA-」を開業。全四室からなるお部屋は一棟貸しにも対応できるなど、様々なシーンでご利用いただける造りとなっています。
棟内にはダイニングルームを設け、当時のまま残される数々の和船の漕具など趣を随所に感じる町家ホテルへとに生まれ変わりました。
プロジェクトは”分散型”古民家リノベーションホテルとして進化
新たな古民家との出会いがあり、潮待ちホテルプロジェクトは次のステージに移ります。明治後期と大正期から昭和初期の異なる時代に建てられた木造町家。往時には歯科医院として、鞆町民の健康を見守っていました。立地にも恵まれており、目の前には瀬戸内隋一の景勝地である「福禅寺対潮楼」、もう一方には、鞆の浦のシンボル「常夜灯」や江戸期の港湾施設の残るエリアを臨む絶好の眺望。当時の趣きを大切にしつつ、職人が時間をかけて丁寧に修復・アレンジ。2022年初夏「潮待ちホテル櫂-KAI-」として、現代に蘇った歴史的空間に仕上がりました。
全三室のお部屋にはプライベートキッチンを備え、シーンに合ったご滞在をお過ごしいただけます。またメゾネットタイプや展望デッキ付など、それぞれ趣きの異なった作りになっており、何度来ても愉しんでいただけます。
第三の潮待ちホテルは、江戸時代中期の平屋建築を活用
次に手掛ける古民家は最も歴史の深い江戸中期の平屋建築と、大正期建築の木造2階建ての町家です。後世の改造も少なく当初の形式を保った貴重な造りで、朝鮮通信使など賓客をもてなした由緒ある町家でもあります。
建物内の、梁や柱、欄間や土壁など往時の建築のディテールを復元しつつ、家具や家電・水回りは最新の設備を導入して機能性と快適さも確保しています。古き良き時代を体験できる潮待ちホテル最上位の宿泊棟と、”暮らすように泊まる”潮待ちホテルコンセプトに最もふさわしい宿泊棟。2023年春「オーベルジュ櫻や-SAKURAYA-」&「別邸試楽亭-SHIGAKUTEI-」は隣り合う2軒が同時開業しました。
ここでしか味わえない体験と時間。静けさの中で時空を超えて過去とつながる感覚。古の時代から残る風景や丁寧な暮らし、音や香りを全身で感じる。まるで鞆のまちに溶け込み、居心地の良いもう一つの我が家のように。
これからも地域の本質的な魅力を知る旅の形(オーセンティックジャーニー)の拠点として、鞆の静かな日常と丁寧な暮らしを発信してまいります。
住所:広島県福山市鞆町鞆808-1(櫓屋)
電話番号:084-982-2480
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