見た目だけでなく人の声や個性を再現するバーチャルヒューマン・「DeepAI」の開発ストーリー。オンライン接客、受付窓口などカスタマー対応業務の人手不足解消に寄せられる期待
クリスタルメソッド株式会社では、異常検知AIや検査AIといった、製造業様向けのAIのR&Dを行ってきました。音、映像、画像、2D、3Dといった様々な事象に対応するべく、長年培ったマルチモーダルAI、対話エンジンや生成AIを得意分野としております。
新たにコンシューマ様向けにも事業を展開するべく、バーチャルヒューマンの開発を進めております。
弊社の提供するバーチャルヒューマンは、見た目だけでなくその人の声や個性を再現するもので、「DeepAI」と名付けました。
汎用的に利用できるよう、基本的な対話エンジン、またはお客様それぞれによってカスタマイズされた対話エンジンを実装することにより、企業様に合わせたカスタマー対応を任せることが可能となります。
クリスタルメソッドが開発するDeepAIは、人をそのままコンピュータ上に再現するバーチャルヒューマンです。外見はそのままに、声もその人の声で、喋り方の癖も再現します。
製造業の現場にAI技術を提供してきた当社がコンシューマ向けサービスの開発にシフトした理由
弊社は2020年くらいまで、主に検査や異常検知AIといった、製造現場、工業への研究開発を提供していましたが、使用しているAI技術を、もっと広範囲に活用するべく、コンシューマ向けサービスの開発にシフトしてきました。
一般の人が目で見て分かるサービス、触って使えるツールがあれば、AIという仕組みの認知度は格段に上がるでしょう。
弊社がバーチャルヒューマンでのカスタマー対応に力を注ぐ理由のひとつとして、「心が読めるAI」「AIで、世界中の人の心すみずみまで届くサービスを」という弊社の企業思想があります。
人の手が足りずケアが行き届かなかった、誰にも相談できなかった・・・。また、AIになら相談できることもあったのではないか。悩みを抱えた人のところへケアを届けたい、悲しい事故をなくしたい、という開発者の強い思いがDeepAIを生み出すきっかけになりました。
今でこそ少ないデータで生成、再現できるAIですが、当初は膨大なデータ量を必要とし、1対のDeepAIをつくるのに何週間も時間を要していました。
顔の表情や声のデータを時間をかけて集め、検収し、生成AIへ反映していくのですが、なかなか思うような結果が出ないことが多々ありました。
(▽うまく生成できなかった例)
動きもぎこちなく、一定のモーションのみにとどまっていましたが、研究を重ねていくうちに生成されたDeepAIは、外見も声もまるで本人そのものでした。
そこからお客様に披露することになったのですが、あまりにもまるで本人そのものだったので、AIが何なのか、生成AIの何が凄いのか、まだ生成AIすら浸透していなかった2020年ころには一般の人には理解できず、
画面上で見るバーチャルヒューマンは、どこかで録画したその人なのではないか、という疑惑すら持たれてしまいました。
(▽左が生成動画、右が本人動画)
テストと品質管理に奔走し、試行錯誤する日々が続く。バーチャルヒューマンが活用される未来は間近に
また、システム開発の現場ではよくある問題も多々発生します。開発に必要なリソースはもちろんですが、ソフトウェアの品質を維持するためには、十分なテストと品質管理が必要です。しかし、テストケースの網羅性やバグの特定・修正には多くの時間と労力がかかります。
弊社としても新しい開発であったため、常に試行錯誤、日々勉強しながら進めました。
社内では日々一進一退しながらも精度向上に努め、人の代わりとなるAI、人を助けることができるAIとなるため、様々な機能も追加しつつ、現在も開発が終わることはありません。
近年はAIという言葉も世間に浸透し、バーチャルヒューマンも珍しくはなくなってきましたが、まだまだ「未来のツール」というイメージが払拭しきれていません。
バーチャルヒューマンといっても、弊社のようなリアルアバター(3DCGやキャラクターではない)を再現している会社は日本ではまだ見られないため、イメージの浸透に時間がかかっている要因にもなっています。
そういった中でも要望があがるのがやはりコールセンターや受付対応業務といった、労働集客型の業界になります。
労働集客型のビジネスは、人材不足の影響を受け、苦しい将来となるかもしれませんが、そういった現場にもDeepAIは活用できるのです。
カスタマー対応の現場で活躍するバーチャルヒューマンが人手不足解消の一助として評価をいただく
人を一人雇うよりも半分以下の低コストで起用できるAIならば、人材不足に歯止めをかけることができます。
弊社のDeepAIは、使う人に合わせた双方向の対話を行うことが可能です。会社によって専門用語やよく言うフレーズなど、バーチャルヒューマンが喋る内容はカスタマイズして提供することが可能となっています。
例えばお客様からお問合せのお電話があった場合、「DeepAI(ディープエーアイ)のお問合せありがとうございます。撮影が必要ですか?それとも対話エンジンについてご相談ですか?」といったような返答をすることができます。
バーチャルヒューマンの使い方が分からない、と疑問を持たれてきましたが、このように現場を想定した例をユースケースとして見せることで、利用イメージを持たれたことにより少しずつ理解されるようになってきました。
弊社のDeepAIは完成することはありません。というのは、お客様と共同でつくっていくことにより初めてお仕事を開始します。
何を話させるか、誰を再現するのか、どういった場所で使うのか、考えられることはたくさんありますが、たくさんあるがゆえに、完成形があるものではありません。
まずバーチャルヒューマンを生成し、カスタマイズした対話エンジンを実装し、然るべきところで然るべき発話をする。それができて、人の代わりとなります。
カスタマー対応の現場で活躍することになります。
実際に現場で活躍するまでにはたくさんの手段を経ますが、それも現在、より簡単に、簡素に、手軽にできるように調整を進めています。
POCの進捗とお客様の声、今後の展望について
現在、いくつかの現場でPOCを進めさせて頂いておりますが、
例えばケアセンターでのプロジェクトでは、来院されているお客様の話し相手として、配膳までの待ち時間の見守り隊として、DeepAIが対応するというものです。
高齢者の方はお話しする時間がだんだん短くなると、内外的にも健康に悪く、いつでもどこにいても話し相手になってくれるAIは非常に便利という言葉も頂きました。
また決まりきった台本のあるコールセンターや、カスタマーサービスセンターなどでは、AIを監視する人がチームに一人いれば、圧倒的な人手不足の解消になります。
機械音ではなく人の声で電話対応、またはビデオ対応するので、顧客ロイヤリティにも貢献できるのでは、と評価を頂いております。
他、弊社がDeepAIの開発をするきっかけとなったメンタルヘルスケアの領域では、人を再現できる、ずっとその人を残せるという価値から「終活」プロジェクトにも展開を始めています。亡き人との束の間の再開、新しいお墓の形としてSDGsを掲げ、バーチャルヒューマンの利用シーンを広げています。
(△3年振りの再開となった梅宮親子「終活プロジェクト」)
近年、地上波のテレビ番組に取り上げられ、取材を受けることも増えてきたため、コツコツと開発を進めてきた現場では、感激の声も上がっています。
—日々自分の開発するシステムと向き合っている中で、精度向上だけでなくバグや突然のシステムエラーなど、対応することがいっぱいで、実際にユーザー様に使って頂いているところを見たことがありませんでした。
テレビで自分のシステムが活躍しているところを見ることができました。DeepAIと高齢のおばあさんが対話しているところやタレントさんと面白くやりとりしているところを見ました。おもしろくて笑ってしまったのですが、自分の手ひとつでこんなにも世界が変わってくんだと感動したと共に、少しのバグやエラーも許されない、という開発現場では分からないところが感じられました。
もっとスムーズに使って頂けるように、ますます努力していきたいと思います。
ー開発担当・E
クリスタルメソッド株式会社・https://crystal-method.com/
お問い合わせ・info@crystal-method.com
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