循環型農業で人にも地球環境にもやさしいパッケージサラダへ
サラダクラブは野菜の鮮度とおいしさにこだわり、洗わずにそのまま食べられる「パッケージサラダ」の製造・販売をしています。製造過程では、どうしても野菜の外葉(そとば)や芯などの商品に使わない部分が発生します。野菜を100%使い切りたいという思いが、ある仕組みの構築を実現しました。本取り組みの全体を見てきたサラダクラブ 広報・広告宣伝部 鳥塚 栞と、実際に取り組みを進めたサラダクラブ 生産本部 小宮 正和に話しを聞きました。
新鮮な野菜をサラダで手軽に楽しんでほしい
サラダクラブは、健康志向の高まりや女性の社会進出、少人数世帯の増加などで食生活が急激に変化してきたことを背景に、パッケージサラダの製造・販売会社として1999年に創業しました。今でこそ、サラダ用や鍋用、炒め用などたくさんのカット野菜やパッケージサラダが売られていますが、サラダクラブは洗わずそのまま食べられるパッケージサラダの先駆けとして、産地や製法にこだわり、安全でおいしい野菜をお届けすることを大切にしています。
鳥塚「サラダクラブは、野菜を自宅で洗ったり切ったりせず、そのまま食べられるパッケージサラダを日本での市場がまだ小さかった頃から販売してきました。お皿に移し替えずに召し上がれるトレータイプの商品も含め、現在40品ほどあります。旬の野菜を手間なく楽しんでいただける地域や季節限定のサラダも販売しています」
小宮「サラダクラブで使う野菜は、北海道から沖縄まで全国約400の契約産地から直接、当社の全国7工場に供給いただいています。収穫の端境(はざかい)期や気候の影響にいつも目を配りながら、その時々で最良の野菜を契約産地から工場に納めていただいています」
鳥塚「キユーピーグループが創業以来大切にしている『良い商品は良い原料からしか生まれない』という原料に対する強いこだわりをサラダクラブでも受け継ぎ、産地の方々と連携し密接に情報交換をして、一番良い状態の野菜を提供していただけるよう取り組んでいます」
生産者の皆さんが大切に育てた野菜を余すところなく使いきる
品質の良い商品を自信をもってお届けすると共に、環境に負荷をかけないことも重要だと考えています。商品の製造過程で発生する野菜の外葉や芯などの「未利用部」をどうにか活用する方法がないか、模索しはじめました。
鳥塚「サラダクラブが使う野菜は約30種類ですが、全体の60%ほどをキャベツが占めています。また、キャベツは外葉や芯、傷んでいる部分などを製造時に取り除くのですが、そういった未利用部分を1玉あたり30%廃棄している状況でした。工場で働く従業員からも、製造のたびに廃棄が出てしまうことに対して『もったいない』という声が出ていました」
小宮「そこで、野菜の未利用部を使って堆肥をつくる取り組みを始めました。工場に発酵分解装置を設置し、温度管理等の多くの実験を経て良質な堆肥に生まれ変わることに成功しました。その堆肥を契約農家さんへ納入し、野菜栽培に活用いただいています。さらにそこで育った野菜を工場に供給いただくことで、パッケージサラダとしてお客様にお届けするという循環の仕組みが構築できました」
しかし、当初、新しい堆肥を使っていただける農家さんは多くなく、各地の契約産地で活用していただけるようになるまでには約3年かかりました。
鳥塚「農家さんはおいしい野菜づくりのために、肥料の配合やまき方などに長年にわたり工夫を重ねて来ていらっしゃいます。大切に培ってきた畑に使う堆肥の変更に対して、すぐに良い返事がいただけないのは無理もありません。サラダクラブとしても新しい堆肥に切り替えて、うまく野菜が育つか不安がありました」
小宮「各地の農家さんに足を運んで堆肥のサンプルをお渡しし、何度も意見交換をしながら交流を続け、3年経ってようやくご活用いただけるようになりました」
契約産地の一つである、株式会社青空農園 代表取締役 大西 辰幸さんからこんなお声もいただきました。
----------------------------------------------------------------------------------------
「循環型農業は、心を込めて作った野菜を有効活用できるうえ、私たち農家にとっては国産の堆肥を安価に仕入れることができます。環境の面でも経営の面でもメリットがある取り組みだと感じています。野菜を捨てることなく使いきれることは育てる私たちも非常にうれしいです。環境負荷の低減と持続可能な農業をめざし、サラダクラブさんと継続して取り組んでいきたいです」
株式会社青空農園 代表取締役 大西 辰幸さん
----------------------------------------------------------------------------------------
鳥塚「農家の皆さんが一つひとつ丁寧に丹精込めて大切に育ててくださった野菜を使い切ることは、野菜を主な原料とする私たちサラダクラブの使命だと思っています。畑からお客様の食卓へおいしい野菜をお届けすることに加え、 ご家庭では生ごみになってしまいがちな外葉や芯も含め野菜を100%使い切るという環境へのやさしさを実現できたことは、私たちの仕事の喜びにもつながっています。『野菜の外葉や芯などは農家さんやサラダクラブが有効活用してくれている』と思って、手軽にパッケージサラダをご利用いただけるとうれしいです」
さまざまな工夫を続け、お客様とともにサステナブルな社会へ
野菜の未利用部の活用だけでなく、サラダクラブではたくさんの工夫や配慮をパッケージサラダに込めています。さまざまな取り組みをたゆまず継続し、サステナブルな社会の実現にもつなげたいと考えています。
鳥塚「食品ロスの要因の一つに、消費期限までに食べ切れないことがあります。サラダクラブは野菜の洗浄方法や包装技術などを磨き、消費期限を延ばすことにもチャレンジし続けています。2019年には千切りキャベツ・ミックスサラダについて業界で初めて、加工日に加え5日間鮮度を保持できるようになりました。洗浄した野菜を清潔な状態で低温を維持したままパックすることで鮮度を保っています。保存料や添加物は使用していません。また、産地から売り場までずっと低温で管理することにも注力しています。消費期限の延長により、売れ残りの廃棄処分もご家庭での使い残しも減り、食品ロスの削減につながっています」
小宮「こういった取り組みは、キユーピーグループのグループ会社とも情報共有しています。扱う商材が異なりますので直接的な技術活用は難しいのですが、従業員全員の知恵を集めながらグループ全体で進化していきたいですね。サステナビリティはゴールはないのだと思います」
鳥塚「サラダクラブではお客様ともっと深くコミュニケーションをとりたいという思いから、ファンコミュニティを立ち上げました。サラダクラブの環境配慮の取り組みをお話しすると大変興味を持ってくださり、地球や社会のサステナビリティに関心のある方が増えてきていると実感できます。ご家庭ではなかなか難しい、野菜の洗浄水の削減や未利用部の活用などを私たちサラダクラブが担うことで、お客様とともに、人にも地球にもやさしいサステナブルな社会づくりに貢献していきたいと考えています」
関連リンク
2023年11月公開
※内容、所属、役職等は公開時のものです
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ