【前編】マンションづくりから「新しい街」づくりへ~Brillia City 横浜磯子~
概要
東京建物のマンションブランドであるBrillia。その一つであるBrillia City横浜磯子は、10万㎡を超える広大な土地が経た歴史を重んじながら、生活利便性の高いまちづくりを行うことを目指したプロジェクトです。プロジェクト推進時に大切にしたこと、そして、竣工してから10年が経った今のBrillia City横浜磯子について、プロジェクト担当者がご紹介します。
HISTORY:皇族別邸〜名門ホテルを経て「新しい街」へ
1937年に旧皇族であり昭和天皇の義弟にあたる東伏見邦英伯爵の別邸が構えられたこの地は、その後、名門ホテルに引き継がれ、人生の特別な時間を彩る場所となりました。いつの時代も人々の憧れの丘として、貴賓の系譜を継承した由緒ある場所となったのです。そのDNAを次世代へつなげるべく、現代の人々の暮らしに寄り添った“新しい街”の魅力として、歴史を彩った貴賓館をはじめ、植栽や石垣、ホテルの遺構などを敷地内に活かす壮大なプロジェクトがスタートしました。
DNA:デザインサーベイを実施し5つの資源の保存と活用
東伏見邦英伯爵 別邸であった「貴賓館」。保存が困難で取り壊しせざるを得なかった「蔵」。再現性の難しい、しかし価値の高い「石垣・カイヅカイブキ」。近隣にお住いの方々に愛されてきた「桜並木」。街のランドマークであった「プリンスホテルのデザイン」。これら5つの歴史的資源を未来へ承継すべく、これからも活用できる新しいカタチを模索し、街の重要な要素として、継承されるようなデザインを目指しました。
【補修・クリーニングを施し、元の姿のままで】
歴史的建造物であり、地域の方からも愛されている「貴賓館」は、屋根・外壁の補修・クリーニングを行い、現況のデザインを保存。これからも永続的にその姿を楽しめるよう、極力、元の意匠性をキープしながら、耐久性などを高めています。また、内部ではエレベーター設置によるバリアフリー化を図り、地域開放スペースなどへ活用しています。
【貴重な貴賓館内部の当時のディティールを感じる】
皇族の方が建築した建物だけあって、内部の装飾や素材は重厚感とデザイン性を兼ね備え、贅沢な雰囲気を醸し出しています。大理石を多用した階段や吹き抜け天井、アールデコ調のシャンデリアなど、当時設えたものも数多く残しており、価値の高い空間を感じることができます。
建物配置上、取り壊しすることになった「蔵」に使われていた鬼瓦などの素材の一部を、提供公園内のモニュメントに再利用しました。
カイヅカイブキと石垣をプリンスホテル当時の趣のまま継承。
花見の季節には様々な人が訪れていた桜並木も植え替えしながら保存することで、当時の風景を、現在の街の景観に引き継いでいます。
丘の上の局面形状「旧横浜プリンスホテル」は建築家の村野藤吾氏の設計で、そのフォルムは一度見たら忘れることのできない堂々としたダイナミックなものでした。開発当初、あらゆる検証が行われた中、Brillia City 横浜磯子はその優雅な局面形状を継承することでまとまり、新しい丘のシンボルとして10年前に竣工。磯子の街の象徴であったDNAは引き継がれ、新たな姿で磯子のランドマークになっています。
サクラレリーフの棟飾りやバルコニー手すりに使用されていた鋳もののパネルは広場や通りの壁面の飾りとして敷地内に継承しています。
PLANNING & DESIGN:シーン設計を導入し、住まう人の情景をイメージしたデザインに
東伏見邦英伯爵 別邸であった「貴賓館」。保存が困難で取り壊しせざるを得なかった「蔵」。再現性の難しい、しかし価値の高い「石垣・カイヅカイブキ」。近隣にお住いの方々に愛されてきた「桜並木」。街のランドマークであった「プリンスホテルのデザイン」。これら5つの歴史的資源を未来へ承継すべく、これからも活用できる新しいカタチを模索し、街の重要な要素として、継承されるようなデザインを目指しました。
【丘の上に上る煩わしさを楽しみに変えるシーン設計。眺望・歴史的建造物が出迎える誰もが羨む空間へ。】
シーン設計を導入し、住まう人の情景をイメージして、マンションを企画、設計したBrillia City 横浜磯子。丘上の魅力を最大限感じてもらう工夫がふんだんに盛り込まれています。敷地入口のエントランスからエレベーターへ向かうトンネルには、照明を巧みにコントロールした暖色が、帰宅した時の安堵感を醸し出します。そこからエレベーターで60m上がると圧倒的な眺望の力を全身で感じることができます。さらに、敷地内へつながる通路を進むと、出口に木々や石垣が見え、歩き進むと、貴賓館が徐々に見え始め、通路を抜けた先には全容が現れ、誰もが心が揺さぶられるような情景に出会えることができます。このような体験を帰宅するたびに味わえるよう全体設計を考案しました。
【デザイン性を高めたサッシデザインを施した中庭向き住戸。緑豊かな広場越しに広がる開放感も魅力のひとつ。】
Brillia City 横浜磯子の特徴は横浜湾を一望できる眺望ですが、中庭向き住戸にも魅力を付加させており、ひとつは駐車場を半地下設計にすることで、広大な空間を生み出しました。これにより広場の緑化率を高め、下は緑豊かな広場、上は遮るもののない眺望を味わうことができます。中庭に張り出した住戸の窓には黒く引き締まったデザインのサッシを起用したことも功を奏し、見た目にも人気の高い住戸に昇華。魅力的な住戸を創出しました。
QUALITY:街の完成度を高める4つの利便性
丘の上の広大な敷地に“新しい街”をつくり出すために「便利さ」「みどり」「公園」「アクセス」の4つの拡充を図りました。丘の上で生活するメリットに加え、生活利便性を上げることで、敷地内でできることが増え、街の機能性を高めることを目指しました。
【便利さの拡充】
丘の上の地域の生活利便性を向上させる商業・サービス施設などを誘致し、今となっては欠かすことのできないスーパーマーケットをはじめ、学習塾や医療施設など、幅広いジャンルの施設が敷地内で営業しています。本物件では『街』をつくるということを想定し、マンション内だけではないそれぞれの人の日常をイメージし、生活利便性を高め、人々が行き交う賑わいある街を創出しました。
【みどりの拡充】
旧横浜プリンスホテル時代には駐車場だった場所の一部を緑豊かな広場へ、「カイヅカイブキ」や「桜並木」などそのまま活かせるところはそのままに、開発により除去しなければならない緑を別の場所に移植したりと、緑を敷地内のあらゆるところに配置し、敷地内緑化を実現しました。
【公園の拡充】
敷地内に「磯子台紅取第二公園」と「磯子間坂第二公園」を整備し、住人の方々や近隣にお住まいの方も利用できるよう配慮。広々とした憩いの場がマンションのすぐそばにあり、棟内からも目視することができ、少し離れたところから子どもを見守ることも可能。周辺の人々も含め、多くの人がリフレッシュすることができる贅沢な空間で、健やかな時間を育むことができます。
【アクセスの拡充】
旧ホテル時代には、エレベーター棟から橋を渡るようになっていましたが、本物件では見た目も考慮し、丘の中にトンネルを通し、エレベーターでアクセスする方法を採用。敷地内の私道を公道化したり、周辺地域の人もエレベーターを利用できるようにして、利便性を共有。また、公園、広場、緑地をネットワークする通路を確保し、丘上や斜面緑地に散策路や歩行者通路を整備し、自然豊かで広々とした空間との連動性を創出しました。
TOWN MANAGEMENT:新しく生まれ変わった街のふさわしい未来に向けて
Brillia City 横浜磯子の開発においては、2014年当時、まださほど浸透していなかった「タウンマネジメント」の考え方をいち早く取り入れて、これからのまちづくりの活性化のため、「磯子タウンマネジメント倶楽部」を当初より組み込んで提供しました。オープン時にはマルシェなど賑やかなイベントも開催され、今に続いています。
PLANNER’S INTERVIEW:地域の方から愛されていた場所を再開発する難しさを学びました。
プロジェクト担当者:東京建物株式会社 左から 牧口、猪俣、植木
Brillia City 横浜磯子の開発プロジェクトは単純にマンションをつくるというだけではなく、街づくりの視点で取り組んだ、私たち担当者にとっても非常に多くの思い出の詰まったプロジェクトです。同地は文化的価値が高く、古くから地域に愛されてきた場所でした。そのため、地域のみなさんの理解を得られる再開発を志すことは不可欠であり、この土地が持つ記憶や歴史といった唯一無二のDNAをできる限り残しながら、新しい街の魅力をつくっていくことが最大のミッションでした。なかでも歴史的建造物である旧伯爵別邸「貴賓館」の保存活用については、通常の新築工事では経験することのない課題に直面する機会も多く、都市開発に従事する者として貴重な経験をさせていただいたと、改めて感じます。開発で継承したDNAが脈々と続き、新たな歴史の創造につながっていくことに大いに期待しています。
開発から10年後。Brillia City 横浜磯子の今についてはこちら。
https://brillia.com/featured/approach/post_6/
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