ウェブ広告よりも効果的な「リテールメディア」とは?
株式会社ダイヤモンド社(東京都渋谷区)から『人を幸せにする広告戦略』を2024年12月11日(水)に上梓した望田竜太さんによると、ウェブ広告よりも効率がいい購買促進と精度の高いターゲティングで今、「リテールメディア」が注目を集めていると言います。
本書ではウェブ広告の問題点をわかりやすく提示した上で、リテールメディアの活用法を詳しく紹介します。このストーリーでは、望田さんがリテールメディアの魅力と本書を書いた思いを語ります。
「人を幸せにする広告」と「人を不幸せにする広告」
私は、幸せな広告とは、広告の出し手と受け手、さらに仲介する立場の人も含め、新しい、心ときめく素敵な情報が公正な方法によって共有されるときに生まれると信じています。 一方で、「人を幸せにする広告」があるのなら、残念ながら「人に不幸を感じさせる広告」も存在し得るかもしれません。
今消費者は、どんな広告に不幸を感じているのか。そのヒントは、「データが搾取されていること」にあるのではないか、というのが私の考えです。ネットサーフィンをしているだけで、いつの間にか自分のことが知られている。ウェブ広告が登場してすでに四半世紀、当初こそ画期的で効率が高く、お互い幸せになれるはずでした。しかし今では、消費者が情報を搾取されていることへの疑心を強めるなかで、広告の出し手のなかには、むしろテクノロジーでそこを飛び越えることに腐心している人たちも見受けられます。
私が考える「幸せな広告」には、3つのポイントが存在します。これはいずれも同時発生的に起こっていることです。
・近年のウェブ広告のような、「データ搾取」「情報の不均衡」は見直される。「サードパーティークッキー(第三者が発行するクッキー)」廃止の動きはその象徴だ
・今までデータの収集が難しかったリテール(小売)の現場が、新しいテクノロジーによってデータ化が可能になる
・その結果、新しい広告メディア=リテールメディアが成長し、「幸せ」な形で再び広告が見直され、日本に新しいチャンスが生まれる
個人のデータが搾取されずに保護され、守られるべきだという流れは、マーケティング関係者、あるいは広告主には「コスト増」「戦略の転換」「常識の崩壊」と映るかもしれません。 一方で、消費者としての自分、ウェブ広告を見る立場の自分に立ち戻ったとき、果たして、便利で効率がよく、コンバージョンまでわかるウェブ広告に接してどんな気分になることが多かったか、少し思い返してみてほしいのです。それは、必ずしもポジティブなだけの気持ちになるわけではありません。
ウェブがなかった時代のデータ共有に立ち戻る
データを渡し、管理されること。恐らく保守的な方ほど、それは怖いことなのかもしれません。考えてみれば、かつてウェブがなかった時代でも、多くの「データ」が共有されていました。
たとえば「顔パス」。会釈一つで証明書を要求されることもありません。お店では「いつものやつで」とオーダーすれば済みます。時には店員から、「そろそろ奥様のお誕生日が近づいているのでは……」などと教えてもらえることもあったのではないでしょうか。これらもまた、「データを渡し、管理されている」状態ですが、しかし不思議と悪い気はしません。高級で、気づかいと敬意や尊重があり、自分という存在を大切にしてくれていると感じられるからです。
ウェブ広告で大量のデータを合法的に集められるようになり、私たちは渡した覚えがない個人情報まで、どこの誰なのかはっきりわからない相手に使われるようになりました。もしかすると、データや、データを活用した広告に対して保守的になり始めたのは、こうしたマーケティングが盛んになったことが背景にあるのかもしれません。
ならばもう一度、自分のデータを知ってもらうことの価値、安心感、素晴らしさを取り戻せればいいのではないでしょうか。どういう形でデータが取得され、そこにどのような意義があるのか。そして、データ を活用し、共有することで自分の生活や経済全体がよりよくなることが認識できれば、「バージョンアップ」した古き良き日本、懐かしいだけでなく、より素敵で、新しい日本を作れるかもしれません。
これからの「人を幸せにする広告」を生むリテールメディア
「人を幸せにする広告」とは、広告に幸せを感じる瞬間とは、果たしてどのようなものを指すのか。その最前線として、一つの事例をご紹介します。
赤ちゃん本舗は、妊娠中、または乳幼児を子育て中の顧客に向けた、マタニティやベビー、チャイルド用品を販売している企業です。今その現場では、リテール(小売)メディアによる「保険」商品の広告が展開されています。赤ちゃん本舗は、妊娠中、または子育て中という際立った客層を持っています。来店する顧客の消費意欲も旺盛です。同社の戦略は、いかにLTV(顧客生涯価値)を高めてもらうかが中心です。
そこに新しいテクノロジーを備えたリテールメディアが登場したことで、同社が大切に育ててきたブランドや顧客層が、そのまま広告媒体として高い評価を受けつつあるわけです。
AdCoinzのデジタルサイネージが設置されたアカチャンホンポの店内の様子
たとえば、保険会社は、リテールメディアを通じて、アカチャンホンポに来店する際立った客層に直接商品を広告できます。それを見て関心を持った来店者は、自らの意思で個人情報を提供する代わりに、アカチャンホンポの店頭ですぐに使えるクーポンを受け取れます。赤ちゃん本舗は、クーポンの利用による売上の上昇だけでなく、広告料やリテールメディアの設置料、さらに成約時のレベニューシェア(事業収益をあらかじめ決めた割合で発注者と受注者が分け合う契約方式)を受け取ることができ、今までとはまったく異なる収益源が生まれることになります。
アメリカでは、リテール事業者が自ら広告媒体となって展開しているリテールメディアの市場がすでに7兆円規模にまで迫っていて、デジタル広告全体の25%ほどを占めています。日本のリテールの現場では、消費者の行動パターンの違いや技術的な理由で、なかなかリテールメディアが発展しにくい状況が続いてきました。しかし一方で、日本人の8割はウェブ広告に反応していないという調査もあります。裏を返せば、ウェブ広告は、その限界から、多くの日本の消費者にアクセスできていなかったわけです。
この状況を変えるかもしれないのが、この本で説明していくリテールメディアです。私は本書を、ウェブ広告を含む広告業界や広告主に対してだけではなく、今までウェブ広告の範囲外にいた(と考えていた)日本全国のリテール企業の方たちにも読んでいただきたいと考えています。
1分動画で本書をチラ読み!
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