双子の姉なっちゃんの話③【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
ーー 一緒に仕事??旅??
冗談かと思って笑いながら私は応えた。
いつかは絶対に一緒に仕事しよう。
これは、私たちの小学校からの約束だった。
「ワクワクして生きていいって言ったらどうする?」
あの電話のときも、2人で旅をしようと話した。
だけど、それが今のタイミングだと思いもしなかった。
それは、きっといつか… の言葉ではじまる、夢物語だった。
まぁちゃんは、生まれつき持っている共感覚という音や人に色が着いて見えるという感覚があった。
旅にでる少し前から、その感覚を使って”人の色を描く”という活動をしていたのだ。
まぁちゃんは本気だった。
確かに、私は色は見えないけど、子どもの頃から顔を見ただけで人の持っている本質や才能が分かる力があった。
だけど、大人になっていくにつれその感覚は薄れてしまい信じることが出来なくなっていた。
仕事むりせんでね。という私を気遣う言葉と一緒にまぁちゃんは電話を切った。
ーーふたりで仕事。
それが出来たら最高に楽しいと思った。
だけど、同時に“それをするのがムリ”な理由がたくさん浮かんでくる。
まぁちゃんの帰国は2ヶ月後だった。
私は1年後に終わる大きなプロジェクトを抱えていて、それまでに仕事を辞めるなんて絶対にむりだった。
お金はどうするの?ふたりの生活費はほとんど私が出していた。
辞めて仕事は何をするの?
最高に楽しそうと思った気持ちは一瞬のうちに夢物語に消えてしまった。
まぁちゃんは社会人経験がほとんどないから分からないんだ。
そう思うと、もう考えないようにしてその日はひとりの布団に入った。
私はまだ囲いの中から出れないでいた。
【変化する心】
私の8時帰宅 は1ヶ月続いた。
その間、私の中では大きな変化が起こっていた。
自分の心の声に耳を傾けたことで、自分の心に嘘がつけなくなった。
仕方ない。そんなもんだ。で今まで終わらせていたことができなくなったのだ。
そして、「あ!私にはこんな概念があったんだ!」
と自分の中にある無意識の囲いに気づくようにもなった。
これはとても頻繁に起こった。
そうしているうちに、また“人のことが分かる”という感覚が戻って来たのだ。
感覚が戻ってくると、誰にも宣伝してないはずなのに友だち、会社の人、初対面の人と次々に悩みを相談されるようになった。
ふらっと京都に一人旅に行った時、
初対面で仲良くなった子の相談にのっていたら、それが噂を呼んで次の日から色んな人が私に相談を持ちかけてくるようになった。
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