第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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そして初めてお金をいただいた。

500円玉2枚がとても重く貴重に感じる。



その男性もとても感動してくれた。



男性はお礼にと、缶コーヒーをプレゼントしてくれて、

道端に座って一緒に飲みながら話しをした。



まほちゃんは、何でソウルカラーをはじめたの?
何かきっかけはあるの?


彼からの質問だった。



まほ
う〜ん....。そうですね。
話すと長いんですけど...



そして、初対面の彼にこれまでの軌跡を話してみた。




けんちゃんと由紀夫との不思議な出会い

3.11から、自分のワクワクする人生を歩くと決めたこと。


そこから人生が大きく変わった。


卒業式にもらったアルケミスト。

もうあのときから半年以上たっていた。



そこから偶然という前兆をつたっていく。

アルケミストが思いもよらぬ場所まで私を連れてきてくれた。



まさとの出会い、作家さんとの出会い。

お母さんのこと。



もう何年も前のことかのように、遠い記憶に感じる。

あのときから、自分は随分変わったことに気づく。



話しながら、心が震えていた。



いつの間にか、私は自分の人生が好きになっていた。




一気に話してしまうと、男性は驚いた表情でこっちを見ていた。



は、ははは。本当におもしろいな.....。



驚いた顔のまま彼は笑っている。



その物語は、もしかしたら、
一周回ったのかもしれないよ。



まほ
えっ?




そう言うと、彼は自分の黒いリュックサックをガサガサと探った。



僕はね、実は出版関係の仕事をしているんだ。




大切な本があって、いつもそれだけ持ち歩いてるんだ...



そう言って彼はリュックから取り出した。



そう、それは、見慣れたあの表紙だった。



ー前兆に従ってゆきなさい。





僕も、大切な本なんだ。



彼が持っていたのはアルケミストだった。





今までの出会った人たちの顔が、場面が鮮明に流れていく。

出来事が走馬灯のように回り出す。



おかあさん   けんちゃん 

     由紀夫

 あべちゃん 

  まさ     作家さん


   自信がなかったこと

自分が嫌いだったこと       

  お母さんと分かり合えなかったこと


   自分を愛すると決めたこと.....




人生のいびつなピースが、すべてはまっていく。

すべて、ひとつ残らず、間違いではなかったんだ。


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