第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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初めて会った人や、疎遠だった同級生、バイトの先輩、

なんで私に?という人から相談を受ける。



人の相談を徹夜で聞いて、

次の日違う人の相談に向かうということが連日続いた。



その内容は、最愛の人との死別や、DVや中絶など、

なかなかディープなものが多かった。



だけど、その人がどんなに泣いていても、

どんなに人生が最悪で壮絶な状況でも、



その人の持つ色は、変わらずとってもキレイだった。




そうか、人は一人ひとり、もともとキレイな色を持っているんだ。

もう100%なんだ。ただ、少し忘れてしまうだけなんだ。




何かになろうとするんじゃなくて、

本当の自分を思い出していけばいいだけなんだ。





その人の本当の色を話すと、みんな顔が輝いた。



本当の自分を知るのは、みんな嬉しいんだ。



子供の時のように、”そのままでいいよ”

みんな誰かにそう言ってほしかったんだ。





作家さんの言葉を思い出す。



『 もうまほちゃんは100%なんだよ。


  もしまほちゃんが100%だって認めたら、

  コップの水はあふれだすんだ。


  そして、溢れた分を周りの人にあげれるんだよ。』




自分のコップを思い浮かべる。

もう自分のコップは、30%なんかじゃなかった。

ちゃんと満タンに水が入って、こぼれようとしていた。




まほ
よし。私もまさが人生を変えるきっかけをくれたように、路上で返そう!




そして私は、路上に座って人の色を描くことにしたのだ。




終わりのはじまり




その日は、いつもと違って緊張していた。

それは記念すべき初めて”料金”をもらうと決めた日だったからだ。




「ソウルカラー」と名付けた”人の色を描く”仕事は、

アルバイトの空いた時間に、無料でやっていた。



だけど、無料だとあんまり人は来てくれない。

ちゃんと見てほしい人にだけ描こう!



そう決心して、今日から料金を設定することにしたのだ。

たった1000円だけど、私には大きいことだった。



すみません。これは何をやっているんですか?


すると背の高い、感じの良い男性が声をかけてくれた。


は、はい!


急いで「ソウルカラー」の説明する。



へぇ〜〜!面白いですね!よかったら、是非描いてもらえますか?



実は、一年前の今日、自分にとって特別な日だったんです。

今日も、もしかしたら何かあるかな?と思ってちょうど歩いてて。

これも何かの縁ですね!



えっ!ほんとですか?私は今日が初めてお金をもらって描く日なんです!




自分の記念すべき日と、彼の記念日が重なっているなんて、

その素敵な偶然が少し特別に感じた。



それはまるで前兆のようだった。



彼のソウルカラーを描かせてもらう。


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