第13話 ルカとの出会い【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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著者: Shono Maho


背の高いルカを見上げながら話す。



ルカ
え、う〜‥ん。本当の自由を知りたかった、からかな。

南米って、じゆうだーっ!って感じじゃん。日本って窮屈だし。南米の雰囲気大好きなんだよね。



まほ
へ〜。そっかぁ。



ルカの言う通り、彼を見ていると本当に旅が好きななことが分かる。



旅で身につけたスペイン語で、

路上のおばさんやヒッピーたちと気さくに話しをしていた。


その時の彼はとてもいい顔をしている。



ペルーの空気に、彼のマイペースさや気質がとても合っている気がした。



まほ
じゃあ、何でペルーなの??何でクスコにいるの?



また私が重ねて質問する。



ルカ
え…。それは、マチュピチュがあるから‥。



まほ
え?ふ〜ん。
でも遺跡に興味ないって言ってなかったっけ?



ルカは自分の経歴みたいなことはよく話してくれるのに、

ペルーに来た理由は、何だか誤魔化される感じがあった。


なかなか話してくれないのだ。



そして、ペルーには”なんとなく来てる”というより、

何かを探しているような、ちゃんと目的があるような、そんな印象だった。



私の勘だけれど。



ルカ
まぁいいじゃん。
まほちゃん!ほら、明日ここだよ。
この下に集合ね。OK?



結局、質問ははぐらかされたまま私たちはセントロに到着してしまった。

セントロの、噴水のベンチの前を指差しながら彼は言う。



明日から、クスコを出てマチュピチュに出発するのだ。



そしてルカは乱暴な車をうまくさえぎりながら道路を渡っていく。

もうサッサと自分の宿の方に歩いて行っていた。


歩くのが早いルカは、あっという間に細い坂道を上がっていく。



まほ
あ!ルカ!バイバイ!明日ね!



私はあわててさよならを言った。



ルカは後ろも振り返らずに、

背中越しに適当に手をあげるのが見える。

バイバイのつもりなんだろう。


無愛想な、何だか不思議な相棒が出来てしまった。



ルカの背中が坂道に消えるまで、彼の姿をぼーっと眺めていた。

クスコの街が、今までと少し違う風に見える。



つい最近まで私にとってこの街は、不安で寂しくて孤独な街だった。

でも今は新しい冒険に出るような、ワクワクするそんな場所だった。



夜のクスコの街はキラキラと輝いている。

少し高ぶるような気持ちだった。



リョニーさんから描いてもらった地図をもう一度取り出してみる。

その地図は、大切にあのノートの間にはさんであった。




   何の為に生まれて 何をして生きるのか

   答えられないなんて そんなのは嫌だ!

                      ”



表紙に書いたことばが嫌でも目に飛び込んでくる。

これが、私の旅の目的かあ。



まるで他の誰かが随分前に書いたような、不思議な気持ちだった。

ノートと地図を丁寧にカバンにしまって、私も自分の宿へと歩き出した。



空はうっすらとオリオン座が出ている。

明日からは、ついにマチュピチュに出発だった。


ーマチュピチュからがまぁちゃんの転機になるよ!



もうなっちゃんのことばは少し忘れかけていた。



__________

この物語を書き始めて、もう1年が経ちました。

第1話はグアテマラ、そしてメキシコ、セドナ、と旅しながら、

この第13話は舞台のペルーに戻って書くことができています。

本当にありがとう!


そして本当に素敵な方との出会いがあり、

この物語が、本になることが決まりました。

出版は4月予定です^^


この物語が世界中の”前兆”となるように、

心から願って。


____

※都合により一部名称や設定を変更しています^^

読んで良かったを押してもらえると、とっても嬉しいです^^//!


__________________

5年後の私より。

このストーリーは2015年に書籍化となり、
2019年にベストセラーとなったんだよ!

この本を出してから、人生が変わったという人からたくさんメールが届くんだよ。最後まで書くのが本当に怖かったけれど、絶対書いてよかった。

『あーす・じぷしー はじまりの物語』
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続きのストーリーはこちら!

第14話 1本の木と奇妙な夜 【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】