【第12話】『答えを出さなきゃ…』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
この看板からひたすらずっと上り坂になる。
そんなことは全くもって知らないから、猿の標識を見て、僕は1人ではしゃいでいた。
「よっしゃ、この坂上れば、楽だべ!」
なんて思っていたが、
この坂が続く、続く…。
しかも地味に勾配がキツイのだ。
「ふぅー。やっと上り切った。」
高いところから見下ろす田園風景は、社会の教科書で見るような盆地ならではの
ザ・田舎の棚田が広がっていた。
とても美しい風景だった。
「晴れの日といい景色は僕をハッピーにさせる」
これが待っているから、上り坂も頑張れてしまう。
しかし山は、上った後は必ず下る。
今度はひたすら下る。
下りはツラい。
足の負担が半端じゃない。
ストックを長めにし、松葉杖のように体重を乗せながら、
なるべく足に負担がかからないように歩く。
足が痛い…。
今までの好調っぷりが嘘のように、
下り坂に入った途端に足に激痛が走り始めた。
もはや真っ直ぐには歩けない。
身体を横にし、カニ歩きの様にして坂を下った。
それでも足の痛みがヒドく、少し先に見えるコンビニで休憩をする事にした。
靴も靴下も脱ぎ、入念にストレッチをする。
右足の足の裏からふくらはぎ、ひざ、ももの裏の筋肉が硬直してしまっている。
足をさすりながら、温め、ゆっくりと筋肉をほぐす。
これだけでも大分楽になる。
ストレッチを侮ってはいけない。
そして、また歩き出す。
ひたすら続く下り坂。
いつまで経っても下り坂。
止まっていたせいか、山の中なのか、天気は良いが、気温がグッと低くなった。
冷たい風も吹き始め、ダウンを着ていても寒かった。
13℃…。
そりゃ寒いぜ…。
さすが長野だぜ…。
茅野市に突入!
坂を下り切ると、そこはレトロな町だった。
「太田胃散」
「いーくすりです!」
太田胃散の歴史を感じた。
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