【第12話】『答えを出さなきゃ…』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
ここは寒天の里らしい。
恐らくこの先、寒天に出逢ったら、
必ずこの場所とお尻の痛みを思い出すだろうと思った。
右足の終了…
時刻は3時。
まだ暗くなるまでに時間はあるが、
どうやら僕の右足は結構ヤバイらしい…。
「そろそろ宿を探すか。」
スマホで近くの安い宿を探した。
茅野駅周辺に幾つか宿があった。
値段と、大浴場があることから、
今日の宿は、
「ホテルわかみず」に決めた。
あと5kmちょっと。
暗くなる前に十分に間に合う。
朝早く出たから、今日は早目に休もう。
そして、また歩き出す。
風が冷たい。
そして、また更に気温が下がった気がする。
しかし、まだ明るい時間だということで、
僕は余裕をぶっこいて、写真を撮った。
「ピキッ」
ついに来た…。
右足の終了…。
このコスモスを撮ろうと、少し屈んだ時、
僕の右足はお亡くなりになった。
しかも今日のは少し違う。
痛みの次元が違う。
足が全く曲げられない。
前に足を出すことさえ痛くて出来なかった。
少し歩くと、坂室トンネルという新しく出来たであろう
キレイで大きなトンネルに入った。
トンネルは歩道も広く、温かくて少し安心した。
そんな安心は一瞬で、トンネルを抜けると、
待っていたのは茅野市街地に続く、ひたすら長い下り坂だった。
勾配は決してキツくない。
しかし、どんなに緩やかな勾配でさえ、僕の右足は敏感に察知した。
右足がちぎれそうだ…。
思わず立ち止まる。
今日の宿はもうすぐそこなのに、その道のりが果てしないものに感じた。
「もう歩けない…」
そう思った。
でも、どんなに小さな一歩でも、
確実にゴールに近付いている。
休憩してたら前へは進めない。
準備が出来てるなら迷わず足を出せ!
そう頭で唱え続けた。
そこからはカニ歩き。
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