【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

13 / 14 ページ

前話: 【第14話】『人の望みか、自分の意志か。』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
次話: 【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜


それでも十分だった。


正直、最初はちょっと高いと思ったよ。


もっと安い宿があるんじゃないかと思ったよ。


それでも、工事のおじさんとの出逢いを大切にしようと、


七倉荘にした。


そして、じいさんに出逢った。


それだけで十分だった。


この出逢いで、もう十分過ぎるほど元は取れていた。



台風の影響が出ると思っていた今日、


ルートインのお姉さんの優しさに出逢い、


親切に道を教えてくれたおじいさん、


快く休ませてくれた信屋商店のおじさん、


大声で声をかけてくれた工事のおじさん、


そして、七倉荘のじいさんに出逢った。


てるてる坊主の町のおかげで、


大自然を感じることが出来た。


自然の音を聴きたいと思わなければ、


イヤホンをしたままで、

工事のおじさんの声には気が付かなかったかもしれない。


そもそも、この道を選ばなければ、出逢うことは絶対になかった。


小さな小さな偶然が、まるで奇跡のような出逢いを運んできてくれた。


僕の小さな小さな行動が、素晴らしい結果を生み出した。



「僕の選択は間違っていない。」



そう思えてきた。


むしろ、



「僕の選択は、必ずいい結果をもたらす。」



と思えた。



道を間違えても、必ず何かの発見があるし、


宿が満室でも、違う宿で素敵な出逢いがあるし、


どんなに疲れていても、手を差し伸べてくれる人はいるし、


いつもと違うことをしたら、初めての感動があるし、



何をしても、奇跡のような素晴らしい出来事が待っていた。



うつ病にならなかったら、こんな経験は出来ていない。


「死にたい」と思わなかったら、この場所にはいない。


こうやって過去を辿ってみると、すべてが繋がっていたことに気が付いた。


一つの物語のように。



旅に出る前までは、


僕の人生の最後のページは最悪だった。


でも、次のページをめくったら、素晴らしい場面が待っていた。


最悪のページは、今のページに辿り着くまでの途中に過ぎなかった。


僕はずっと、最悪のページが最後のページだと思っていた。


いや、最後のページにしようとしていた。


でも、本当はまだまだ続きがあった。


信じられないほどの素晴らしい物語が先に待っているというのに、


僕はページをめくるのを勝手にやめようとしていただけだった。



次のページはどんなことが待っているのか分からない。


それでも、めくり続ける。


今のページがどんなに辛い場面だとしても、


決して自分の物語をそこで終わりにはしない。


物語は、いつだって最後が一番幸せなんだ。


辛いことがあったからこそ、最後は幸せになれるんだ。



僕が死に場所を探しに旅に出たのだって、


最後に美しい景色を見たかったから。


最後に、せめて幸せだと思える場所で終わりにしたかったからだ。


どんなに「死にたい」と思っていても、

著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む

著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。