【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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暗くなってしまったら、先の道なんて見えやしない。



少し先に見えるゴルフの練習場の灯りを頼りに、前へ進んだ。



草むらの中から一人の青年がゴルフ場に現れた。


ゴルフをする人に似ても似つかぬその風貌は、


実に場違いで、実に恥ずかしかった。


人に見られぬように、僕はやっとの思いで元の道に出た。


七倉荘まではあと少し。


ひときわ明るい大きなスーパーで、


今晩の食料を買うことにした。


これまた恥ずかしかった。


大きな荷物を背負い、両手にストックを持った人間が、


スーパーでカートを押している。


実に異様な光景だ。


しかし、スーパーは便利である。


欲しいものはほぼ何でも揃っている。


明日からは更に過酷になる。


宿だってあるか分からない。


この先のことを考え、少しでも栄養のあるものを買った。



僕は日中、ほとんど何も食べない。


スポーツドリンクと塩飴、

ローヤルゼリーの入ったウイダーインゼリー的なもの。


これくらいしか口にしない。


不思議とお腹は空かなかった。


その分、夜ご飯はメチャメチャ食べる。


ほぼ、夜ご飯だけの栄養で生きていると思えるくらいだった。



買い物かごいっぱいに食料を買い込み、



いざ、七倉荘へ。




スーパーから200mほどの暗い路地に入ったところに七倉荘はあった。



「すみませーん!」



「はい!」


フロントに現れたのは、

ジジシャツを着た、文字通りのじいさんだった。



「日本海まで旅をしていまして、途中で七倉荘が良いと聞いたもので。」


「部屋空いてますか?」




今になって思うが、


なぜ僕はいつも、事前に空き状況を確認しないのだろう…?


先に宿を決めてしまったら、そこまでしか行けないような気がして嫌だったのだが、


それにしても行き当たりばったり過ぎる。


が、僕はいつも、絶対に空いてるイメージしか持っていなかった。


結果ちゃんと空いてるし。笑



じいさんは、


「そりゃありがたい話だなぁ!」


「ユニークな青年が来たもんだ!」


と言って、


「じゃぁ、せっかく来てくれたからこれをあげよう!」


と、僕に七倉荘オリジナルのウェットティッシュをプレゼントしてくれた。


実にいいキャラのじいさんだった。



創業50周年


七倉荘オリジナルウェットティッシュにそう書いてある。



僕と同じ歳くらいの時に始めたのだろうか?



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