【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
と思った。
おじいさんは、僕のことは何も聞かなかった。
ただ単に興味が無かっただけなのかもしれないが、
きっと気を使ってくれたんだと思った。
「おじいさん、ご親切にどうもありがとう!」
体育館の前を通り過ぎた。
小学校低学年くらいの小さな子ども達が下校している。
韮崎の保育園での出来事であったように、
幼い子どもは、実に正直だ。
だから、少しビビった。
また何を言われるか分からない。
でも、黄色い旗を持って道路を渡る姿を見て、微笑ましく思った。
この町は、池田町。
てるてる坊主発祥の町らしい。
どおりで今日は天気がいい訳だ!
僕がこの町を通るから、台風を吹っ飛ばしてくれたんだと思った。
「んな訳ない!」
と思うかもしれないが、
モノは考えようである。
自分が「そうだ!」と思えば、そうなのだ!
そして、県道51線に出た。
本来は、千国街道という糸魚川まで続く道のルートにしようと思っていたのだが、
googlemapではこの51号線のルートが最短距離だった。
今日のゴールの信濃大町までは、
この道をまたひたすらに真っ直ぐ進む。
天気が良く、調子が良かった僕は、
ほとんど休憩していなかった。
時刻は15時。
さすがに疲れた。
定休日らしきお店の前にベンチがあった。
信屋商店。
「ここで休ませてもらおう。」
僕は、ベンチに座り、休憩をした。
すると、店主らしきおじさんが現れた。
「やべっ!怒られるかも…」
僕は焦った。
しかし、もうすでに座って休んでいる。
すぐに立ち上がれるほど体力も残っていない。
「少し休ませてもらっていいですか?」
そう声をかけた。
「いいですよ♪」
本当に助かった。
休憩出来たことはもちろんだが、
快く受け入れたことに、感謝の気持ちが溢れた。
「おじさん、ありがとう!」
今日は天気もいいし、出逢う人もいい人だ。
池田町は、とても良い町だった。
水分補給をし、呼吸を整え、僕はまた歩き出した。
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