【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
それなのに、背中を押してくれた親。
必ず帰ってくると、僕を信頼してなのか、
ここで否定したら、もっと悪化すると思ったのか、
また違う理由なのか、
僕には分からない。
ただ今は…
「行かせてくれてありがとう!」
と思う。
この美しい景色や、起きた出来事、出逢った人、
この旅で僕が感じ取ったすべてを、
「両親に見せたい。」
と思った。
てるてる坊主の町
果てしなく続くこの道で、
誰一人に出逢うことなく、僕はこの大自然を満喫していた。
もうずいぶん歩いた。
「そろそろ何かの目印があってもいいんじゃないか?」
それくらいひたすら真っ直ぐな道を歩いてきた。
しばらくすると、向こうの方に建物が見える。
「何か駅っぽいな…」
そう思った。
前方から、おじいさんが歩いてくる。
僕は、あの建物が何なのか聞いてみることにした。
知らない人に話しかけるのは結構緊張する。
僕は元々全く人見知りはしない。
でも、うつ病になり、人が恐くなってから、
人と話すことにまだ恐怖心を持っていた。
共通点があれば、話すことは出来たが、
自分からキッカケを創るのは、かなり勇気のいることだった。
でも、
「やらなきゃ!」
僕にはリハビリが必要なんだ。
練習しなきゃ、強くなれない。
僕:「すみませーん。」
おじいさん:「えっ?」
おじいさんは驚いていた。
得体の知れない若者に、
いきなり声をかけられたんだから無理はない。
異文化コミュニケーションだ。
僕:「あれってなんですか?」
質問は簡潔に。
おじいさん:「あれ?あれは体育館だよ。」
僕:「体育館ですか?駅かと思いました。」
普通なら「そんな訳ないだろ…」的な苦笑いポイントだが、
「あれは中学校の体育館なんだよ!」
と教えてくれた。
とても穏やかなおじいさんだった。
「自分から話しかければ、良くしてくれるんだ…」
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