【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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ついに、糸魚川の文字が標識に現れた。



糸魚川87km

大町  9km



「よっしゃ!!」


ゴールの糸魚川まで100kmを切っている。


このときの感動は大きかった。


8日目にして初めて、ゴールが目に見えるものとして現れた。


日本海なんてぶっ飛んだゴールを設定したが、


僕は本当に自分の足で辿り着こうとしている。


ゴールが一気に現実的になった。



この道を行けば、日本海だ!



僕はただひたすら前へ進んだ。


もう前へ進むことが当たり前になっていた。


道が分からなくても、どんなに足が痛くても、

どんなに疲れていても、ただ一歩ずつ、それを繰り返した。




歩くって不思議だ。


すべてを忘れさせてくれる。


悩みや不安、自分がうつ病であることも、

時間の流れさえも忘れさせてくれる。


ただ、今この瞬間を確かに生きていることを実感させてくれた。





県道51号線は、安曇野アートラインという舗装のされたきれいな道だった。


僕が歩いている左側には、豊かな田園風景が広がり、

道を挟んだ右側は木々が生い繁っている。


前の方に、道路の反対側で何やら工事をしていた。


作業服姿のおじさん達が数人、作業をしていた。


「何の工事をしてるんだろう?」


と思いながらも、僕はそこを通り過ぎようとした。



すると、



「どこまで行くんだー??」



作業をしているおじさんが道路挟んで大声で声を掛けてきた。



「日本海までです!」


「神奈川から歩いて来ました!今日で8日目です!」


「今日は信濃大町まで!」



僕も大声で返した。



「8日で来たのか!!」



とおじさんは驚いていた。


それから、


「宿は予約してるのかー?」



と聞かれ、



「してないですー!」



と答えると、



「何とか荘が安いぞ!!」


「あれ?名前なんだったかな?」


「名前ど忘れした!!!」



と、気さくなおじさんだった。


安い宿とは、何ともありがたい情報を教えてくれた。



「ありがとうございます!!」



と、手を振って別れた。


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