【最終話】『僕の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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次のことなんて考えない。


やってきたことだけに掛けられた言葉だった。


そしてそれと同時に、


それ以上に、


「ありがとう!」


この言葉が湧き上がってきた。


この旅で起きたこと、出逢ったモノ、

すべてに感謝の気持ちが溢れてきた。



何かを成し遂げた時のインタビューで、


「支えてくれた人に感謝したい!」


とはよく聞いた。


僕はそれを耳にする度、


「何、綺麗事言ってんだよ。」


と思っていた。


でも、綺麗事なんかじゃなかった。



本当に頑張った時は、


自分の成し遂げたことなんかよりも、


誰かの、何かのおかげで成し遂げられたということに感謝の気持ちが溢れる。



初めて知った。



今まで僕は、全部一人で解決しようとしていた。


どんなにツラくても、自分が我慢すればいいと思ってやってきた。


「人に迷惑を掛けてはいけない。」


仕事でも、彼女にも、友達にも、家族にさえも、そう思ってきた。


そして、僕はうつ病になった。



「人に迷惑を掛けてはいけない。」



このことが、僕をどんどん追いつめ、苦しめた。


もう、自分独りではどうにも出来なくなっていた。



思い返せば、会社でも、


「坂内、独りでやり過ぎ!」

「誰かに頼めばいいんだよ!」


そう言ってくれていた。


彼女も、


「言いたいことあるんじゃないの?」

「ツラいって言っていいんだよ?」

「泣いてもいいんだよ?」


と言ってくれていた。


友達も、


「何かあったら、言ってくれ!」

「ひーくんのためならすっ飛んでくから!」


そう言ってくれていた。


家族も、


「家族なんだから、いつでも頼りなさい!」

「何があっても家族なんだから。」


そう言っていた。



それでも僕は、誰にも頼らなかった。


いや、頼れなかった。



小学生の頃から、一番上の姉は病気になり、

二番目の姉は反抗期が酷く、

毎日朝から、反抗期の姉と母親とのケンカに始まる。


逃げるように学校へ行った。


学校から帰ると、動けなくなった姉は発狂し、泣きわめく。


僕にはどうすることも出来なかった。


こんな生活が、


毎日、毎日、毎日、毎日続いた。


それでも、僕だけはしっかりしないといけないと思った。


少しでも親を喜ばせたいと思っていた。


だから、勉強も頑張った。


部活も頑張った。


中3の時はクラス委員にもなったし、

卒業する頃には、成績はほぼオール5だった。

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