【最終話】『僕の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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先生からの信頼も厚かったし、


友達だってたくさんいた。


でも、家のことを相談出来る人は誰もいなかった。


いつも一緒にいる仲の良い友達でさえ、話せなかった。


中学生の子どもに、こんな家のことを話しても、誰も分からない。

困ってしまうだけだ。


そんな経験をしてる人なんて誰もいないんだから…。


先生でさえ、僕の気持ちなんて分からないんだから…。



友達と一緒に居ても、素直に楽しめなかった。


中学生特有のバカなことも楽しめなかった。


人に迷惑を掛けたら、親が悲しむから。


僕は、みんなと違う。


普通のことに笑い、喜び、怒り、悔しがることも出来なかった。


誰にも心を開けなかった。


すべてが他人事だった。


僕には関係のないことだった。


毎日がつまらなかった。


すべてがくだらないと思った。


どんなにバカをしたって、僕の環境は変わらない。


家に帰れば、また親と姉ちゃんのケンカと、

発狂し、泣き崩れる声が聞こえる。


こんな家に帰りたくなければ、

誰も分かってくれない学校にも行きたくなかった。


僕は、どこにも居場所がなかった。


誰かと一緒にいても、いつも独りだった。



今思うとこの頃から、

誰にも頼ってはいけない。

僕が全部我慢すればいい。


と思うようになったんだと思う。



高校では、ボロボロのローファーを履き続けた。


母親に新しいのを買ってあげると言われても、


「気に入ってるから!」

「味があってイカすでしょ!笑」


と拒み続けた。


その内、


「みっともない!」


と言われるようになった。


そして、僕は言ってしまった。


「姉ちゃんの治療費でお金が掛かるから、新しいの買ってなんて言えないんだよ!」


と…。


しまった…。と思った。


母親は今でも、この時僕が言ったことが忘れられないと言う。


本当に申し訳ないことをした。



母親は次の日、新しいローファーを買って来た。


僕には大き過ぎるくらいのを。


それでも、僕はそれを履き続けた。


またボロボロになるまで。


結局卒業まで履き続けた。


中3から、高3まで毎日履いたローファーは2足のみ。


でも、そんなことはどうだって良かった。


少しでも早く一番上の姉ちゃんの病気が治ればいいと思っていたし、

二番目の姉ちゃんの反抗期も一刻も早く終わってほしかった。


この先も全然終わらなかったけどね。笑



幸いなことに、数年後、一番上の姉ちゃんの病気は治った。


障がいは残ったけど。


闘病中知り合った同じ病気だった人は、

全員と言っていいほど亡くなった。


姉ちゃんだけが生き残った。


奇跡だった。


姉ちゃんは、今も元気に暮らしている。


障がいを抱え、大変なことはまだまだたくさんあるけれど、それでも毎日生きている。


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