地震で壊れた祖父のお墓をなおす旅に、幽霊?の女の子と一緒にいった話。④
後ろに女の子の幽霊?がいる。
お墓参りになにもっていけばいいんだろう?
考えていたら
「お人形!」と、頭の後ろから女の子の声が聞こえた。
私が探しているのは、シゲオじいちゃんの墓なんだけど、
女の子? お人形?
怖い感じはしない。
笑いがこみ上げてきて、会社の帰り道、
ショッピングモールの和雑貨屋さんによって、
ちりめんでできたウサギ人形と、風車を購入した。
函館へ飛ぶ朝。
部屋の中に女の子の気配がする。
「一緒にいってくれるの?いこうか。」
返事はない。
あったら困る、というか、怖い。
幽霊?なんだから。
悪い感じはしない、むしろ
楽しそうな雰囲気で、
私の足元で、はしゃぎながら
くるくる回っているような感じ。
空港へ向かうバスの中も、
飛行機の中も、隣の座席は空いていて
女の子はそこにいた。
函館空港でレンタカーを借り、
私がドアを開けると、もう助手席にいた。
「よし!いこう!」
空港を抜けて、函館湾沿いの道
うす曇の天気
左に海岸線を望みながら、上磯郡へ向かう。
ここからどうすればいいんだろう、
「とりあえず、いってみるよ。」
「おかしいる?」
「うさぎのお人形は、お墓がみつかってからあげるね」
「私、お墓まいりするっていうのに、線香ももってないや、
どこかで買わないといけないね。」
女の子の幽霊に話しかけながら、
古い記憶をたどり、車を走らせて行く。
木古内町が見えてきた。
誰かに、このあたりに墓地がないか、
聞いてみよう。
あっ!
観音菩薩の石像がある!
大きな石像が目印の、
墓石を扱う石材屋さんがあった。
お線香売ってるかな。ちょっと入ってみよう。
おかっぱ頭のおばあちゃんは、少し驚きながらも
話を聞いてくれた。
十勝沖地震のとき、この辺も被害をうけて
墓石もほとんど倒れてしまい、
町の有志の人達が
機材を持ち寄り、直したそうだ。
町営の墓地!?
お礼をして、お線香とライターをいただいて、
車に乗り込んだ。
店の前の道を進み
○看板のわき道に入り、
蛇行する舗装されていない道の、
振動を味わっているうちに
低めの柵と、沢山の墓石の上部が見えてきた。
あそこに手洗い場があるはず
入り口の脇に、手洗い場があって、
子供の頃、水をくんだ記憶がよみがえり
ここに間違いないと確信した。
驚きと期待と小さな達成感で
悲鳴をあげて
車を降り
墓地の中にはいり、注意深く
シゲオの名前を探す。
あった!
シゲオじいちゃんのお墓だ
間違いない!
墓石脇に彫られたシゲオの名前
並んで、もう一つ名前があった。
ヨネ
ヨネ・・・誰?
祖母の名前じゃない。
一緒にいる女の子の幽霊の名前?
小さい頃に亡くなった、父親の兄弟かな。
そんな話、聞いたことない。
そうか。お墓まいりに何をもっていこうか考えていた時
「お人形!」とおねだりした女の子の幽霊は
ヨネちゃんって名前だったんだ。
続く。
※ここまで読んで下さり、ありがとうございます。とてもうれしいです。
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