やついフェスティバル2015 1日目 レポート 感想 ~『僕の(フェス)童貞を奪ったのは、やついいちろうでした。』6月20日(土)編~

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著者: 桑原 和也

「アーユーオーライ?OK?OK?really?」


たくさん問いかけたが、


「大丈夫よ」


その一言で、解消された。


Courtney
「あ、ソノ、海鮮が、タベタイ…」



 一一、五〇〇円よりも安くて、海鮮…。


 「あ、鉄板焼きがあるよ!アワビ、伊勢海老だって!(高い高い高い!!)」


 「じゃあ、そこにしましょう」


 一ドル一二四円。ドル高に感謝。


 連れて行ってくれた店を指さし、ラスボス!と、精一杯のふざけをした。


 そのふざけも、矮小化されるぐらい、思い切り雰囲気があるお店だった。


 ドラマでしか見たことないような、「ザ・夜景」。ピチっとしたスーツのボーイさん。

中国人の家族、コック帽を被ったコックさん、着物を着た女中さん…。


 「俺、完全に場違いじゃん!!!」


 唯一フォーマルアイテム、おじいちゃんのループタイも、

ここまで運ばれてくるとは思わなかっただろう。ハットを脱ぎ、まだ、


 「Are You ALL RIGHT?」


 と、何度も確認をする。


 「好きなモノを選びな~」


 尊敬するやついいちろうは、こういうとき、どうするだろうか。

胸の奥のリトルやついに聴いてみた。


 僕は覚悟を決めた。


 「This One!」


 その指の先には、


「アワビ 14,000円」の文字が。


 大勝負だった。


 果たして、出会って二回目の人に、

14,000円のものをごちそうしてもらうのは、本当に許される行為?

それとも、最初の「一階のほうが安かったじゃないの!!」って、キレられちゃうじゃないか!?!


 To AWABI or Not To Awabi.


 一か八か、言ってみた。


 コートニーのおばあちゃんの回答は…。


 「Yes, All right.」


 超訳すると、


 「お前の雪見だいふく、一個もらっていい?」
 「いいよ~。」


 ぐらいのテンションで、アワビ14,000円を注文できた。


 心臓が飛び出る勢いで、ドキドキした。


 人生で一番緊張した瞬間だった。


 その後、シャーベット、野菜の盛り合わせ、あと、前菜を注文した。


 もう、怖いものはない。


 逆に遠慮している方が、相手に迷惑だ。


 アワビが目の前に現れる。


 「う、う、動いているじゃねえか!!!」


 本当に「ゴチになります!」でしか見たことないような、「ザ・アワビ!!!!」


 途中、小さなスープを頂いのだが、

それが美味しすぎて、びっくりしたオーバーリアクションをしたら、取り上げられた。


 「あのぉ~。まだ、飲みたいんですけど~…」


鉄板焼きホールの女性
「大変申し訳ございません!お客様のお口に合わなかったのかと思いまして、すいません!」


 こちらこそすいませんだよ!(笑)


 なんだよ!あの謎スープ!ウマ過ぎだろ!


 その後も、熱々の鉄板で踊るアワビ。


 自分の作業所の時給が一五〇円なので、

約一〇〇時間働いて、やっとこのアワビ一個を食べられる。

自分は、改めてゾッとした。


 料理の鉄人で、鹿賀丈史が今日の食材をオープンするときに使う、

「銅の蓋」で、酒蒸しにされるアワビ。


 その後、剥いた殻で蒸されるアワビ。


 切り分けられるアワビ。


 目の前に現れる、アワビ。


 緊張しながら、一口目を頬張る。


 「なんなんだ!!!!この旨さは!!!プリッとした食感と、重厚な甘み、旨味、どれを取っても、自分にとって一番うまい食材だ!!!」


 おばあちゃんに、


 「May I Take hear your name?」(お名前を伺ってもいいですか?)と聞き、


 「I’m June」


 私はジューンよ。と言ったので、体全体を揺らしながら、

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