『ペ●スノート』:Page 7「緊迫」
「邪魔ヲ、ス ル ナ ・ ・ ・ ・」
娘撫は剣目がけて即座に腕を伸ばすっ!剣(ないと)、たまたま反射神経が上手く働いてスグに避けるッ!剣が避けた後、娘撫の腕は床を貫通していた。ああ、家のローンが・・・・て嘆いてる場合じゃねえ!アイツ間違いなくワイを殺す気や!!!
「ハヤク、コッチニワタセ」
娘撫は床にめり込んでいた腕を即座に出し、剣の方へ手を伸ばした。もはや、今の娘撫は僕の知ってる娘撫なんかじゃない。ただの化物だ。
「な、ナイト!!逃げた方がいいんじゃねェか!?モタモタすんじゃねェ!!!」
狼狽えていた剣だったが、死神の一言に我を戻し、すぐに家中を彼方此方と駆け回った。
しかし、多田家(たたけ)には二階なんてモノはないので、逃げられる場所には限りがある。それに、いくら逃げても娘撫の手は壁を貫通してでもこちらまで追いかけてくる。故に、三分も経たないうちに剣は浴槽の中に隠れている状態となってしまった。娘撫の腕は収まることなく、家中のあらゆる壁を高速で貫通し、剣を探っていた。
「ドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダドコダ」
娘撫の不気味なリフレインと共に、腕の動きはどんどん加速してゆく。剣は、浴槽の中で恐怖に怯えていた。
「(うぅ・・・・ど、どうしよう・・・・)」
逃げ場を失くした剣は、恐怖のあまり、涙目になっていた。しかしである。
「(待てよ・・・・逃げ場はないけど・・・・僕にはこれがあるじゃないか! )」
剣は手元に持っているペ⚫︎スノートを見た。目的も使い時も謎で、効果が本当にあるのかも未知で意味不明な機械。これを使うことでこの状況が収まるかはわからない。しかし、追い詰められた今、これに頼る以外に他がない。
剣はすぐにペ⚫︎スノートの電源を入れ、録画ボタンを押した。そして、ついにマイクに口を近づけた。
「多田(たた) 娘撫(んこぶ)!!!!」
シャウト気味になってしまったため、娘撫もその音に感知した。
「モシヤ、風呂場カトイレニカクレテイルナ・・・・?」
剣はもう超(ちょー)しまったみたいな感情が湧き出た。うっかり叫んじまった!・・・・でも待て!効果が出るまで35秒ある!35秒間隠れ続けていれば何も問題がないじゃないか!頼む神様!どうか見放さないでくれー!!!
一方、疫病神のヌークと死神は、虹空を交えてUN⚫︎で遊んでいた。
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