母がアルコール依存症だと気づいてから10日間地獄を見た話。2日目。
母を捜索
いつの間にか寝てしまっていた間に、母がどこかに行ってしまった。
例のどでかい紙袋はある。
電車もバスも動いてない早朝だ。
どこ行った?
タバコ買いに行った?
タバコは置いてあった。ほぼ一箱分。
近所を探してみようと家を飛び出した。
徒歩五分ほどのところにコンビニが2件ある。
どちらにも行ってみた。
いない。
どこに行ったんだろう。
どうしよう。
そういえばなんか昨日から変だった。
落ち着きがなかった。でも寝る前はそんなことなかった。
何が起こっているんだ?
わけがわからなかった。
家の周辺探しまわったがどこにもいない。
家に帰ってもいなかったらどうしよう。
私のせい?
昨日なんか変だったのに気付かなかったから。
どうしよう。
胸がざわざわしながら家に一旦戻った。
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
涼しい顔して言った。
家に居た。帰ってきていた。
ビールを飲んでいた。
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
そんなにビール飲みたかったわけ?
しかも早朝に…とは思ったけど
その時私はただ単に、飲みたかったんだろう。
として処理した。
まだアルコール依存症だとは気付かずに。
そもそもアルコール依存症という言葉は知ってはいたものの、
基礎知識がまったくなかった。
どういう病気なのか知らなかったし、これは病気だということすらも知らなかった。
異様に酒が好きな人のことをアル中と呼ぶのだと思っていた。
駅での奇行
私は夕方からバイトだった。
急に居なくなるような人を家においておくわけにはいかない、と危機感を感じた。
とにかく早く帰ってもらおうと説得した。
すると意外にも素直に、今日帰るよと言った。
本当に駅に行って帰るのか心配だったので見送ることにした。
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
やっと食欲が出てきたのだろうと思って私は嬉しくなった。
だいぶ体調が良くなったのかな?と思った。
新幹線の改札口に近いエリアに飲食店が4、5軒あったかと思う。
その内の一軒のお店に入った。
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
朝も家で飲んでたよね?
また飲むの?
と思ったが今まで飲食店に入ってお酒を頼まなかった日はなかったので、
ちょっと飲みすぎなんじゃないかな…とは思ったがそこはスルーした。
私がご飯を食べおわる頃、ビールは半分も減っていなかった。
しかし新幹線の時間がせまっていた。
自由席だったから何時の便に乗ってもいいのだが時間が気になって私は出よう、と促した。
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
早く帰れよ、と言いたかった。
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
新幹線一本遅らせることにした。
何を話すでもない、肝心なことは聞いても話そうとしないから会話も続かない。
沈黙が流れる。
減らないビール。
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
返答なし。沈黙。
ああ、うざい。時間がもったいない。
もうすぐバイト行かないといけない。
私は焦りだした。
イライラしてきた。
頼むから本当に早く帰ってくれ。
![](/images/characters/child_girl_42x42.jpg)
![](/images/characters/boxman_42x42.jpg)
レジに向かうと急に母はすっと店外へ出た。
必然的にお会計は私。
まさかあの人お金持ってないんじゃ…
でもさっき新幹線の切符買ってたよね?
とまた混乱させられた。
お金がどんどん無くなる。本当に嫌だった。
汗とふるえる手
レジをすっと出たのは、次の店に入るつもりだったかららしかった。
会計を済ませた私は母が隣の店に入るのを見かけた。
著者の森田 望美さんに人生相談を申込む
- 1
- 2
著者の森田 望美さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます