フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 27話
夜を生きていくためのなくてはならない重要なアイテムだ。
その思いを噛み締めつつ私は、破った。
これは儀式なのだ。
これが全て、破られる時…
魔法がとけるのだ。
コレは、元の世界に帰る儀式だ。
いつの間にか紙屑の山が出来ていた。
私は、それを掻き集めゴミ箱に流し入れていった。
携帯電話が鳴ったのは、その時だ
お母さんかな…と思った。
今頃電車に乗る頃だろう。
私はロクに画面を見ないまま、耳に当て言った。
「もしもし」
「あ、俺」
その声を聞いた瞬間、私の頭の中は真っ白になった。
黙っていると佐々木が、いつになく
悪びれた口調で言った。
「怒ってるよな。ごめんな。何にも言わずに消えて。
おい…聞こえてんのか?」
「聞こえてる」
「おう、そっか。ま、元気そうでよかった」
何言ってんのこの人…
アンタのせいで私がどんだけ苦しい思いしてると思ってんの!
「今、何処にいるんですか?」
「大阪…」
「やっぱり…
じゃ…カナと一緒なんですか?」
「あ、やっぱり、そういうことになってんのか。
確かにカナと一緒だった。あいつ借金でヤバイくてさ
一緒に連れてけって」
「一緒に逃げたってわけだ」
「おい!俺とカナは何でもねえぞ。
前にパテオでボーイしてたジロって奴覚えてるか?」
半年くらい前、辞めた若いボーイがそんな名前だった。
「カナは、そいつの女だよ。でも、何だか知らねーけど
居場所知らねえらしくてよ、俺が大阪行くなら案内してくれって
頼まれて、仕方ねえから連れて行ってやったんだよ」
カナとは、今は一緒にいないと知っても私の中で
私の心中は変わらなかった。
何でいなくなったの…?
私には何も言わずに
「何で…?玲子さんのことはいいわけ!?
何で大阪なんかに行ったの?」
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