子どもを亡くして社畜をやめた話②社畜ライフ

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著者: 中野 ガンジー


もちろん家族と過ごす時間はほとんど無い


しかし


ここまで書いていて見返すと
このくらいの勤務時間であれば
それほど珍しくもないのだろうなと思う


なぜ皆それほどまでに働くのだろうか


おれの場合
「そうしたかったから」
としか言いようが無い


収入面で考えると


あれだけの時間働けるのであれば
8時間で終わる派遣社員の傍ら
さらに夕方から夜間のアルバイトを掛け持ちするのと
さほど変わらない程度の給料であったし
残業代は一定の時間数以上は出なかった


青天井のインセンティブがあった訳でもなく
終身雇用による定期的な昇給が見込めた訳でもない


間違いなくあの時俺は
仕事をするのが「気持ちよかった」だけだった
いまではそう思う


経営者でもなく
フルコミッションで稼ぎたいだけ稼げるわけも無いのに
そういう自分の「気持ちよさ」の為に
常軌を逸して長時間働いている人間が
いわゆる「社畜」というものだとおもっている


そしておれのような社畜が集まり
そういう人間の行動を
諌める規則が機能していなかったり
むしろ褒め称えてしまう様な組織が
ブラック企業と化していくのだと思う


特に数十人単位の小さな組織では
そのリーダーがおれの様な社畜であったなら
ブラック化すること待った無しである
自分のほかにあと2・3人
主要なポジションに社畜を配備すれば
自分が「気持ちよく」仕事をすることが出来る組織を作り出せる



被害者は



不本意ながら社畜のペースに合わして働かざるを得ない
「気持ちよくない」人たちや
「気持ちよく」なってる人の家族である




おれの場合では妻がその被害者だった




むすこである「はじめ」を亡くすまで
おれの社畜ライフは加速する一方だったし
彼を亡くしてなお
当分の間それが変わることは無かった

あのときの彼女の孤独は
おれが自ら進んで作り出したものであるし
おれは彼女の悲しみから逃げる為に
仕事に没頭しようとした




あの時間を取り返す術は無い








おれの所属していた会社と部署には
組織をブラック足らしめる環境と人間がそろっていた

次回は
もう少し詳しくこの組織と
組織を構成するキャラクターについて説明したい
この手の話にありがちな内容なんだけど


以下次回のお知らせ
  • 課長倒れる(3ヶ月ぶり7回目)
  • インシュリンを腹に突き刺したまま眠る部長
  • セミナー好きの社長
  • 凹むデスク
  • 山手線でローキック


遅筆ですが読んで頂ければ幸いです


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子どもを亡くして社畜をやめた話③山手線でローキック