偏差値27.5からの大学合格 その13

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著者: Nobu Ishii
運命の模試 その2 
  実は、答案返却後の記憶がしばらく途切れている。
 その後のシーンとして思い出すことができるのは、夕方の代々木ゼミナール原宿校舎の自習室。
 廊下側の席に座って世界史の過去問を解いている。窓の外には夕焼けの色がうつっている。そういえば、俳優の沖雅也が新宿で自殺したのはこの年であった。
 高校の同期で一緒に浪人した友人は、受験直前の1月に自殺した。人間の生死を分けるのは一体何なのだろう? 合否を分けるのは一体何なのだろう?
 私は優等生ではない。成績優秀でもない。
 私よりも優秀で、賢くて、博学で、人間性も素晴らしい人はたくさんいた。その後、大学に入ると周囲はすさまじく優秀であった。文学に対する深い造詣と、教育に対する熱い思いを抱いた同級生の会話にはとてもついてゆけなかった。実際、大学の卒業成績は散々なものである。ところが、そんな私が今教壇に立っている。 
 思い出すことの出来る、自習室で世界史の過去問を解いている私は、すでに受験勉強に関する発想を切り替え、精神的には落ち着きを取り戻していた。
 何がきっかけで落ち着きを取り戻したのかは、今では思い出すことができない。ただ、受験勉強に関する発想を切り替えた内容は、今の私の支えになっている。

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