イヤでも身につく”使える英語力“ 3. 仕事と英語(1) 誰でも得られる英語の果実 3.1.1海外文献情報収集
これからは私が社会で英語をいかに使って仕事をしてきたか、英語力がいかに仕事と生活に役立ってきたかを中心に振り返ってご紹介します。
仕事の性質上、繊維の加工技術や情報を海外の専門誌を読み、最新の知識や情報を英語で得る必要性がありました。いわゆる原文情報収集です。勤務時間後の自主的な勉強会では各自が文献から入手した情報を翻訳し紹介し合ってお互いに情報を共有し最新の仕事、研究ができるようにするためでした。
20歳代で業務経験のほとんどない人間に海外専門誌を国内発行の専門誌と同じスピードで読破できる能力があるはずがありません。最初の頃は一つの文献に多くの時間を費やしたことを覚えています。ただ、若い研究員や上司とも大きな差は無いように思えていましたし、英語そのものが嫌いでなく、慣れればなんとかなるだろうとも思ってもいました。そこで、生活する独身寮では英字新聞を購読しました。日記を英語で書くことは入社後すぐに始めていました。
私は現在、電気・電子系の開発も行っていますが、約30~40年前の20歳代前半は化学系の研究助手・技術者(合成高分子、染色化学、繊維加工仕上)として東洋紡・高槻研究所で過ごしました。
研究所では海外出版の最新専門技術誌は次々と研究員に回覧された後で、図書館に保管されていました。少なくとも自分の専門分野の新しい情報や知識の半分くらいは原書で理解し、興味ある内容は再現確認試験を行うことが研究員としては義務で必要でもあったのです。入社後10年くらい経過し、会社の国内留学から元の研究所の職場に研究員として復帰していた昭和50年頃には毎月の月報は英語で提出することも義務付けられていました。
技術開発は一刻を争う熾烈な競争であり、原書を他人が翻訳した情報をあてにしていたのでは開発のタイミングを逃す危険性も大きいのです。ある日、自重の数百倍の重量の水を吸収できる高吸収性ポリマーの情報を英国からの専門誌で入手し、すぐに確認のために合成実験をしたことを覚えています。合成した高吸収性ポリマーは毎月の全研究員参加の報告会で披露・報告してその使用方法を全員で考えましたが、現在多用されているオムツへの使用というアイデアは残念ながら当時は私を含めてどの研究員も上司も思いつきませんでした。早すぎた?のかもしれませんが、ビジネスセンスのなさが今にして思えば、残念です。
原書を母国語のように理解できる能力のない研究者が研究現場には必要とされないのは何十年も前から現実です。現在、2011年6月ですが来年度2012年に大手企業が採用する従業員の数は国内よりも海外が多いのもこのような実情の反映、東日本大震災による経済活動打撃への対処、日本国内の企業経済活動への課税方針の非情さなどと解釈できます。
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