未来のメッシを育てる!地球のあらゆる「才能」に課金できるサービスができるまで
2019年のモバイルゲームの世界市場は、7兆円を突破した。スマホの中でキャラクターに課金して強くしていくにあたって莫大なお金が動いているゲーム市場。そのお金をリアルな地球上の才能に課金できないか?そんな考えからスタートしたのが地球上の「才能」 ―子どもや動物、大自然など、地球の未来に残したいものすべて― に課金し育成できるサービス「SPIN」だ。
「SPIN」は人々の心に訴える「ストーリー」を中心に各国のあらゆる才能を世界中から支援できるグローバルクラウドファンディングサービスだ。
プロジェクトの参加者はチャットルームで非日常のつながりを持てたり、最先端のブロックチェーン技術を搭載することで資金の流れをリアルタイムで把握できたりする。今回は、2020年9月にローンチされたこのサービスの開発秘話についてご紹介したい。
―19歳 バックパッカーで世界40か国以上を周遊して価値観が変わった
Freewill CEO & FounderのToshi Asabaは、19歳の時にバックパッカーで世界40か国以上を周遊した経験をもとに株式会社Freewillを立ち上げた。
世界中にはすごい才能を持った子どもたちがたくさんいた。サッカーの才能に恵まれているけれど、貧困や育った環境の問題でそれらの才能が育たないといった状況を目の当たりにしてきた。
バックパッカーとして多種多様な価値観に触れる中で、利益重視のビジネスを国内市場のみで展開する日本企業のあり方に疑問を抱いた。
ただ、日本に帰国してしばらく何もできずにいた。19歳の若者にとって世界の現状を知ることはあまりに過酷で、資本主義の在り方も、先進国での生き方もすべてが間違っているような気がしてしまった。
しかし、自分の中にある情熱を信じ、好きだった映画制作の仕事やヨーロッパでの貿易業での起業などにチャレンジした。しかし、現実は厳しく、描いていた成果を手にすることはできなかった。
その後、シリコンバレーでの現Freewill会長との出逢いがAsabaの人生を大きく変えた。ITはこれからの時代を牽引する技術だと確信し、2013年にFreewillの前身となるIT企業を立ち上げた。マネタイズファーストの考え方から始まるサービスではなく、「愛」から始まるグローバルサービスで世界を変えることを目標に。
―ICT事業で優秀なエンジニアと資金を作り出すことに成功
事業の根幹はICT事業だった。1人でエンジニアの採用から顧客への提案を行って、創業の翌月から黒字化していった。小さかったオフィスは、次第に大きくなり現在の青山に移転した。人数も最初は数名だったが、現在は160名以上を抱える企業に成長した。
ICT事業の良いところは人が育つことだ。資格の勉強だけでなく、顧客の案件を通じてエンジニアの経験も能力もどんどん成長していく。特に、日本企業のグローバル化支援をミッションに掲げてスタートしているので、役員全員が海外ビジネス経験者、社員の8割以上が海外留学や海外生活経験者を占め、バイリンガルエンジニアも多い。
サーバ、ネットワーク、開発案件から、最近ではブロックチェーン、AI、RPAといった最先端技術の知識や経験を持ったエンジニアも数多くいる。要件定義から開発・設計、運用保守までワンストップのサービスも提供しており、業界の中でも異例の大手通信企業、大手ゲーム会社、大手金融機関からの直接契約も何社も受注している。
自社サービスの開発は、資金調達を一切せずに実施したかった。なぜなら、資金調達だけして世の中に本当に必要とされるサービス開発をやっていないスタートアップ企業をいくつも見てきたからだ。
株主のために働き、サービス開発するのではなく、自分たちが本当に良いと思うサービスを世の中に届けたい。そのためには、メインビジネスで資金を作りだすことが必要だった。
さらに、ビジネスは利益追求だけでは立ち行かなくなることは明白だった。地球環境と共存して、初めて持続可能な世界が実現する。消費者を囲い込んで利益を得ることを目的にするあまり、SDGsで設定した目標の大きな壁となる従来の経済体制を継続すれば、世界中で起きている気候変動を止めることはできない。
創業から6年経った2019年、いよいよ準備が整った。
19歳の頃から温めてきたサービス開発を実行に移す時が来たのだ。
2020年、新型コロナウイルスの流行や近年の度重なる災害を経験した日本は、新しい信用経済を基盤にしたニューノーマル時代への転換期を今まさに迎えている。
トランスペアレンシー(透明性)とトレーサビリティ(追跡可能性)、コンパッション(思いやり)をキーワードにサービスの開発を進め、モノやお金の流れが可視化された信用経済をつくり、消費行動で「愛」を表現できる世界を実現したい。それが、サービス開発だけでなく、Sustainable eco Society (持続可能なエコ社会)というトークンエコノミーを作る原動力となった。
―サービスを使うほど森の苗木が増えるSustainable eco Societyの仕組み
自社サービス開発で目指すのは、ビジネスと社会課題解決を両立させること。特に、気候変動や環境問題に関してだ。利益を追求するだけではビジネスは成り立たなくなる。利益(Profit)よりも恩恵(Benefit)を優先するサービスが必要だった。
更に、1つのサービスだけで事業を行うと、それなりの手数料を取らなければならずユーザーにその負担がかかる。
そのため、ICT事業を主軸に、2019年には「SPIN」に加え「Vibes.Media」「FreewillFreespace」の3つのサービスを同時にリリースした。2021年にはもう1つエシカルオンラインマーケット「tells」が追加され、自社サービスは4つになる予定だ。
これらのサービスは相互に連動しており、無意識に地球貢献ができる循環経済である「Sustainable eco Society」の実現を目指している。
「Sustainable eco Society」とはサービスを使うほど森の苗木が増える仕組みのこと。簡単に言うと、お客様の失効したポイントを森の苗木や環境保全活動を行う団体に寄付するのだ。
日本はポイント大国と言われており、ほとんどの店舗やオンラインショップで買い物にポイントが発行されるようになっているが、通常このポイントは失効すると企業に戻り、株主に配当される仕組みになっている。また、ポイントは次回の消費を生む目的で付与されるので、大量消費・大量生産へとつながっている。
Sustainable eco Societyの仕組みの中では、失効したポイントは環境問題の解決に役立つようになる。また、その流れは透明性と追跡性が担保され、どこにポイントが流れたのかが「見える化」される。
仕組みはこうなっている。ブロックチェーンをベースとしたコイン(ポイント)がサービスを使うと還元される。このコインはサービスの中で利用できるが、1か月で失効する期間限定のコインだ。このコインが失効すると、森の苗木に寄付される。ブロックチェーン上に流れがすべて書き込まれているので、改ざんや不正はできず、透明性と追跡性が担保されるというわけだ。
―海外ベンダーとのやり取りやチーム崩壊危機を乗り越えて
ブロックチェーンはインターネットに継ぐ人類の大発明と言える。
だが、このブロックチェーンを使ったサービスの開発や運用はまだ日本国内でも事例が非常に少ない。ブロックチェーンエンジニアの数も少なく、日本国内でサービスを開発するとなると莫大な費用がかかる。
そこで、Freewillは開発パートナー企業を海外で探すことにした。実は海外の方がブロックチェーンのサービス開発は進んでいる。各国を周って最終的に開発を共に行うパートナーとなったのはウクライナの会社だった。
当然やり取りはすべて英語。Freewill側のエンジニアもブロックチェーンのサービス開発は初めてだったので、資格の勉強や海外の大学のカリキュラムを受講するなど必死に勉強をしながら、設計と開発を進めた。
途中、バグが出たり、社内の開発チームがあまりの難しさに退職者が続出したりといったトラブルが多々あった。しかし、代表のToshi Asabaの考えを信じ、このサービスの意義を信じ、開発を続けたリーダーがいた。それがトルコから来たMetだった。本来はデザイナーだった彼が、ブロックチェーンの勉強をし、現在サービス開発の全責任者となってチームを牽引しているのだ。彼がいなければこのサービスは形にできなかったとAsabaは言う。
ミッションやFreewillの考え方に惹かれ、世界中から人が集まって、今のサービスチームが出来上がっている。
―SPINは「地球の才能を育むストーリーファンディング」
SPINは「ストーリーファンディング」という今までになかった仕組みだ。世界中のあらゆる「才能」をサポートすることができるグローバルなクラウドファンディングサービスだ。
「才能」は、人間に限らず、動物、植物、芸術といった目に見えないものも含めて「地球に生かしたい才能」を指している。
ステークホルダーは大きく以下の3者に分けられる。
- 現地の才能を直接支援するプロジェクトのオーナー「メンター」
- 才能を資金提供によって支援する世界各地の「ソーシャルペアレンツ」
- 応援メッセージやシェアを通じストーリーを広げる「レコメンダー」
メンターはサービスを通じて、才能のストーリーに共感してくれる仲間(ソーシャルペアレンツやレコメンダー)を集め、才能を育むための資金を調達することができる。
世界の最前線で才能を支援しているメンターには、社会課題解決に取り組むNPO法人やNGO法人だけでなく、動物園や水族館、CSR/CSV活動を行う企業や組織も含まれる。
―SPINが大切にするのは「人とのつながり」と「見える化」
このサービスが最も大切にしていることが「人とのつながり」と「見える化」だ。
「ストーリーを知れば世界が変わる! 考えたこともないプロジェクトを、自分の人生の1ページに さあ、ストーリーを見つけて参加しよう!」
をテーマに、人々の心に訴える「ストーリー」としてプロジェクトを世界に届け、メンターとソーシャルペアレンツをつなぐ参加型の新しい仕組みを生み出した。
通常のクラウドファンディングでは、「購入型」が多く、1回支援(購入)しただけでその関係性は終わってしまうことが多いが、SPINは「寄付型」で本当にストーリーに共感してくれた人同士がつながれるオンラインサロンのような場所を目指している。
メンターは、本当の仲間を集めることができ、ソーシャルペアレンツも普段の生活の中では出会うことができないような人たちとSPINを通じてつながることができるのだ。
また、「見える化」についてもSPINは重要視している。
まるで映画のエンドクレジットのように、誰がそのプロジェクトに参加しているのかが見えるようになっており、プロジェクト自体のSDGs関連項目や社会的インパクトスコアも表示されるようになっている。ソーシャルペアレンツになる人たちは、こういった情報を元にどのプロジェクトを支援したいかを選択することができる。
また、日本で寄付文化が定着しない理由の1つに、「自分の寄付したお金がどこに使われたのかがわからない」という問題がある。それを解決するのが、ブロックチェーン技術だ。
自分の寄付したお金がいくらメンターの元に届いたのか?それがすべてブロックチェーン上に記録され、サービス上でも見えるようになっている。ブロックチェーンの仕様上、改ざんされることは絶対にないのだ。
メンターは集まった資金をどのように使ったか報告する義務があり、必ず活動期間が終わったらレポートと利用明細をソーシャルペアレンツに報告する仕組みになっている。ソーシャルペアレンツたちは、このレポートを通じて自分たちの支援する才能がどのように育っているかを知ることができる。
―ソーシャルペアレンツが得られるリターン
ソーシャルペアレンツがいなければ才能は育たない。「ストーリー」を通して知った社会課題やメンターの思いに対して共感し寄付を行うことで、メンターとチャットルームで会話ができるなど、非日常のつながりを持つことができる。期間限定のオンラインサロンに参加するイメージだ。動画や文書でのレポートを通じて、才能の成長を見守り、時にはメンターに対してコメントやチャットで意見や情報提供もできる。
ソーシャルペアレンツがレコメンダーを兼ねることも多く、レコメンダーとして才能への応援メッセージがプロジェクトページに掲載され、ストーリーを世界中にシェアすることができる。
ログインしたプロフィール上には、自分が参加したプロジェクトがまるでポートフォリオのように一覧で表示される。どのようなプロジェクトに参加していたかは、社会的な信用の向上にもつながっていき、将来的にはサービス内でジョブオファーなども受け取れるようになる予定だ。
これまでのクラウドファンディングでは「物」がリターンになることが多かったが、SPINにおけるリターンは、「地球に残すべき優れた才能を育てる一員になる」という社会的な意義だと言える。
―他のクラウドファンディングサービスとの大きな違い
SPINは他のクラウドファンディングサービスと競争するために立ち上げたサービスではないので、出発点となるコンセプトも機能も全く異なる。
まず、このサービス単体で収益を上げるつもりがないので、手数料は業界でも最安値の9.6%から利用が可能だ。入金も会社側でプールすることはなく、達成したら決済システムによって自動的に口座への振込が行われるので、日本国内であれば目標達成してから最短2日で入金されたケースもある。
ブロックチェーンを活用してお金の流れのトレーサビリティ(追跡可能性)を保証しているのはもちろん、寄付金額の1%はソーシャルペアレンツにコイン還元され、森の苗木に変わっていく、Sustainable eco SocietyにつながっているのはSPINだけだ。
還元されたコインは、SPINの別のプロジェクトに寄付することも可能であり、将来的にストーリー性を重視したエシカルな商品を取り揃えるエシカルオンラインマーケット「tells」での買い物に利用でき、弊社が提供する他サービス上でも利用することができるようになる。
共感したプロジェクトに参加したり、商品を買ったりするだけで、無意識にSDGsの目標達成に貢献できる。
会社の利益ではなく「愛」から始まるサービス。我々は「愛のサービス」として日本から世界に向けてこのサービスを提供している。
―コロナ禍で苦しむ文化・芸術を支える「One Love Project」の実施
2020年5月には、正式リリース前だったがSPINにおいてコロナ禍で支援を必要としている文化・芸術に対するプロジェクトの立ち上げ支援及びシステム手数料分を医療従事者向けに寄付する「One Love Project」を開始した。
天才書道家の金澤翔子さんも賛同して題字の「愛」という文字を書いてくださり、そのほかにも187名もの方がレコメンダーとして参加してくれている。
2020年12月時点で、世界各国を支援する7つのプロジェクトによって総額¥3,411,100が集まった。
現在、システム手数料分の寄付先を検討しており、近々寄付を行う予定だ。
―サービスに対するお客様の声
SPINのサービスに対しては様々な声があるが、どれも肯定的な意見が多い。
マネタイズはどうするのか?という意見が出ることもあるが、マネタイズはもともとこのサービスの第一目的ではないからこそ、そこは別の事業があるから心配しないでほしいとAsabaは答える。
(NPO法人メンター様)
必要な人に必要な金額が素早く届けられるというのはとても良いと思います。
(NPO法人ご担当者様)
これまでクラウドファンディングはやったことありますが、常識を覆される素晴らしい取り組みですね。
(人材サービス企業ご担当者様)
久しぶりに胸が熱くなりました。 心が震えました。 トップの意向やサービスに一貫性があって、利益ではなく、地球貢献に振り切っているのが素晴らしいです。
(新聞記者様)
サッカーのプロジェクトのストーリーを読んで涙が止まらなくなりました。皆さんの思いが伝わってきました。
―サービスの今後とFreewillが目指す世界
今後は、メンターがよりインタラクティブにそしてリアルタイムで資金を集められるように投げ銭機能の開発を行っていく予定。チャットやライブ配信でプロジェクトの進行状況を共有し、その場で投げ銭を受け取れる仕組みだ。他のサービスでインフルエンサーが利用するようなライブ配信と投げ銭の仕組みはあるが、ビジネスや社会貢献に利用できるようなサービスはまだないので、SPINがそれを実現できるようにしたい。
Sustainable eco Societyの価値観を世界のスタンダードにしていくことで、社会課題の解決のために最前線で活躍するNPO・NGO、SDGsに取り組む企業や団体、地方自治体や公共団体、そして一般ユーザーが無意識にそして国境も越えてボーダレスに協力できる仕組みをトークンエコノミーとして実現することが我々の目標だ。
このままだと2030年のSDGsの目標達成は難しいと考えるため、より具体的な活動を増やして加速させていかなければならない。
次世代に必要な価値観と既存のマーケットを融合し、新しい資本主義の形を提言したいと考える。利益第一&株主至上主義を取り払った我々のサービスをさらに広げ、多くの人のアクションの後押しをしていきたい。
■株式会社Freewillについて
2019年に設立した、シリコンバレーに姉妹会社を持つIT企業。AI・RPAなどの最先端技術を持つエンジニアが在籍し、ICT事業を通じて、日本企業のグローバル化支援を行う。また、「FREEWILL(自由意志)」に従った働き方・生き方がしたいと考える世代が活躍できる社内環境や自社サービスに取り組む。現在、約160名のスタッフをかかえ、日本はもちろんのこと、19カ国以上の外国籍のスタッフが在籍。人類社会の豊かな生活と地球環境の共存共栄を可能にするSustainable Eco Society(持続可能なエコ社会)の実現を目標とした「SPIN」を含む3つのソーシャルサービスを2019年12月にリリースし、2021年にはエシカルオンラインマーケット「tells」をオープン予定。
Webサイト:https://www.free-will.co/
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