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子どもにはゲームより宿題をしてほしい親心 イオンファンタジーが「ゲームの習い事」を始めた理由

著者: 株式会社イオンファンタジー

国内、海外において854店舗のアミューズメント施設を展開するイオンファンタジーは、専門家組織“Cross Education Lab.(クロスエデュケーションラボ)”の東京大学大学院情報学環准教授 藤本徹先生、Global Teacher Prize 2019 Top10に選出された正頭英和先生などと連携しながら、楽しく遊べて学習効果の高いオンラインゲームスクール「ゲームカレッジLv99」を2021年1月に開校した。

ゲームの勉強というと、プログラミングやeスポーツを教える業態がほとんどだが、「ゲームカレッジLv99」はゲームでの遊びを通じて問題発見力やコミュニケーション能力などを育む内容となっている。「ゲームカレッジLv99」を企画したプロジェクトリーダー犬飼信二は、ゲームもまじめに「あそぶ」と子どもの能力が向上し、「まなび」効果が得られると語る。


『ゲームには「まなび」の可能性がある』 店舗での営業経験から得た思いが原点

子育て世代において「ゲーム」を子どもにさせたくない親は多いですよね。子どもが長い時間ゲームで遊んでいると、「宿題したの?」とついつい聞きたくなったり。ゲームは良くないものだと思われがちですが、実は世界各国においてゲームの教育効果の研究がされており、例として台湾の国立成功大学 楊特聘教授によると「従来の伝統的な教育より問題解決能力が身につく」と発表されています。

私は以前、アミューズメント店舗の運営管理をしていたのですが、店舗において子どもたちがゲームを通じて様々なことを学ぶ姿を目にすることが多く、ゲームによる「まなび」に可能性を感じていました。それから10年経過した後に、多様な教育ニーズへの対応のため設立されたCross Education Lab.(クロスエデュケーションラボ)運営の80&Company CEO堀池氏に出会いました。その中でゲームと教育を掛け合わせ、今までにない新しい「あそび×まなび(エデュテイメント)」のサービスを生み出せるのでは、と考えたのがゲームの習い事である「ゲームカレッジLv99」立ち上げのきっかけです。

そもそもゲームの習い事という市場は、無いに等しい状況で、「ゲームを通じて子どもの能力向上につなげる」というスクールは存在していませんでした。しかし「ゲームの習い事ニーズは顕在化していないだけであり、必ずオンラインゲームスクール市場は拡大する」と固く信じ、それが拠り所でもありました。現在の習い事No.1は水泳ですが、参加人口は1,000万人で市場規模は1,300億円です。対してゲームの参加人口は5,500万人。参加人口から考えるとゲームを習い事にした場合、数千億円以上に拡大できる可能性があると考えています。



ゲームカレッジLv99のレッスン内容の特長は『見た目は「あそび」、中身も「あそび」』

サービスを開発する上では、子どものゲームへの高いモチベーションをそのまま受け入れて習い事として提供する、ということを大切にしてきました。普通であれば見た目は「あそび」、中身に「まなび」要素を付加して「あそび×まなび(エデュテイメント)」を表現します。しかし「ゲームカレッジLv99」のレッスン内容は見た目「あそび」ですが、中身も「あそび」であり、本質的に全く異なります。だからこそ子どもたちは夢中になり、まじめに取り組みます。まじめに「あそぶ」と子どもの能力が向上し、「まなび」効果が得られることにつながります。

またサービス開発のための様々なアンケートやインタビューを通じて分かったのは、保護者の「子どもの様々な能力向上に対するニーズ」は非常に高いということです。また子どもの興味のある習い事をさせたいというニーズも多くあります。そのため基本コンセプトは「ゲームを通じて子どもの能力向上につなげる」とし、ゲームを用いたレッスンは楽しいだけではなく、きちんとした教育効果があるということを伝えるようにしています。


プロジェクト発足から半年後にモニターテスト、その裏側とは

最初は「オンライン」×「ゲーム」×「スクール」の組みあわせが事業として成り立つのか不安はありました。当社に習い事に関する運営ノウハウ等はなく、まさにゼロからのスタートでもありました。プロジェクト発足当初は私1名のみが専任でしたが、社内公募を行い、入社3年目の若手からITに強いメンバーなど、私を含めて6名で企画開発を始めました。また事業運営に対するノウハウ不足は、新規事業開発を支援する80&Companyさんと組むことによって補い、事業計画の策定及びモニターテスト、サービスリリースまで半年程度と急ピッチで進めていきました。

半年でリリースするというスピーディーな事業開発と並行して、お客さまに安全にサービスをご体験いただけるシステム開発を進めることは80&Companyさんにも苦労いただいたことだと思います。私たちが求めるクオリティを損なわないよう、費用も労力も通常のスタートアップとして事業を実施する場合と比べて数倍多くかけてくださっていたようです。そのおかげで複数の生徒が同時に、安全にオンラインゲームへ参加できる仕組みを作ることができました。

 開校の前に子どもたちがどういう反応を示すのかテストすべく、11月度に無料モニター募集を行った際には、想定以上の反響がありました。実は30人程度しか応募来ないかもしれないと不安を抱えていたのですが、実際に蓋を開けたら、ありがたいことに600名以上のご応募がありました。ただしこれは想定をはるかに超えた応募者数であり、総出で対応を進めるも開始直後は完全に手一杯の状況で・・・。当時は嬉しくもあり、自身の至らなさに反省を感じる場面も多く、少し苦い思い出です。

実際にモニターテストを始めていく中で、レッスンの品質管理をどのようにするか悩みました。「ゲームカレッジLv99」はオンラインレッスンであり、オフラインとは異なる問題があるのではと考えました。そこで、とにかくレッスン視聴を行うことにしました。質が分からないから、まずは量をこなそうと考え、毎日全てのレッスンの視聴を行いました。2ヵ月で延べ100時間以上のレッスンを視聴したと思います。

レッスン中、トレーナーと子どもたちはZoomを使ってコミュニケ―ションをとりますが、トレーナーの対応と、レッスンに参加している子どもたち、また同席されている保護者の方々の反応をよく見るように心がけていました。レッスン中、子どもたちの視線はゲーム画面に釘付けになっています。子どもたちからゲーム内のトレーナーのキャラクターは確認できますが、子どもたちにとってトレーナ自身の存在感はあまり高くはありません。ですからレッスン中のトレーナーの対応次第では、子どもたちがゲーム内でやりたい事をやるだけで終わってしまう、という結果になりかねません。そうすると子どもたちは「楽しかった!」で終わるのですが、保護者の方々は、「レッスンとして参加させている意味があるのか?」となってしまいます。子どもたちと保護者の方々が同時に満足を得るためには、トレーナーの関わり方が大切であり、更にはトレーナーによるレッスン品質を一定にする必要性も感じました。トレーナーとの数多くのミーティングの中でレッスンのフィードバックを行いながらレッスンマニュアルを作成し、レッスン品質の向上へとつなげました。子どもたちや保護者の方々に「受講して良かった」と満足していただくためにも、今後もレッスン品質のレベルアップに取り組んでいきたいと思っています。



目指すは3年後、1万人の子どもたちに習い事として選んでもらうこと

6月現在の正式な入会者数はサービス開始時点の2倍近くになってきており、多くの方にオンラインゲームスクールの良さを実感いただけているという手ごたえを感じています。まだまだ習い事としての認知度も低く、多くの課題もありますが、将来的にはオンラインゲームスクールが日本をはじめ、世界中の多くの子どもたちの習い事として、当たり前のように選択肢に入るようにしたいと考えています。見た目は「あそび」なのに、それが子どもの能力向上につながるというのは、多くの子どもたちと保護者の方々にご理解いただけると思いますし、その際に真っ先に選択されるのが「ゲームカレッジLv99」でありたいと考えています。そして、ゲームを通じての「まなび」が、様々な分野での活躍につながり、さらには将来的にイオンファンタジーで活躍いただけると最高です!!(笑)

 今後、AIの活用が拡大していく中で、子どもたちは今の私たち大人とは異なる力が必要になってくると思います。現在は論理的思考力や問題発見力、創造性やコミュニケーション能力が伸びるなど、様々な効果のあるレッスン内容ではありますが、これからは求められるニーズも子どもによって大きく変化すると思います。向上させられる能力別にゲームタイトルとコース選択ができて、トレーナーがオンラインを通じて世界中の子どもたちと一緒にゲームを楽しむことで、自然と能力向上につながる、そのようなゲームスクールを広げていきたいと考えています。


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