ナンバーレスカードは累計68万枚突破!次に来るのは「カードレスカード」!?/三井住友カード
商品企画開発部 横田さん(写真左)・商品企画開発部 長久保さん(写真右)
三井住友カードは、2021年2月にカード券面からカード情報をなくした「ナンバーレスカード」(以下、ナンバーレス)を一般カードで発表し、同年7月にはゴールドカードにも展開しました。ナンバーレスの発行枚数は、一般カードで63万枚、ゴールドカードで5万枚を突破(ともに2021年8月末時点)。申し込みの勢いは止まらず、好調さが伺えます。
カード券面から、カード番号やセキュリティコードが無くなったことに対して、「安心・安全になった」という声や、ナンバーレスのゴールドカードに加わった「年間100万円以上のカード利用で1万ポイントが還元される特典」への注目が集まっています。
そんな三井住友カードから、2021年10月に新たに登場するのが、プラスチックカード自体を発行しない「カードレスカード」(以下、カードレス)。クレジットカードのアイデンティティでもあるカードを、なぜなくそうと思うに至ったのか。商品開発の裏側について、商品企画開発部の横田さん、長久保さんに聞きました。
<ニュースリリースはこちら>
https://www.smbc-card.com/company/news/news0001619.jsp
◆クレジットカードの固定概念を覆す「カードレス」について
―まず、2021年10月に登場する新しいプロパーカード※「カードレス」について教えてください。
※プロパーカードとは三井住友カードが発行するスタンダードカードの総称
横田:「カードレス」の名の通り、クレジットカードの原板(プラスチックカード)のない新しい商品です。プラスチックカードを発行しないのは、Visaブランドのクレジットカードとしては日本初となります。
カード番号、有効期限、セキュリティコードといったネットショッピングで必要なカード情報は専用アプリの「Vpassアプリ」で表示し、店頭でお買い物をする際は、Apple Pay等のモバイル決済を利用します。
「Vpassアプリ」ホーム画面。カード情報の確認だけでなく、利用通知や家計管理などの機能も備える。
お得さは「ナンバーレス」と同様です。コンビニ3社・マクドナルドではポイント5%還元を受けられます。また、対象店舗から最大3つを選んで+0.5%ポイント還元を受けられるサービスもあり、うまく使えばとってもお得です。
―モバイル(スマートフォン)決済と聞いて思い浮かぶのはQRコードやバーコードを利用した「~Pay」などのサービスですが、「カードレス」はどういった点が異なるのでしょうか。
長久保:「~Pay」などのスマホ決済サービスでは、店頭でQRコードを読み込んで決済することが多く、ネットショッピングで使うシーンは少ないのではないかと思います。三井住友カードの「カードレス」では、店頭ではApple Payなどのモバイル決済が利用でき、ネットショッピングでは従来のクレジットカード決済のようにカード情報を入れることでお買い物ができます。あくまでも「プラスチックカードのないクレジットカード」なんです。
―いつごろから開発を検討されていたのでしょうか。
横田:「ナンバーレス」を2021年2月に発表した前後ですね。デジタル化・スマホ中心の生活が進んでいく中で、プラスチックカードを不要とする層がいることは事実なので、お客さまのニーズにお応えし、カード会社としてもう一歩先に行くために、「カードレス」を出すという話が持ち上がっていました。
―三井住友カードの「カードレス」のメリットを教えてください。
横田:「安心・安全」「便利」「お得」が挙げられます。このうち、「お得」は先ほどお話したように「ナンバーレス」と同様です。「カードレス」であること自体のメリットは「安心・安全」「便利」にあります。
まず、「安心・安全」で言うと、プラスチックカードが存在しないため、外出先や家の中でカードを紛失するリスクがなくなります。スマホに格納されたカード情報は生体認証でロックできるため、スマホを落とした場合も盗み見される心配がありません。店頭で利用する際にもスマホの生体認証が必要となるため、なりすましの不正利用懸念もありません。
―「便利」はいかがでしょうか。
横田:まずは申し込みから利用開始時までの速さですね。スマホで申し込んで最短5分ほどで審査が完了し、カード番号が発番されます。プラスチックカードが手元に届くのを待つ必要がないため、すぐに利用していただけるんです。
長久保:店頭で利用する際は、暗証番号やサインが原則不要なため、タッチ決済でスピーディーにお支払いしていただけます。非接触で決済できるので、感染予防の観点からも安心ですね。
横田:また、海外でもスマホ1つあれば決済できる点も便利です。防犯上、財布をあまり持ち歩きたくないといったニーズにお応えできます。海外の方がVisaのタッチ決済の店舗導入が進んでいるので、より便利さを感じていただけるのではないかと思います。
―プラスチックカードを作らないということは、プラスチックの使用量削減にもつながる施策だと思います。
横田:「カードレス」の開発はあくまでも、安心・安全や便利さの向上が目的なのですが、結果的にプラスチック削減にもつながるのは事実ですね。会社として環境配慮の取り組みは別軸で行っていまして、紙を環境に配慮したFSC認証紙に変えたり、紙の使用量を削減した分を森に還元する寄付に回したりしています。
長久保:エコの観点に関心を持たれている方もいると思うので、「実はエコな商品なんですよ」ということも今後伝えていけたらいいかなと思います。
◆「早すぎるのでは」「カード会社のあるべき姿とは」と社内で議論を呼んだ「カードレス」
―「カードレス」のメリットはわかりました。ただ、やはりクレジットカードはプラスチックカードがあってこそというイメージも根強いのではないかと思います。カード会社のアイデンティティを考えても、スムーズに受け入れられるものなのかと疑問を感じるのですが、なぜ「カードレス」の開発に至ったのでしょうか。
横田:まさに、ご指摘の通りの葛藤がありました。我々はカード会社であり、システムも業務設計も、すべてプラスチックのクレジットカードありきで構築されているものですから。「カードレス」はそれらをすべて覆すことになります。今回の開発で一番大変だったのは、この新しい取り組みの必要性をいかに社内に理解してもらうかだったと言っても過言ではありません。「本当にお客さまが求めているサービスなのか」「時期尚早なのでは」といった声も多く聞かれました。
しかし、私たちにはクレジットカード=プラスチックカードという固定概念は変化し、デジタル化が加速するだろう、プラスチックカードにこだわるカード会社は減っていくだろう、という予測がありました。
―どのように開発の必要性を説明していったのでしょうか。
横田:今後キャッシュレス決済業界で戦っていくためにも、従来の金融業界のイメージではなく、最先端の事例に次々にチャレンジするマインドの必要性を感じていました。キャッシュレス決済全体をみると、まだまだクレジットカード決済比率が高いですが、「~Pay」の流行もあり、キャッシュレスの主戦場はモバイル決済にシフトしていくのではないかとも感じていたんです。クレジットカード=プラスチックカードという固定概念を壊し、新しい挑戦をしていかなければ、決済業界のリーディングカンパニーとして戦えなくなっていくかもしれない。その危機感を訴え、新しい商品を出す必要性を提言しました。
また、モバイル中心の決済になることで、事業者側だけではなく、お客さまにもメリットがあります。アプリからお得情報をタイムリーに受け取れたり、先ほどご説明したように安心・安全であったり。その点も社内に説明しましたね。
加えて、提携先から「カードは不要だが決済機能を入れたい」といったニーズがあることも伝えました。今からシステムの準備を進めれば、「日本初」となれる。今レベルを上げていく必要性を、社長を始めとした経営層に理解してもらえ、実行に移せたという流れです。正式に決まるまでは、やる・やらないの議論が相当白熱していましたね。
―長久保さんは最初にカードレスカードの開発について耳にしたとき、どう感じたのでしょうか。
長久保:「番号をなくした次は、カード自体をなくしてしまうんだ」と驚きました。歴史を持つクレジットカード会社でありながら、先を先をと走って先進的な取り組みをしていく会社なんだな、とあらためて思いましたね。
―先ほど、大変だったのは社内への周知や理解の促進だというお話がありました。実際に開発するにあたって、何か苦労した点はあったのでしょうか。
横田:正直、開発の前段階がやはり一番大変でしたね。開発面で大変だったのは、カード申込審査の仕組み作りでしょうか。モバイルの良さは、いつでもどこでも情報を見られたり申し込めたりすることですから、「カードレス」として出すのであれば即時申込・即時利用が必須だと考えました。そこで、1日分の申し込みを翌日に一気に審査にかけるといった流れだったところを、リアルタイムで1件ずつ審査に回せるように変更。「これぐらいの申込数ならシステム的に耐えられる」といった調整に苦心しています。
◆プロパーカードに留まらず、提携先にも「カードレス」を広げていきたい
―リリース後、どのように「カードレス」を広げていこうと考えているのでしょうか。
横田:「カードレス」を店頭で使えるのは、Visaのタッチ決済、Mastercard®コンタクトレスが利用できる店舗です。日本国内で使える店舗を増やすべく、事業者(加盟店)向けの決済端末「stera terminal(ステラターミナル)」の提供や、交通機関と連携させた「stera transit(ステラトランジット)」といった取り組みも進めていきたいです。
あとは、提携先との取り組みですね。すでにいくつかの会社とは具体的に話を進めておりまして、今後モバイルサービスをさらに重視していきたい企業様などから強い興味を示していただいております。従来のプリペイドカードのようにチャージを必要としないクレジット決済機能を持たせられるということで、順次展開させていきたいです。
―あらためて、今後の取り組みについての想いやメッセージをお願いします。
長久保:私が担当しているプロモーション周りの仕事は、まさに今からが本番です。社内にはApple Payなどのモバイル決済を担当するグループがあり、今回はそのグループと一緒にホームページや媒体作成を行っています。「カードレス」という新しいスタイルの商品なので、お客さまからどのような反応があるのかわかりませんが、できるだけわかりやすく伝えられるように努力したいです。コールセンターとも連携し、お客さまからの声を受け次第、随時改善させていきたいですね。
横田:将来的に、「カードレス」がキャッシュレス決済の主流になっていくかもしれません。スマホネイティブの若年層やミニマリストの方、クレジットカードを持ち歩くことに漠然とした不安を抱えている方にフィットするのではないかなと。とはいえ、今すぐ主流になるというわけではありません。どのようなキャッシュレス決済のスタイルが良いかは、お客さまのライフスタイル次第。将来的には、プラスチックカードの有無がお客さまの選択制になるのではないでしょうか。消費者と事業者の健全なキャッシュレス社会の構築を目指す決済プラットフォーム企業として、今後もさまざまな取り組みに挑戦していきたいと思っています。
【三井住友カード株式会社 会社概要】
・ミッション:「便利」「安心」「お得」にご利用いただけるキャッシュレス社会の実現
・会社名 :三井住友カード株式会社 (未上場 証券コード:8316)
・所在地 :東京都江東区豊洲二丁目2番31号 SMBC豊洲ビル
・設立 :1967 年 12 月
・代表取締役:大西 幸彦
・企業HP: https://www.smbc-card.com/index.jsp
・事業内容 :
-会員事業(https://www.smbc-card.com/company/project/kaiin.jsp)
-加盟店事業(https://www.smbc-card.com/company/project/kameiten.jsp)
-受託事業(https://www.smbc-card.com/company/project/jyutaku.jsp)
・公式SNS:
-Twitter(@smcc_card)
-Facebook(https://ja-jp.facebook.com/smbccard/)
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ