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マーケティング集団「刀」初の医療事業:高血圧オンライン診療を僅か1年で事業化したマーケターの挑戦

著者: 株式会社刀

マーケティング集団「刀」が取り組む、高血圧オンライン診療とは

マーケティングと医療。この一見交わらない2つの領域で、新たな価値を創出したい。その思いが事業化した「高血圧イーメディカル」

昨今多くのオンライン診療サービスが産声を上げるなか、高血圧という慢性疾患に特化した長期継続型の「高血圧イーメディカル」は、22年9月のサービス本格開始以降、高血圧に悩む患者さん本人だけでなく、医療業界内外にも大きな話題を呼んでいます。


このサービスの立ち上げをリードしたのが、イーメディカルジャパン株式会社で副社長COO(最高執行責任者)を務めている、塩谷さおり。僅か1年の間に企画から事業開発、ユーザーへのサービス提供までを一気に成し遂げたマーケターです。

塩谷さおり(しおや さおり)イーメディカルジャパン株式会社 副社長 COO


塩谷が所属しているのは、戦略家・マーケター森岡毅が率いる、マーケティング精鋭集団「刀」

刀は、マーケティングノウハウの活用によって企業の成長を加速する取り組みで様々な企業と協業し、これまで丸亀製麺のブランド再構築や、西武園ゆうえんち(埼玉県)のリニューアル、ネスタリゾート神戸(兵庫県)のV字回復など、ビジネス・エンターテイメント分野の両面で大きな実績を残してきました。

そんな刀が満を持して、社内起業によるサービス展開第一号として選んだのが、医療領域。


なぜ、刀が医療に挑戦するのか、その中心となったマーケター塩谷さおりは、どのような試行錯誤を経てサービス立ち上げにたどり着いたのか、その裏側と思いを紹介します。

静かな、大きなリスクである高血圧。20年以上解決されない課題に着目

日本人の死因として最も多く知られているのは悪性新生物(がん)ですが、それに次ぐ死因である心疾患や脳血管疾患などの主な原因でありながら、そのリスクの大きさに比べて深刻に受け止められにくいのが「高血圧」です。


現在日本には、高血圧の診断基準「血圧140/90mmHg 以上」に該当する人が4,300万人と推定されています。

つまり、成人の2人に1人が高血圧と言われているのですが、健康診断で高い血圧数値がでても、自覚症状が少なく、緊急性を感じられないことなどから、受診しなかったり途中で治療をやめてしまったりと、少なくとも約半分の2,000万人以上は、何らかの理由で血圧が高い状態を放置していると考えられています。


この未治療、未継続の問題は効果的な治療薬が普及してもなお、20年以上にわたって大きな変化が起きていません。様々な解決へのハードルはあるものの、その大きな1つといわれているのが患者さんにとっての治療・継続のモチベーションです。


高血圧の治療は、血圧や生活習慣を継続的に見守りながら改善することが重要にもかかわらず、仮に患者さんが治療の必要性を感じて受診したとしても、待合室で診察まで1時間以上待たされることも。そして医師の診察は数分程度で終わってしまうことも少なくありません。治療継続しようとすると、これが数か月に1回程度の受診の度にずっと続いていきます。自覚症状もほとんど感じられない患者さんが多い中、結果的に通院が面倒になったり、通院時間が確保しづらくなってしまったりするという現状です。


つまり、このような受診~治療継続に至るまでのハードルを下げなければ、前述した2,000万人の治療が必要な患者さんに、適切な治療が提供されない状況は改善が困難であるという課題があります。


塩谷とチームメンバーはこの課題を、あえて医療機関ではない第三者としてのアプロ―チで解決できないかと着想しました。

「刀は、魔法のような新薬を作れるわけでも、画期的な治療器具を作れるわけでもありません。でも、人々の気持ちや行動が変わることで、この大きな社会課題が解決され、多くの人の健康寿命が伸びる可能性があるなら、絶対に挑戦すべきだと思いました。そして、それを最初に挑戦するのは、マーケティングによって多くの人の気持ちや行動を変えてきた、誰でもない私たち刀だと考えたんです」(塩谷)

徹底した患者視点でのサービス設計。便利だけでなく、安心が重要なカギ

高血圧イーメディカルは、初診からのオンライン診療を実現し、薬も自宅に届く「通院しなくていい利便性」と、アプリと家庭血圧計による継続モニタリングで「いつも繋がる安心」を届ける、新しい高血圧診療のスタイルを治療選択肢の一つとして提案しています。


  • 初回の相談を無料にし、開始ハードルを大幅に下げる
  • 日々の血圧記録も自動で行われ、できるだけストレスのない管理
  • 自分で血圧をコントロールできている実感を得られる分かりやすいUI
  • 専門医師による、血圧の推移を踏まえたきめ細やかな指導、アドバイス
  • 患者との対話を重視した医師のコミュニケーション
  • 主治医をはじめチーム体制で、すぐ相談できて見守られている実感

など、1つ1つのサービス体験を患者視点で開発しています。


オムロンヘルスケア社製の血圧計をBluetoothで最初に接続すれば、あとは日々の血圧測定をしていくだけで専用アプリに自動で血圧データが連携されていく。

徹底して、始める・続けることにサービス設計、アプリ開発の焦点を当てている

難航した新規事業開発も「少年マンガの主人公のよう」に仲間が増えていく

刀は、2017年の始動以降、他企業との協業やコンサルティング形態の事業だけでなく、自社での事業開発を検討してきました。

塩谷は2020年に刀に参画。入社直後からこの新規事業開発のプロジェクトリーダーとして、刀初の社内起業を任されることになります。


いきなりの白羽の矢に戸惑いながらも、複数の新規事業を検討するなかで、塩谷が自然とパッションをもって魅かれていったのが医療領域。

秋田県出身で、祖父、父、兄が医師という医師一家に生まれたバックグラウンドがあり、地方医療の課題や新しい医療への転換も無意識に肌で感じてきていたのです。

「幼少期から医療が身近にあるのが普通という環境で、私自身は医療の道を選ばなかったのでもちろん専門家ではありませんが、高血圧イーメディカルの事業を立ち上げて違う形で患者さんと触れ合えていることに、何か縁のようなものを感じます」(塩谷)

それまで、検討が進んでいた複数の事業領域のなかで必ずしも優先順位が高かったわけではなかった医療領域の事業案が、塩谷の参画とともに、一気に検討を加速することとなりました。


早稲田大学を卒業後、前職の楽天では電子書籍、物流開発の部門でマーケター、プロデューサーを歴任。その経験がアプリ開発やシステムの検討に存分に生かされただけでなく、持ち前のガッツと、周りを巻き込む力でプロジェクトを前進させていきます。

プロジェクトの検討から一緒に進めてきた石田和也 医師は「少年マンガの主人公のよう。だんだん仲間を増やして、いつしかみんなが前進していく。」と振り返って驚きます。

「刀には、森岡以外にも各領域のプロフェッショナルが揃っています。

性別や年齢などの属性を超え、それぞれが強みを磨いた専門性を武器に、思考の多様性を尊重しているチームです。

私はそのなかで、このプロフェッショナル達をどんどん巻き込んで「ものごとを実現し、前に進めていく」役割。これも1つの専門性、特徴だと思っています。

みんな一癖も二癖もあるメンバーばかりですが、全員がこの事業の意義を信じていたからこそ、その力を前に進む方向に向けていったら途轍もないスピードで実現していきました。」(塩谷)


全くの新領域である医療領域への事業展開であるがための、法規制への対応はもちろん、オンライン診療にあたる専門医師の確保、短期間でのフルスクラッチによるアプリ開発など、いざ事業を立ち上げるとなったときの課題に次ぐ課題は、刀としても初めての経験でした。代表の森岡毅も含め、徹底的に議論を積んできたこと、そしてなにより、塩谷やチームメンバーが信じている「日本人の健康寿命を延ばすことで、日本中に豊かな人生を大きく増やす」という事業意義に共感する仲間が増えていった結果が、サービス開始までたどり着いた原動力となりました。

サービス開始後も、ブランドカラーの青いジャケットを纏い、ひた走る

猛烈なスピードで開発が進行した「高血圧イーメディカル」は2021年11月に、プレローンチ期間として一部ユーザーの募集・サービス提供を実施開始。企画を検討しはじめてから、僅か1年ほどのことです。

その後、ユーザーの意見を取り入れながらサービスの改修、見直しなどを進めて2022年9月に関東圏でのTVCM放映、本格ユーザー募集開始に踏み切りました。


まだまだサービスが本格的に立ち上がって数か月、息つく暇もないなかですが、既に事業は次のフェーズとしてBtoBでの事業連携に向けて進みはじめています。企業の福利厚生としての活用なども含め、できるだけ多くの人が健康寿命を延ばす選択肢にふれる機会を増やすべく、塩谷をはじめとしたチームの挑戦はまだ始まったばかりです。


トレードマークになっている鮮やかな青のジャケットも、「高血圧イーメディカル」のブランドカラーを意識。サービスを背負っていく決心の表れです。

イーメディカルジャパンでは、日本でも先進的といえる「オンラインで高血圧診療に取り組む人たち」の診療の現場として、この新しいサービスが患者・医師双方にどのような変化をもたらすか、学会などを通じて知見を共有しながら国全体でのオンライン診療の推進に貢献していく取り組みをはじめています。

医師がほとんどの学会のなかでは、青のジャケットはいささか目立つものの、「少しでも青い人と覚えてもらえて、サービスを知ってもらえる機会を増やせるなら!」と強い思いを語ります。


このサービスがいつのまにか患者さんの習慣を変え、少し先の将来に「オンライン診療が当たり前になったターニングポイントは、高血圧イーメディカルかもしれないね」と言ってもらえるサービスに育っていくよう、これからも普及に努めていきます (塩谷)




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