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なぜatama plusはここまでカルチャーに投資するのか?

著者: atama plus株式会社


書き手=atama plus代表取締役 稲田大輔

東京大学大学院 情報理工学系研究科修了三井物産にて、ベネッセブラジル執行役員、海外EdTech投資責任者等歴任





本日、atama plusが大切にしているカルチャーについてまとめた「atama+ culture code」を公開しました。


atama plusは創業当初よりMission・Valuesを掲げ、カルチャーに投資し続けてきましたが、この度さらに強固なカルチャーを作るべく、Valuesを体現するために必要なことを言語化したカルチャーコードを作成しました。


これはatama plusが今までも、これからも大切にしていきたい価値観を言葉にしたものですので、現在のatama plusメンバーも、そしてこれから入ってくる未来のメンバーも、この価値観を軸において皆でMission実現に向かってまいります(逆にこれ以外はおおいに多様でいきます)。


atama+ culture code


作成にあたっては職種横断のカルチャーコード検討タスクフォースを作り、全メンバーを巻き込みながら半年以上の時間をかけ侃侃諤諤の議論を行いました。

創業3年目(作成開始当時)のリソースの限られたスタートアップがなぜこんなにもカルチャーに投資を行うのでしょうか?


昨今、スタートアップ界隈では「カルチャーを大事にするべし」と言われるようになってきましたが、まずは、atama plusがカルチャーをどうとらえ、なぜこんなにも大事にすべきだと考えているのか、からお話しいたします。


「エライ」のはMission

話は創業前にさかのぼります。これはatama plusを創業した2017年4月のさらに半年前の写真です。



私の自宅に集まり、これから立ち上げる会社(まだ名前もない!)のMissionについて議論していた頃の様子です。


なぜ、私たちはそれなりに順風なキャリアを歩んできたにもかかわらず、わざわざリスクをとって新しい会社を立ち上げるのか?

そんな議論を重ねた結果、「教育を通じて社会を新しくするために会社を創るんだ」ということを決めました。

創業より先にMissionを決めたのでした。


ですから、atama plusはなぜ存在するのかというと、答えは明快です。

「Missionを実現するため」、それ以外にありません。


また、私たちは、「良い事業をつくって収益を上げるため」でもなく、「良い組織をつくって自分たちが楽しむため」でもなく、「良いサービスをつくって世の中を変えるため」に会社を立ち上げよう。

「良いサービスをつくる」を実現したら「良い事業」「良い組織」はついてくる。

第一目的は「良いサービス」を作ることだ。

判断に迷ったらここに立ち返ろう。

ということを決めました。


atama plusは、社会のまんなかを新しくするために、限られた生徒ではなく、数億という規模の生徒に良い教育を届けていく。

そのために、atama+というサービスを軸としたビジネスで、教育を進化させる持続可能な仕組みをつくる、そしてそれをなるべく早く実現することを目指すという会社です。


そのため、atama plusの意思決定の基準もシンプルです。

あらゆる決定の基準は、究極的にはただひとつ。

「Missionの実現に向かって前進しているか?」。

それだけです。

判断に迷ったらここに立ち返っています。


ちなみに、atama plusでは組織図の一番上にはMissionがあり、代表である私は一番下にいます。

「エライ」人はいなく、「エライ」のはMissionです。

誰かの顔色をうかがうよりもMissionの実現に向かって前進することを最優先にしています。


カルチャーは庭

企業のカルチャーとは何なんでしょうか?


カルチャーは変わり続けるものです。

仲間が一人増えれば変わる。

事業やプロダクトが変われば変わる。

組織が変われば変わる。毎日変わり続けます。


カルチャーは変化し続ける「状態」なので、どんなカルチャーを作りたいかを決めて、それに向かって努力し続けるのみです。


カルチャーは「建築物」のように一度作ったら永いこと壊れないものではなく、作るのに時間はかかるし手入れし続けないとすぐに壊れる「庭」のようなものです。

種を植えたり雑草を抜いたりしながら、ずっと丁寧に磨き続けるものだと思います。

毎日の地道な積み重ねの結果が企業のカルチャーとなります。


atama plusは「一人ひとりがMission実現の当事者」であるカルチャーであり続けたいと思っています。

それにはMissionに共感したメンバーが集まり(そういう人だけ採用し)、そして全員が継続してカルチャーを磨き続ける必要があります。


atama plusの強みは何ですか?

よく聞かれる質問ですが、教科書的な回答をしようと思えば「プロダクト」「ビジネスモデル」「データ」「顧客基盤」「ブランド」、、、

などがあげられますが(私も社外にはそんな説明をすることが多いですが)、本当はそこじゃありません。


真の強みは「カルチャー」です。

プロダクトもビジネスも真似できますが「カルチャー」は真似できるものではありません。

「庭」はすぐには作れません。


2020年2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国の学校に臨時休校要請がなされました。私たちの顧客である塾も休校することとなります。


atama plusのプロダクトは塾内のみで利用することを前提に作られており、塾が休校したら全く使えないものになります。

さらにタイミングの悪いことに、臨時休校要請の翌日2月28日はオフィス移転の日で、引越し準備で仕事どころではないといった状況でした。

それでも、急ピッチで開発した自宅でも利用できるプロダクトを塾に提供し、1ヶ月後にはユーザー数が10倍以上に伸びることとなりました。

すべてのチームが自律して動いた結果でした。

各チームの一人ひとりがMission実現の当事者でした。




半年を投資して作ったカルチャーコード


atama plusはMission実現に向けて大切にしたい価値観をValuesとして定めていますが、創業から2年と少し経過した頃、Valuesの短い言葉だけでは表しきれない皆が大事にしたい価値観があることに気づきました。


たとえば「Speak up. 話そう、とことん。」というValueについて、atama plusではチームの垣根を越えて議論しあうという文化がありますが、チーム外の人とどこまで“とことん”議論すべきなのでしょうか?

そもそも背景知識の異なるチームの人が検討主体のチームに対して意見すべきなのでしょうか?そして意見されたら検討主体のチームはどういったスタンスでその意見を聞くべきなのでしょうか?

「他チームの業務に関心を持って意見すること」と「役割分担して任せること」のバランスってどう考えたらよいのでしょうか?


皆が同じMissionを目指しているのにもかかわらず、Valuesの認識のズレが生まれたらもったいない。この先、メンバーが増えていくにあたり、皆が大事にしている暗黙の価値観をきちんと言葉にしておきたい(逆に言えばそれ以外は多様性を大事にしたい)、そういった想いでカルチャーコード作成がはじまりました。


作成にあたっては職種横断のタスクフォースを組成し、全メンバーの意見を聴きながら、半年以上の時間をかけて侃侃諤諤の議論を行いながら作りました。

正直、創業3年目(作成開始当時)のスタートアップにとってこんなにも作成に時間をかけるというのは非常に大きな投資です(スタートアップは時間がほぼ全ての資産です)。


しかしatama plusは、Missionを実現するために設立された会社ですから、皆がMission実現に向かって大事にする価値観の認識を合わせることは何よりも重要だと考えています。


そうしてValuesを体現するために必要なことを定めたカルチャーコードが完成しました。

カルチャーコードは、いわば、何を「いい」と感じるか、何が「リスペクトに値するか」のモノサシです。

atama plusという「場」を共にする一人ひとりにとって決定的に重要なもので、各々の働き方や日々の意思決定の基盤になります。 



私たちは、「全員がカルチャーコードを体現している状態」であり続けるために力をつくしたいと考えています。

なぜなら、その状態であれば細かい(そしてつまらない!)ルールも管理も不要になるからです。

全員がカルチャーコードを体現できていれば、必然的に個々の判断・行動はひとつの大きな方向を向いたものになります。その中での裁量の自由を最大化できます。

一人ひとりがMission実現の当事者として、自律的に行動できるようになります。


atama plus社内はMissionやValuesに関係したものであふれています。

壁にはMissionが掲げられたポスターがあり、会議室や日常の業務で使用するものにValuesが記載されていたり、等身大の生徒(ペルソナ)のパネルがあったり、、、

atama plus社内でValuesを意識するための取り組み


ただし、これらはカルチャーへの投資のごく一部の結果にすぎません。

「一人ひとりがMission実現の当事者」であるカルチャーであるために、何よりも大事なのはメンバー全員がatama plusで大切にするValuesを完全に理解し、体現していることだと考えています。



Culture gardening


カルチャーコードは作成しておしまいでは意味がありません。

全員でカルチャーコードに記載されている内容の認識をすりあわせるべく、カルチャーコードができあがった当日から3日間かけて「Culture gardening」というイベントを行いました。


一般的にカルチャーを築くためのイベントのことを「Culture building」と呼ぶことが多いと思いますが、atama plusでは全員で「庭」のようにカルチャーを作っていくという目的から「Culture gardening」と呼んでいます。


新型コロナウイルス対応で多忙な時期ではありますが、全メンバーの通常業務をストップして全員でカルチャーコードに記載されている内容の認識をすりあわせるセッションを行いました(のべ600時間!)。コロナ禍で対面でのイベントができないため全てZoomでのセッションです。


各自の自宅に郵送で届いた「atama+ culture code」を読んだ上で、普段業務を一緒に行っているチームで「役割の異なる仲間からの意見を真摯に受け止めるSpeak upな姿勢とは、具体的にはどんなことですか?」「自ら仕事を楽しむLove funな状態と、単に楽をすることの違いって具体的にはなんですか?」といったValuesに関連する答えのないテーマについて議論を行いました(おおいに盛り上がりました!)。


atama+ culture codeをもとに、ValuesについてZoomで議論する様子



これはCulture gardeningの第1弾。引き続き第2弾、第3弾も実施していく予定です。


カルチャーはいきなり作れるものではありません。

atama plusはこれからもカルチャーに投資し続け、カルチャーをガーデニングしていきます。



atama plusは「○○すべし」がほとんどない会社です。

What we doで縛るより、What we respectをシェアし、How we feelを誇れる集団。

それは複雑化した社会において、変化に強い集団にもなります。

細かいルールでガチガチに管理するよりも、一人ひとりが「atama+ culture code」を体現しながら自律的に行動するほうがMission実現への近道だと考えます。


だからルール作りよりもカルチャー作りに投資します。

これからもatama plusの現メンバーと未来のメンバーの一人ひとりが、Mission実現の当事者として、教育を通じて社会を新しくしてまいります。






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