発売から30周年を迎える、「無漂白」トイレットペーパー。禁忌品とも言われた牛乳パック類の飲料容器をもう一度生まれ変わらせた、その思いや誕生秘話とは?
誕生から今年で30周年を迎える、丸富製紙の無漂白トイレットペーパー『Pure Brown ピュアブラウン』。無漂白飲料容器を再利用することへこだわり続けてきた、開発の背景や誕生秘話、商品への思いなどに迫ります。
『Pure Brown ピュアブラウン』が誕生したのは、1990年(平成2年)11月ですが、『ピュアブラウン』が誕生するきっかけになったのは、少し歴史が遡り、1984年(昭和59年)。「使い終わった牛乳パックを再利用したい」という、一人の主婦でもあった平井初美さん(全国牛乳パックの再利用を考える連絡会・元代表。以下、全国パック連)の熱い思いに答えようと、当社の先代会長・佐野廣彦が共同で取り組んだことから始まりました。
1973 年(昭和48年)、当時日本は第一次オイルショックをむかえ、製紙メーカーにとっては史上最悪の古紙原料不足に陥りました。当社は、創業時より培った強固な古紙仕入れネットワークを有していましたが、トイレットペーパーを生産するには仕入れ量は十分ではありませんでした。そこで目をつけたのが、当時、原材料としては禁忌品であった牛乳パック。牛乳パックには、耐水性のあるポリエチレン(PE)ラミネート加工されているのが問題であり、資源としては素晴らしい素材と知られていましたが、原料として生まれ変わらせることが困難でした。
廃ポリエチレン熱回収設備
先代会長の佐野は、試行錯誤の連続の中、手探り状態でさまざまなテストをあきらめずに繰り返し、ついに1977年(昭和52年)、業界では禁忌品と言われた、ポリエチレンラミネート古紙である牛乳パックの再生に日本で初めて成功。大きな成果を得、原料革命を起こしました。廃棄ラミネートの再利用設備も活用し、牛乳パックの良質パルプが活用された製品は、その品質を飛躍的に向上させ、高品質な再生原料製品の礎を築きました。
当時の様子を語る、丸富製紙株式会社 代表取締役社長 佐野武男
そして1984年(昭和59年)、当時主婦であった山梨県の平井初美さん(元パック連代表)が通産省紙業課を通して当社の取り組みを知り、家庭から回収された牛乳パック使用の依頼を当社に持ちかけました。一人の主婦であり、母親でもあった平井さんの「子供たちへ、物の大切さ、生命の尊さ、リサイクルの大切さを教えたい」という熱い思いに共感した先代の佐野は、パック連の活動に積極的に取り組んでいきました。
小学校で使用している牛乳パック回収箱
回収された、使用済みの牛乳パック
販売店様にもご協力いただき、全国各地へ牛乳パック回収ボックスを設置し、また環境保護教育の一環として、学校給食用の牛乳パックの回収や工場見学の受け入れも積極的に行いました。回収の幅は、紙パックメーカーから一般家庭にまで徐々に広がっていき、1997年(平成9年)には、5省庁で容器包装リサイクル法における特定容器の一つに牛乳パックが選定され、紙パックは循環型社会構築に向けたシンボルの一つとして存在が認められました。
牛乳パックの回収車
こうした地道な活動がきっかけとなり、1990年(平成2年)11月、一部の生協団体から未晒しの回収飲料パックを主原料としたトイレットペーパーを開発できないかと持ちかけられ、紙パックメーカー・販売店・製造元の共同開発で生まれたのが『Pure Brown ピュアブラウン 』。
未晒し原料を生かし、あえて漂白せず、木材のぬくもりの伝わるブラウンカラートイレットペーパーが日本で初めて誕生しました。当社の牛乳パック類再資源化技術が活用された、当時では画期的で高品質な環境配慮型商品として注目されました。
当時、『ピュアブラウン』の開発に携わった常務取締役 日向孝夫
その後『ピュアブラウン 』は、古紙原料の調達困難、原料価格の高騰など様々な問題に晒されましたが、未晒しの市中回収飲料容器をそのまま使用する、というこだわりは維持し続け、他商品の生産とは切り離した特別な製造ラインで、現在も生産されております。
そして誕生から30周年を迎えた、今年2020年6月。『ピュアブラウン』は大幅なリニューアルを迎え、無漂白のやさしさはそのままに、より人に、地球に、やさしい持続可能な環境配慮型商品へとリニューアルいたしました。
リニューアルした、『花束 Pure Brown ピュアブラウン1.5倍巻き』
また、同じ無標白原料を使用し、より省資源にこだわった芯なし超長尺トイレットペーパー『超ロング未晒し』も、新たにラインナップとして加わっております。
牛乳パックの再資源化、回収ネットワークを築いたことがきっかけとなり誕生した『Pure Brown ピュアブラウン』。
あたたかみのあるブラウンカラーには、地球が生み出した自然のやさしさと共に、「ものを大切にする心」を次世代の子供たちへ伝えていきたい、という母親のような偉大なやさしさも込められているのです。
牛乳パック再利用の発起人である全国パック連元代表 平井初美さん(写真右)と先代会長 佐野廣彦(写真左)
先代会長・佐野『牛乳パック再利用活動は、すべては、これからの時代を生きていく子供たちに、ものの大切さを教えたい、という親の気持ちの現れであると考えます。当社従業員一人ひとりが「ものを大切にする心の実践」として受け止め、そうした心を自らのなかにも育て広げていってくれることを願っております。』
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