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80代の著者さんもおられます。

持続可能な社会へ製造現場から一歩づつアクションを。SDGs商品として開発した切削油beaconの発売から1年半、新商品と共に営業塚田が歩んだ、これまで味わったことのない葛藤や挑戦の軌跡

著者: ユカワ化工油株式会社




製造現場で工作機械が金属などを切削する際に、加工時の摩擦を減らし、正確な部品をつくる上でかかせない”切削油”を、長年販売してきたユカワ化工油株式会社。創業53年のこの会社が、持続可能な社会の実現に向けて一歩を踏み出すべく新たに開発した商品がbeaconである。


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000088172.html




塚田一孝

1962生まれ 

ユカワ化工油株式会社 油剤部営業グループ

中途でユカワ化工油に入社。入社時は営業で緊張すると頭が真っ白になって何も話せなかった。頑固で不器用だが、着実。趣味はアクアリウム


従来の切削油の課題は、劣化した時の臭いや刺激。現場に様々な負担を強いていた


これまで販売してきた鉱物油をベースにした切削油は、販売した時はいいが、使用に応じて劣化、腐敗していく宿命にあった。腐敗が起これば、油特有の嫌な臭いは強まる。機械工場でよくある臭いの原因は主にこの腐敗した切削油によるところが大きい。腐敗が起こると臭いだけでなく性能も劣化するため、品質や生産効率をあげるためには交換する必要がでてくる。交換に伴う手間や油の使用量をおさえるために添加剤をいれる場合も、性能には寄与するが、その結果刺激が強くなり、機械を使用する現場の人達には慢性的な肌荒れなど、犠牲を強いてきた。beaconはそもそも腐敗、劣化の原因となる鉱物油を使わないことで透明でさらさらであり続け、結果腐敗した油特有の嫌な臭いをとりのぞくことができるという画期的な商品である。


新しく開発されたこれまでにない切削油beaconを世に広げる使命を課せられたのが営業の塚田である。彼は、これまでも製造現場の生産性効率性の向上を最優先して、多くの鉱物油の水溶性切削油を売ってきた。しかし、どこか自分の頭の中で自問自答することがあった。


「自分が売った直後はいいが、果たして売った商品が使用され腐敗していく中で、本当に現場のひとたちに喜ばれているのだろうか?切削油とはこういうもの(ドロッとして、腐敗すると臭いがして、触ると手荒れが起こるなど)という、業界の常識を疑うこともなく、実は現場の人たちの環境に悪いものを売っているのではないか?自分は未来につながるような仕事ができているのだろうか?」


そんな塚田にとって、世の中の水溶性切削油の大多数をしめる鉱物油エマルジョンから、鉱物油を使わない透明なソリューションへの転換となる今回の新製品beaconは、突破口になるという思いがあった。透明で、腐敗しないので臭いがしない、さらに何より働くひとたちの環境に負荷が少ないこの商品が世に広がれば、自分が日々油(原油由来)を売っていることにどこか抱いていた負い目を払拭できるのではないか、という期待感があった。



新商品の営業に奔走するが、要望ナシ、実績ナシ、自信ナシ

塚田はまず、これまでお世話になったお客様にすぐにでもこんな良い商品を売りたいという気持ちになり、新商品beaconをもって足を運んだ。実際に売りにいくと、塚田の思いとは裏腹に、なかなか導入に繋がらない日々。塚田にとって画期的だと思えたbeaconだったが、製造現場の担当者にとって、切削油とは、あくまで工作機械を主にした潤滑油でしかなく、これまで使えてきたものをわざわざ交換してまで導入したいという反応はほとんどなかった。中には、理由もなく、エマルジョン(鉱物油)じゃないと機械が壊れるから変えたくないと言ってきた人もいた。

塚田は、なんとかこの新しい商品の魅力を伝えようと必死に奔走するが、製造現場にこれまでにない新しい価値を提供するこの商品の特性上、変えたい要望のないところに無理に売ろうとすることで、かえって空回りしてしまう。新商品であるが故に、彼の中の経験と実績がないことで、異なる環境でどういう問題が起こりうるのか、お客さんに質問されても自分でも確信をもって説明できない場面もあり、営業としてさらに自信を失った。


こんなに画期的ないい商品なのに、どうしてお客様にわかってもらえないんだろうか?

自分の営業としての能力がないのか?

自分はこれまでいったい何を売ってきたんだろうか?



早く実績をだしたい焦りから、お客さんの期待に応えられず、心が折れそうになったあの日

そんな中、思い切って導入を決めてくれたお客様がいた。塚田はその時焦っていた。なんとか新商品での自分の販売実績をつくりたい。そんな実績を焦る気持ちが働いたのか、いつもよりも急な展開でトントン拍子でテスト導入へとつながった。実績さえできれば、自分にも再度自信も持てて、もっとお客様にこの商品の良さが伝わって、どんどん売れるはず。


しかし、その現場へのbeacon導入3日後の休日に、急遽お客様から塚田は電話で呼び出される。導入したbeaconをすべて抜いて、今すぐ元のドロドロの油に戻してくれという。商品の特性についての理解を深めることができないまま導入までを急いだ結果、適切な準備や特性の説明ができておらず、お客さまの思っていたような加工ができなかったのだった。そういう状況になると、いくら使用特性や環境に合わせた適切な使用について説明したところで遅かった。お客様の信頼はすでに失っていたのである。今まで心がけてできていたはずの、お客様に十分に説明、納得した上で導入してもらい、お客様との信頼関係を構築するという営業として初歩的なことができていなかったのだった。


塚田は自分の責任を謝罪し、適切な使用と再度性能評価をしてもらえるように懇願したが、残念ながら聞き入れてもらえなかった。お客様のためになんとかしたいという思いが強くあっただけに、挽回のチャンスが欲しかったが叶わなかった。


導入したbeaconを機械から全部抜いて、(別にとっておいてあった)元々入っていてどろどろに汚れた油を機械の中に戻す作業を休日返上でおこなった。お客さんの期待に応えられなかった。自分の納品したものを全部抜いて返品されたこの日の記憶は今でも忘れられない。高速道路をひとり運転して帰る車の中で、二度と同じ失敗をしたくはない。悔し涙をぐっとこらえた。この失敗を必ず次にいかしたいと心に誓った。



自分ができることから、一歩づつ

塚田は考えを改め、beaconの製品性能に頼って、焦って納入するのではなく、再度お客様ひとつひとつの現場と向き合おうと心に誓う。自分が自信をもてていなかったのと同じように、お客様も鉱物油(エマルジョン)からbeacon(ソリューション)への変化に対して、まだ経験がなく、自信がないため不安なのだと気がついた。

そもそもbeaconは、SDGsやCO2削減という大きなコンセプトをもって開発された。それと同時に、そんな持続可能な社会という地球の大きな命題に対して、この商品だけで一気に解決できるというよりは、「自分達ができることからアクションしていこう」というのがコンセプトだったことを塚田は思い出したのだった。もともと不器用な塚田は、実績をつくろうと背伸びをしてもがいていたが、大きな失敗をして「自分でもできるアクションは何か」そこに立ち返った。お客様と同じ気持ちになって、安心できるまでひとつひとつテストして解決していこう。そうしてできることからやっていくうち、信頼関係を築けたお客様から塚田が言うのなら試してみたいという引き合いがくるようになってきた。





200の現場の実績と共に蓄積されたこと。営業チームとお客様とのチームワーク(beacon x 200 challenges)


切削油の性能や状況は、使用する機械の環境や切削するワークや切削内容、またこれまでの機械の清掃や油の交換などのメンテナンス状況などさまざまな要素が影響する。導入企業の状況ヒアリングや導入後の使用に合わせた油の状態確認が非常に重要である。カタログのスペック表上の理想性能ではみえない世界がそこにはある。


beaconを導入した現場の実績が200以上に増えていく中で、お客様の環境によってでてくるさまざまな問題が営業チームに持ち帰って共有され、蓄積されていった。

×


新しい機械に導入した場合には全く問題にならないbeaconだが、長い間鉱物油(エマルジョン)を使ってきたお客様の実機にいれた場合にだけは、泡立ちや汚れが浮き出してくるという問題がみられた。最初のうちは慌てたが、問題のでたお客様の油を会社に持ち帰り、一般性状に関する試験測定値に基づき営業チームでさまざまな情報を集めながら議論して、理由が特定され、適切に対処することで問題もなくなっていった。


長い間エマルジョンを使ってきたお客様の機械にはさまざまな傷みがあったり、劣化した鉱物油エマルジョンがドロドロになって、やがていろいろなところに固着していた。たとえ切削油を鉱物油エマルジョンから透明ソリューションであるbeaconに入れ換えても、それらのこびりついた鉱物油は簡単には取り除けない。しかしbeaconのもつ洗浄性によって、機械を使用する中でそれらが徐々に溶け出し、時に加工物に悪さをしていたのである。




塚田はそれらのひとつひとつの問題を、営業チームとお客さんとでタッグを組んで、一緒に解決するうちに、自信を深めていった。問題を解決したことで、お客さんとの信頼関係が強まっていく手応えも感じていた。


塚田がこの1年半のお客様と歩んできた挑戦の中で嬉しくて忘れられないことがある。

例年、夏場前になると工場内の悪臭に悩まされてきたため、大型連休の前に必ず油を入れ替えていたお客様がいた。beaconに換えてまだ日が長くないため、お客様はいくら鉱物油でないといっても例年通り切削油を入れ替えようとしていた。beaconの特徴は透明ソリューションであるため、腐敗せず、入れ替え頻度が少なくても性能を保つことができることである。塚田はそのbeaconの良さをさらに理解してもらうために食い下がった。現状の使用油の状態をサンプル採取して分析し、劣化していないことを電子カルテ"beacon analytics"の数値で説明した。お客様は電子カルテをみて安心して今年の休み前には交換しなかった。


塚田のもとに、お盆明けのお客様から、「例年休暇明けに仕事場へ行くと工場全体からでていたいつものあの強い悪臭がしない、塚田さんを信じてよかった」と連絡があった。面倒な更液作業から解放され、更液による費用が無くなり経営側からも喜ばれた。さらにbeaconによって作業環境の改善と液寿命の延長でCO2を減らせる事を実感したという。初期にお客様との信頼関係で失敗をした塚田にとって、信じてよかったというのはこの上なく嬉しい言葉だった。


また別のお客様からは、油の悪臭がないことで、毎日のご飯がこんなに美味しいのを知ったと言葉をいただいた。塚田はずっと油を売る仕事をしてきて、こんな風に日々の生活の御礼を言われたのは初めてだった。自分のやってきたことが間違いでなかったと確信した。



売れることの前に、大事なことは何か。お客様に喜ばれる本質に立ち戻る


モノをつくる上で、納期の中で安定して性能を発揮し、効率性経済性があることが重要である。塚田はずっとそう思ってきた。

しかしこの1年半beaconを売っていく中で、導入したお客様の声からはっきりとわかったことがある。

働く人の健康を守ること」それは持続的に安定した製造をする上でなくてはならない大前提だということ。見逃されがちだがそれが持続しなくては性能も成果もだせない。


beaconは安くはないが、決して高くもない。


売り出した最初の頃、塚田は、価格で従来の鉱物油と比較された時にそこまで自信をもって価格の差が重要でないといえなかった。


しかし導入したお客様の声を聞く中で、今ははっきりと言える。

臭いがない、肌荒れもない、働く環境を変えられるというオンリーワンの価値に対して、この価格差は問題にはならない。


さらに実際に使っている人たちが液寿命の延長で使用量を減らしていることからさらに価格差もなくなることもわかってきた。

本当に困っている人たちにとって重要なのは何かということを、お客様から教えてもらった。こうしたひとつひとつのお客様との対話と積み上げてきた課題解決の経験から、塚田に自信が芽生えた。


鉱物油由来の水溶性切削油(エマルジョン)は最初は良いがだんだん劣化して悪くなる一方だが、beaconは性能も安定しており、液の状態を把握することで使用量を減らすことができる、何より臭いも刺激もないことで職場の環境が圧倒的によくなる、と自信をもって薦められるようになった。



持続可能な製造現場の実現に向けて


新しい機械を導入するお客様には間違いなくbeaconを薦めています。これまで鉱物油を使ってきたお客様でも、beaconに換えることのさまざまなメリットや、導入初期にさまざまな問題が起こっても対処できるようになった現在では、的確に説明してテスト導入を行ってもらえるようになってきました。


営業塚田は言います。


「現場のことを考えたら本当ならもっと爆発的に売れてもいいはずのbeacon。しかし、実際に切削油を変更するのには障壁が多くある。単に油を変えるだけでも、自動車部品等の下請け会社は親会社へ工程を変更するための届けが必要になる。そうした障壁からなかなかテストに前向きにならない顧客が多いのです。また、切削油によって生産性が向上するという認識が低い(切削油はどれも同じと思っている)のが現状です。こうした固定観念から脱却するために省エネ/省資源、生産性向上の実績をお客様に協力をいただいて一歩一歩積み上げているところです。


お客さんに直接的に満足してもらえることが私の生きがいです。

現場で仕事をしているひとたちが気持ちよく仕事をしているか、そういったお客さんが何件できるか、それが私が持続的に仕事に求める価値です。

関わるすべてのひとたちが満足して活動を続けられることがユカワ化工油としての夢でもあります。」




■会社概要

ユカワ化工油株式会社

代表者:代表取締役 川澄薫

所在地:愛知県岡崎市大幡町東方便野74

会社URL: https://www.yukawa.co.jp

beaconサイト:https://www.beaconf.jp

 

ユカワ化工油株式会社は2023年で設立53年を迎える。

現場主義をモットーに製品のご提供と問題解決のお手伝いを行ってきました。

beaconの設計デザインは、2004年の油剤業界では初となる、クーラント遠隔監視システム構築で得られたデータによります。性状変化の少ない耐久性の高い切削油剤を開発し、切削油剤をセンサーとして活用して、液管理の簡素化、トラブル予防、廃棄物の減量化など現場での様々な課題を改善できる新製品とサービスの提供を実現しました。

beaconはお客様と一緒に切削現場でSDGsのアクションを起動させます。


【販売代理店(サステナブルアクションパートナー)募集】 

beaconのコンセプトを通して、持続可能な生産現場をユカワ化工油と一緒にサポートしていく販売代理店(サステナブルアクションパートナー)を募集します。サポート内容は、beaconの販売とbeacon analyticsによる性状データ情報の収集と分析結果に伴う課題解決活動 です。詳細につきましては、営業担当者よりご説明させていただきます。 

お問い合わせ

メール:beaconf@yukawa.co.jp 

TEL:0564-48-2132 

https://www.beaconf.jp 






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