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80代の著者さんもおられます。

人形町の各店舗と共に。伝統ある老舗酒屋主導で行う、日本橋日本酒利き歩きと福徳の森日本酒祭による地域活性化の物語

著者: 日本橋日本酒プロジェクト

「日本橋日本酒プロジェクト」は、創業100年を超える人形町の老舗酒屋である新川屋佐々木酒店を中心に近隣飲食店や有志等で構成されるプロジェクトで、『日本橋で日本酒を / 日本橋から日本酒を』を合言葉に、日本酒の普及と日本橋エリアの活性化を目的に活動しています。

現在は、主たる活動として、まちを回遊しながら全国の銘酒を楽しむ「日本酒利き歩き」と、憩いの広場として開かれた福徳の森で音楽と共に日本酒を楽しむ「福徳の森日本酒祭 | morinomi」という、2つのイベントを開催しています。



「利き歩き」(2014年~)と「morinomi」(2016年~)は、回を重ねるごとに規模も拡大し、参加者も増えていったのですが、2020年以降はコロナ禍により開催見送りとなっていました。

2022年11月「福徳の森日本酒祭 | morinomi5」が、3年ぶりに開催されると、前売券完売、大盛況のうちに終了となり、そして、ついに2024年4月「日本酒利き歩き」が5年ぶりに開催される予定です。

「日本橋日本酒プロジェクト」は、イベントの作り手である関係者全員の「楽しいから次回もやろうよ!」という純粋な気持ちと、参加者の「楽しかったから次回も来ます!」という声に支えられながら、全国の蔵元と日本橋の地域がつながり、協力しあって作り上げられています。

イベントが生まれた経緯と「日本橋日本酒プロジェクト」について、お伝えします。


日本橋日本酒プロジェクトの誕生。大正四年創業の酒屋と江戸末期蔵元の新たな出会い

「日本橋日本酒プロジェクト」の中心となるのは、創業大正四年(1915年)、人形町の老舗酒屋である新川屋佐々木酒店の四代目佐々木邦秀(ささきくにひで)氏です。家業を継ぎ、両親や親族とともに地域の酒屋として商売を続けています。その佐々木氏が、10数年前にプロジェクトを立ち上げるきっかけがありました。


はじまりは、佐々木酒店で「龍勢」を醸す藤井酒造(江戸時代末期の1863年創業/広島県竹原市)と取引をするようになった2010年頃のことです。


藤井酒造の当時社長である藤井善文氏(五代目蔵元)は、人形町の日本酒で有名な料亭「きく家」の主人である志賀真二氏と懇意にしており、藤井氏が「きく家」を訪れていました。そこに、佐々木氏が呼ばれて3者で飲む機会があったそうです。佐々木氏と志賀氏も、まちのつながりで古くからの知人です。気心の知れた仲間同士で、会話も弾み「どうやら世の中の蔵元は、試飲イベントを開催して、モテてるぞ!」という謎の勘違い発言も飛び出します。「よし、なんだか楽しそうだから、じゃあ俺たちで、日本酒イベントやるぞ!」と3人の結束が高まりました。




準備不足で惨敗のイベント初回。運営の改善を重ねて参加人数300名の大規模イベントに

佐々木氏が中心となって企画し、会場は「きく家はなれ」で参加蔵は「龍勢」。2010年6月に参加者数十人程度の規模で、初回を開催しました。しかし、飲みの席の勢いに任せて企画したイベントで、あまりに準備不足。結果は、悔いの残るものになってしまいます。


「二人の先輩が動いてくれたのに、このままで終わらせるわけにはいかない。」と気持ちに火の着いた佐々木氏は、藤井氏と志賀氏に「もう1度やらせて下さい。」と頭を下げ、「きく家はなれ利き酒会」として再チャレンジ。蔵の数を増やしたり、試飲会形式に変更したり、フードの提供方法を「きく家」さんの多大なる協力を得て工夫するなど、改善を重ねます。


運営の改善と比例して、イベント参加者の満足度も上がっていきました。参加者が次の回の参加者を呼んでくるという好循環が生まれ始め、最終的には、2014年4月の第8回においては、会場は「きく家はなれ」などの3店舗、蔵も8蔵で、参加人数も300人になりました。



人形町の日本酒文化祭。町全域の多様な店舗を巻き込み、日本酒に親しみがない人も楽しめるように

利き歩きのルーツとも言える「きく家はなれ利き酒会」は、2014年4月の第8回開催を最後に終了。そして、同年10月「日本酒利き歩き」としてイベントを一新、エリアも大幅に拡大して開催されました。その際、佐々木氏が多くの人との関わり合うなかで「日本橋日本酒プロジェクト」のイベントの根幹となる3つの転換点を作り出します。

1、まちを会場とすること

「きく家はなれ利き酒会」の最終回は、人形町の細い路地沿いの店舗に300人が集りました。お店も路地も人で溢れかえってしまい、誰の目から見ても会場のキャパシティを超えています。さっそく次回の準備に着手した佐々木氏は、収容人数の大きい会場探しを始めるのですが、人形町周辺にはありませんでした。しかし、自分自身の店舗所在地を鑑みると、人形町を離れて会場を設定することは考えられません。でも、歩ける距離に小さい店が沢山あり、町がコンパクトであることが強みにふと気づいたのです。よしそれならば!と発想を変えて、小さな個店をつなぎ、「人形町エリアのまち全体を会場する」というアイデアが浮かびます。

2、日本酒の魅力を引き出すチャレンジ

多くのお店を巻き込むには「日本酒イベントの会場として、参加しませんか」だけでは弱い。「参加してみようかな」と思わせる熱意とコンセプトが必要だと気付きます。「日本酒の消費量は年々減少傾向である中で、日本の豊かな風土と文化の結晶ともいえる日本酒を多くの人に広めたい。日本酒には和食という固定概念を超えて、日本酒に合うオリジナルの一品料理を作って提供してほしい。」多様な飲食店を自分の足で訪問して、一軒一軒説明し、店主の理解を得ていきました。

3、日本酒を飲まない人でも日本酒に触れ、楽しめること

佐々木氏が「人形町エリアの飲食店を巻き込んで日本酒イベントをする」という噂は、あっという間に広がります。もともと、この5年間のイベント実施で「盛り上がってて、楽しそうなことをやっているぞ」という周囲の評価が、できあがっていました。「飲食店じゃないんだけど何か一緒にできないか?」そんな要望が、佐々木氏の元に届くようになります。まちでイベントをする以上、まちの方々への配慮は重要です。無碍に断るのもセンスがない、と悩んだ末に出てきたのは「なにかしら、日本酒に関わること」を提供してもらうことでした。お店ごとに自由に考えてもらい、グッズを販売するもよし、ワークショップをやるもよし。自ら考え自由に関わるという形が生まれました。


こうやって迎えたのが、2014年10月開催の第1回「人形町界隈日本酒利き歩き」です。参加者は1,000人程度を想定していたのですが、1,300人が参加する大盛況となりました。行列も絶えず、備品も足りなくなる、という課題も合わせて発生してしまいます。解決策として、2回目以降は、人形町エリアからさらに拡大し、昭和通りを超えて室町側まで広げることにしました。イベントの盛況の様子は、あっという間に街に広がり、次回は出店したいという店舗も自然と増え、エリアを拡大するのに大きな苦労はかかりませんでした。また、2回目以降は、地方アンテナショップも参加を決めてくださり、店舗のバリエーションが増えたことは嬉しいことです。


1回目は参加蔵15蔵でしたが、回を重ねるごとに、出店者も参加者も増え、コロナ禍前に開催した2019年春の「日本橋日本酒利き歩き」では、日本全国から約50蔵、参加者約7,500人となり日本橋エリア全体を回遊するイベントになりました。このイベントを機に、初めて日本橋を訪れ、入ったことないお店に入ったという方も多数いらっしゃっいます。蔵元と店舗も、このイベントをきっかけとしてつながり、交流が生まれています。


地域の繋がりが生んだ新たな日本酒イベント。銘酒と日本橋のフードを音楽と共に楽しむ「福徳の森日本酒祭 | morinomi」


参加者が次の回の参加者を呼んでくる、店舗が別の店舗に出店を呼びかけるという好循環は、またしても新たな発展の機会をもたらしました。

2016年の秋にオープン予定で、都心の新たな憩いの広場として作られた「福徳の森」。その管理者から、ここで日本酒イベントをしないかとのお声がかかります。そこで「利き歩き」の別バージョンとして、回遊しない代わりに銘酒と日本橋のフードを、ゆったりと音楽を聴きながら愉しむ「福徳の森日本酒祭 | morinomi」が、2016年10月に開催されることになりました。




日本橋日本酒プロジェクト。共創による地域文化の継承

「日本橋日本酒プロジェクト」は、練りに練った企画書を強力なリーダーが引っ張って実行するという組織ではありません。佐々木氏が中心にいるのは間違いありませんが、蔵元や店舗や地域の企業などが関わり合いながら準備が進められています。イベントの当日運営は、店舗の常連さんや近隣で働く人や住む人など多くのボランティアで成り立っており、イベント開催を支えるメンバーは、何らかの形で、皆つながっています。



このようにイベントの準備側に多くの関係者がいるからこそ、スムーズに進まないこともあります。ただ、対話を重ね、納得できる自然なかたちを模索していくプロセスが、イベントの作り手側の満足度を高めてやる気を引き出し、クオリティの高いサービスとなる。それが結果として参加者にとっても満足度の高いイベントにつながっているのではないでしょうか。


人と人が出会い、時には思いもよらない形で巻き込まれながらできあがった【ゆるやかなチーム】が「日本橋日本酒プロジェクト」です。イベントへの関わり方はそれぞれ濃淡あれども、皆に共通しているのは「楽しいので関わりたい」という、その思いです。毎回準備や運営は大変なのですが、イベント終了時には「また次回も、ここで会おう」と自然に言い合っています。日々の暮らしのなかで、顔を合わせて信頼関係を育んできた大きな人の輪が「次回もぜひイベントやろうよ!」に繋がっているのです。




お知らせ

<開催決定>2024年4月13日(土) 「第8回 日本橋日本酒利き歩き」


2024年秋 に「福徳の森日本酒祭 | morinomi7」の開催を予定しています。


イベント情報はこちらから

https://blog.sasas.jp/






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