最先端の素材加工に挑戦し続けて60年 複合材加工の未来を切り拓く株式会社共和製作所のストーリー
愛知県碧南市に本社を置く株式会社共和製作所(代表取締役社長 河口 治也、以下、共和製作所)は1962年の創業以来、金属加工を中心に事業を展開してきました。近年では、時代のニーズに応え、CFRP(炭素繊維複合材料)やNFRP(天然繊維強化プラスチック)などの複合材加工に注力し、高い技術力と実績を積み重ねてまいりました。2022年1月には創業60周年を迎え、更なる飛躍に向けて歩みを進めています。共和製作所の創業から現在までのストーリーと加工への想いをご紹介いたします。
[創業ストーリー]
・創業期(愛知県大府市):1962年~1973年
静岡県で兄の経営する金属加工会社で腕を磨いた河口幸雄(かわぐちゆきお)は、自らの夢を実現するため、1962年に製造業が盛んな愛知県に金属加工の会社を創業しました。当時、工場があった大府市共和町という地名に因んで「共和製作所」と名付けました。
創業当初は、切削加工による工作機械部品が中心でしたが、1964年に豊田工機株式会社(現在の株式会社ジェイテクト)との取引を開始し、熟練の職人たちを集めて、自動車部品の生産体制を整えました。自動車産業の発展と相まって、仕事量は飛躍的に拡大していきました。
・成長期(愛知県東海市):1973年~2008年
1973年に法人化し、株式会社共和製作所となりました。1980年には新たな加工に対応する設備を導入するために、東海市に東海工場を建設しました。そして1984年には東海工場を拡張し、追加の設備導入や大府工場の主力設備を移設するなどして、東海工場を本社と位置づけました。また、この時期には様々な最先端素材の加工に挑戦したことで事業はさらに拡大しました。
1993年には、これまでの取り組みが評価され、愛知県より中小企業指導事業に関する優良受診企業として認定を受け、表彰されました。
・第二創業期(愛知県東海市):2008年~2022年
2008年のリーマンショック時には、それまでの最先端部品の受注により困難を乗り越えることができました。しかし、その後は仕事量の減少や次期型案件の受注に失敗したため、徐々に業績が低迷しました。
この現状を打破するため、2011年に創業者の河口は長年の知人でもあり、株式会社デンソーでの手腕も高く評価していた社本治也を後継者として迎え入れたいと打診しました。社本も河口の想いに共感し、河口幸雄の養子となり、代表取締役社長に就任いたしました。
2014年には河口治也の発案で、第二創業と位置付け、金属とは全く異なる素材であるCFRP(炭素繊維複合材料)の研究を開始し、2016年には加工を開始しました。2017年にはCFRP事業のブランド「蕨山Carbon(ワラビヤマカーボン)」を、2021年にはCFRP導入コンサルティングを行う「reoneite(リオネイト)」を立ち上げました。また、2020年には金属加工業から撤退し、事業を複合材の製造・加工・販売、導入支援に特化しました。
・再成長期(愛知県碧南市):2022年~
2022年には、生産性向上とセキュリティ強化を両立するために、碧南市に本社工場を新築し、移転しました。この時期から、高付加価値のCFRP製産業用部品に注力しています。また、CFRPの認知を高めるため、機能性とデザイン性を兼ね備えたインテリア・エクステリアブランド「CDI(Carbon Design Interior)」も立ち上げました。
2023年からは、環境に配慮したNFRP(天然繊維強化プラスチック)の切削加工を開始し、現在は、より高精度な微細切削加工に挑戦しています。
※インシュレーター・・・オーディオ機器本体と機器接地面の間に挟み込み、振動の相互影響をコントロールして整え、音質向上の役割を果たすアイテム。
[加工の挑戦の歴史]
共和製作所は、「技術力」と「行動力」でモノづくりに貢献するという理念を掲げ、最先端素材や特殊加工に挑戦し続けてきました。ここに、その挑戦の歴史を一部ご紹介します。
<金属>
- 1980年 自動車のシャフト部品の特殊加工(セレーション加工)に挑戦
- 1994年 自動車の電磁弁部品に使用される「純鉄」の加工に挑戦
- 1999年 自動車の駆動部品に使用される「焼結金属」の加工に挑戦
- 2004年 自動車のカムシャフト部品に使用される「熱間鍛造品」の加工に挑戦
<複合材>
- 2014年 CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工に挑戦
- 2017年 GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の加工に挑戦
- 2020年 AFRP(アラミド繊維強化プラスチック)の加工に挑戦
- 2022年 メタプラ(リサイクル製の特殊工法CFRP)の加工に挑戦
- 2023年 NFRP(天然繊維強化プラスチック)の加工に挑戦
- 2024年 粉末状の炭素繊維を含んだ特殊なPEEK樹脂の加工に挑戦
※セレーション加工・・・多数の溝を加工する加工方法。
※純鉄・・・粘りがあり、バリが出やすく、加工が難しい難削材。
※焼結金属・・・硬くて脆いので、精密な加工精度を出すのが難しい難削材。
※熱間鍛造品・・・強度があり、粘りと靭性に優れているので、精密な加工精度を出すのが難しい難削材。
※メタプラ・・・廃材のカーボン繊維と熱硬化性樹脂を混合し、独自の抄造(しょうぞう)工法を用いて製造した新素材。小嶋工業株式会社の商標登録。
[事業のご紹介]
現在の共和製作所の主な事業は、以下の2つです。
1. 複合材加工
- CFRPやNFRPなどの複合材の精密切削加工、微細切削加工
- 複合材の材料設計、特注品の製作受注
- 複合材製品の開発・導入支援
2. コンサルティングサービス
- 複合材の導入・活用による生産性向上や改善提案
- CFRP基礎セミナーとCFRP導入活用セミナー
[CFRPの導入について]
ここでは、代表的な複合材の一つであるCFRPの産業用部品としての導入メリット、導入実績と事例、そして共和製作所の強みをご紹介します。
<CFRP部品導入メリット>
- CFRPは熱膨張が無く、錆びないので、工場内の温度や湿度の管理が不要
- 精密加工機では、熱膨張による加工不良が発生せず、補正作業も必要ありません
- 精密加工機やロボットハンドなどの場合、CFRPの高い振動減衰力により、動作が安定し、さらに静音化も実現できます
- CFRPは繰り返し応力に強く、変形もしないため、長期間、交換なしで運用可能
- CFRPは軽くて高強度の為、軽量化が可能。また、軽量化により、他の部品や駆動部への負荷を軽減
<CFRP部品の導入実績>
- 自動車、バイク、自転車
- 空飛ぶクルマ、ドローン
- 鉄道車両
- 精密加工機、ロボット
- 放送機器、音響機器
- 医療機器
<CFRP部品の導入事例>
実際にCFRP部品の導入に至った事例をご紹介します。
導入事例1:スライドパーツ
「導入した経緯」
軽量化の為、加工機の部品(スライドパーツ)を鉄からアルミに変更したが、多くの問題が発生した。そこで材質をアルミからCFRPに変更した。
「導入した成果」
・加工の精度が安定し不良率が下がった。
・不良が減ったので材料代も減った。
・作業時間の短縮で生産性が向上した。
「成果の要因」
・アルミ部品は高熱膨張性により部品のサイズが変わり、精密な加工機の精度が落ちていた。CFRPに変えたことで熱膨張は起こらなくなった。※熱膨張率[ppm/℃]はアルミ=23.5、CFRP=0.1~3
<共和製作所の強み>
「切削加工」
- 金属部品と同形状・同精度のCFRP部品製作が可能
- CFRPブロック材から複雑形状の立体切削が可能
- CFRP表面の薄削により、高精度な平面度を実現
- 工具と工法の研鑽で、積層剥離の無い、美しい加工面(断面)を実現
- 切削加工ならではの、ねじ切り加工、ヘリサート(インサート)タップ加工、ザグリ(ポケット)加工などに対応
「製品化への支援」
- 用途に合わせたCFRP材料設計(強度・サイズ等)を製作時点から実施
- CFRP部品の弱点を補う複合部材(特殊鋼との組み合わせ)製作
- 3次元画像測定機・画像寸法測定器による、小物から大物まで同時測定・検査
- 図面のない製品も、上記機器で図面作成可能
- 切削加工のため金型不要、試作品製作も容易
- 材料調達~図面作成~加工~検査~納品まで一括対応、供給最適化
「導入への支援」
- CFRPの持つ複数の特性を活かした材料・部品設計の提案
- 既存の金属部品から CFRP部品への置き換えに関するメリットや注意点などのサポート・提案
- ロボット、設備、専用機へのCFRP部品導入のノウハウがあり、様々な製造業の支援に対応可能
- 導入支援担当者は株式会社デンソーで工程改善の実績があり、トヨタ式改善や工場管理も可能
[設備紹介]
<加工設備>
共和製作所では、複合加工機、マシニング、電動切断機などの加工設備を保有し、製品に合わせて最適な加工を行っています。
<測定・検査設備>
画像寸法測定器や3次元測定機などの測定・検査設備を導入し、高精度な製品づくりを実現しております。
<セキュリティ対策>
窓枠には全面にアルミ柵を取り付け、さらに工場内外に防犯カメラと人感センサーを設置しております。不審者が侵入した場合には、警備と従業員に通知が届くシステムを構築しております。
[ブランドのご紹介]
<蕨山Carbon>
CFRP事業の総合ブランドです。CFRPの切削加工技術をメインに、産業用部品を中心とした試作品や量産品の製作、材料や加工製品の販売を行っております。CFFPの認知拡大を目指しており、スーパーGTのドライバーのスポンサー活動も行っております。
<reoneite(リオネイト)>
CFRP導入コンサルティングサービスです。企業の課題を抽出し、解決のための専用CFRP加工部品を提案いたします。CFRP加工部品導入を支援するセミナーも開催しております。
<CDI ~Carbon Design interior~>
CFRPの機能性と意匠性を活かしたインテリア・エクステリアブランドです。インテリアではルームランプ、額縁、テーブルなどを製作。エクステリアでは表札、看板などを製作。建築部材としても活用しております。
[河口社長の想い]
『共和製作所は常に複合材加工のリーディングカンパニーを目指します』
CFRPをはじめとする複合材は、自動車、航空機、ロボット、医療機器など、様々な分野で注目されています。しかし、CFRPの加工は難しく、その性能を最大限に引き出すには高度な技術と経験が必要です。当社は、長年培ってきた切削加工技術と、常に難削材に挑戦してきた社歴があります。これにより、複合材の切削加工においても、他社よりも常に半歩先を行く高度な技術を確立してきました。高精度な加工はもちろんのこと、複雑な形状にも対応できる高い技術力と、豊富な経験を有しています。
今後も、技術革新に積極的に取り組み、複合材加工のリーディングカンパニーとして、お客様のニーズに応えてまいります。そして、複合材の可能性を広げ、新たな時代を切り拓くことで社会に貢献してまいります。
代表取締役社長 河口 治也(カワグチ ハルヤ)
1977年に名古屋大学工学部建築学科を卒業。1977年に株式会社デンソーに入社。1級建築士/1級土木施工管理技士の資格を保有し、同社の本社(愛知県刈谷市)や各種施設の設計などを行う。その後、株式会社デンソーファシリティーズ・初代社長、株式会社デンソー大安製作所・所長を歴任。2011年に株式会社デンソーを早期退職し、株式会社共和製作所に入社、代表取締役社長に就任。
[会社保有資格・認定]
1 級建築士
1 級土木施工管理技士
第1級陸上特殊無線技士
第2級海上特殊無線技士
無人航空従事者試験1級
DPAドローン操縦士回転翼3級
第3種電気主任技術者(電験3種)
第2種電気工事士
1993年 愛知県庁 「平成4年度愛知県中小企業指導事業に関する優良受診
企業等」認定
2022年 経済産業省 「令和4年度 事業継続力強化計画」認定
2022年 愛知県庁 「経営革新計画」認定
2023年 中小企業庁 「経営力向上計画」認定
2018年 特許庁 「蕨山Carbon 商標登録証」取得(登録番号:6109173号)
2019年 特許庁 「ワラボン 商標登録証」取得(登録番号:6115449号)
2022年 特許庁 「reoneite 商標登録証」取得(登録番号:6653941号)
2023年 特許庁 「CDI 商標登録証」取得(登録番号:6671509号)
[会社概要]
会社名:株式会社共和製作所(キョウワセイサクショ)
代表取締役社長:河口 治也
所在地:〒447-0857 愛知県碧南市大浜上町二丁目35番地2
電話番号:0566-70-8481
創業:1962年1月
設立:1973年12月
資本金:1000万円
従業員数:4名
事業概要:CFRPを始めとした複合材の製造・加工・販売とその導入支援
会社ホームページ:https://www.kyowa-tokai.com/
CFRPプレート(材料)の販売サイト:https://cfrp-plate.com/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ