幸せと資源を循環させる【究極の浅煎りコーヒー】で新たな選択肢を提案するalt.coffee roasters
コーヒーと消費の形に新たな選択肢を提案するスペシャルティコーヒー専門のロースターカフェ「alt.coffee roasters(オルトコーヒーロースターズ)」。
“コーヒーはフルーツ”を実感できる、究極の浅煎りスペシャリティコーヒーをワイングラスで提供している、栄養士であり焙煎士である中村千尋が京都・二条で開業した自家焙煎カフェです。
栄養士としての科学的な知見を活かして、豊かな香味が持続するコーヒーや、天然素材・国産食材にこだわった白砂糖を使わないギルティーフリーのヴィーガンスイーツ作りの他、発展途上国と自然環境を守るフェアトレード豆の取り扱いやエコ製品開発など、2019年3月にオープン後、生産者や環境問題、健康に配慮した店舗運営をしてきました。
栄養士・焙煎士としての経験と研究を重ねて開発した、”豊かな香味が持続する”コーヒー
オルトの特徴は、豊かな香りと美味しさが持続する“極浅煎り”のコーヒーです。最近少しずつ注目を浴びるようになった浅煎りコーヒーでは、香り・味のピークが淹れた直後の短時間に限られてしまうことが多いのですが、オルトでは、豆の多様な持ち味や風味変化を活かしながら、冷めても美味しさが持続する、特別な一杯をご提供しています。
これは、素材ごとの成分進化をあらかじめ予測した温度管理など、栄養士としての経験と、日々の気温や湿度など小さい変化に合わせた抽出方法などを行っていた、オーストラリアでのバリスタ経験、研究を重ねて磨いた焙煎技法が組み合わさって実現することができました。
店舗では、世界各国の厳選したスペシャリティコーヒーの他、季節ごとに3種類のドリップコーヒーを飲み比べて楽しめる「コーヒーフライト」、海外で人気の「フラットホワイト」などコーヒーメニューーの他、杏のような優しい甘さが広がる「オーガニックコーヒーチェリーフィズ」や、栄養士を活かしてコーヒー産地に合わせ美味しさが引き立つように開発した天然素材スイーツとの「コーヒーペアリング」セットなどをご提供してします。
児童福祉施設の教師を経て、コーヒーの本場で修業しバリスタに。
私は短大を卒業後、栄養士と栄養教諭の資格を活かして、京都にある児童福祉施設に就職して、子どもたちに食育やお菓子作りを教えていました。児童福祉施設ということから、障がいを持つ子どもと接する機会も多く、日々一緒に過ごしていく中で、障がいを持つ方の賃金の安さに疑問を持つようになりました。
何か自分にできることはないか―。
自分がカフェを持ち高品質なコーヒーを淹れられるようになれば、彼らや彼女たちが作る焼菓子と一緒に提供することで支援に繋がるのではないか。
特別なコーヒーを作ってカフェや個人として少しでも有名になって、カフェという空間を利用して社会問題の発信をできれば、支援に繋がるのではないかと考え、一念発起。「コーヒーの首都」と呼ばれる、オーストラリア・メルボルンに渡り、バリスタを目指すことになりました。
もともとコーヒーを飲む方ではなかったのですが、視察も兼ねて旅行で訪れたメルボルンの本場の味に感動。フルーティーな浅煎りのコーヒーに衝撃を受け、“コーヒーは苦いもの”という先入観が崩れました。また、現地のカフェではフェアトレードが当たり前、街中でのボランティア活動も盛んで、社会問題や環境問題への意識が高く、さまざまな取り組みがとても進んでました。
世界に目を向けてみれば、障がいの有無や、子ども・大人に関わらず経済的に恵まれない環境で生活している人が大勢いることが分かり、生産地である途上国の労働問題や環境問題にも興味を持つように…。気付いたら「カフェを通じて、色々な社会的な課題を解決したい」と思うようになってました。
そして、5年間務めた児童福祉施設を退職して、一切喋れなかった英語とコーヒー学びに、メルボルンに渡りました。その後、現地のカフェでバリスタとして働きながら修業。コーヒー豆の焙煎は、有名なカフェでも別のロースタ―(焙煎所)で行っていることが一般的なので、メルボルンの焙煎所に視察に行ったり自分の家で試行錯誤しながら、独学で身に付けました。
帰国後も日本のカフェでバリスタをしながら少しずつ貯金をして、ようやく自分のお店である「alt.coffee roasters」を2019年にオープンし、現在にいたります。
身近な人も、自然も、地球の裏側に住んでいる人も、笑顔に。幸せと資源を循環させるカフェにしたい。
もともと障がい者さんの支援を少しでもできたらと始めたお店ですが、コーヒーはさまざまな社会問題と密接に関わっており、世界の裏側で誰かが犠牲を払ったり、悲しい想いをしたりしてほしくありません。
そのためお店では、コーヒー全体の中でもトップ数%に入る品質の良さで、コーヒー農家の方にきちんと労働対価が支払われていて、環境問題に配慮した生産方法の”スペシャルティーコーヒー”だけを厳選しています。その中でも、小規模な農家さんや、国際的な表彰実績がなくても光り輝くものがある産地の豆をできるだけ選んで、有名さ・人気さだけで豆を仕入れないように心がけています。
今では、国内外からコーヒー好きの方が立ち寄っていただけるようになりました。たまたま観光できていた本場・オーストラリア人の方が「向こうのより美味しいよ!」と言ってくれたり、「日本で飲んだ時のコーヒーの味が忘れられない」と話した旦那さんの誕生日プレゼントのために、わざわざ奥さんが海外まで送れないかとメールで問い合わせくれた時は、とっても嬉しかったです。また、障がいを持たれる方とのイベントなども数回実施することもでき、少しずつですが歩みを進められています。
私にとってコーヒーは、世界を広げてくれたとても大切なもの。これからも極めて、もっともっとおいしいコーヒーを提供したいと思っていますが、同時に、あくまで手段の一つだと考えています。
何も、誰も、我慢せずに、地球と社会にいいことを。
お店で提供している手作りケーキやベーグルサンドも、すべて植物性原料だけで作ったヴィーガンフードにしています。動物の命も大切なのは勿論、放牧による森林伐採で他の動物の居場所が減ったり、家畜が出す温室効果ガス、世界の穀物の40%が飼料として消費される食糧問題など、色々な問題が関わっています。オルトでは、お客さまの健康や日本の自給率にも貢献したいと思っているので、健康に影響する白砂糖ではなく、甘酒を使用したり、国産食材を選んでいます。
また、コーヒー生産地の環境問題の改善や農園の新たな収入に少しでも繋がるように、従来は大量廃棄され環境汚染の原因にもなっていた果肉部分“コーヒーチェリー”を活用したドリンク・メニュー開発などを行ってきました。
ケーキの生地やシロップなどの材料も、すべて手作りしていて、「ビーガンレストランよりもおいしい」と仰って下さる方もいるのですが、メニューの価格は抑えるようにしています。どれだけいいものであっても、手が届かないものであれば広がらないからです。
おいしさも、生産者の生活も、環境・社会問題の解決も、お客さんの健康も、皆の笑顔も、全部、両立したい。
日々の何気ない選択や行動が、誰かを傷つけ犠牲にしていることも、
他者のためと想いながら、自分を我慢しながら選択することも、
どちらも本当に心から笑顔になれるのでしょうか?
“必要な犠牲”や”トレードオフ”なんて一言で片づけてしまうこともできますが、私は、どれも実現できる道を選びたいと思っています。
カフェという身近なものを通して、ただの消費ではなく、お店に来て下さった方や、生産者さんなど、皆の笑顔に繋がる、新しい消費の形が世界に広がってほしいという想いから、店名の“オルト”には、『新たな選択肢(alternative)』という意味が込められています。
社会的な取り組みを、より広げていくために
世界では毎年、5,000億個のプラスチックカップが使用されていて、オルトではこれまで再生紙のエコカップを使用していましたが、最近では、いつでもコーヒーやエコ活動を楽しめるような折畳み&携帯可能なエコカップや、ただゴミとして捨てられていたコーヒーの豆かすを使用した無添加せっけんを作りました。
コロナで売上が激減し存続の危機に
実はコロナウィルスの打撃を受け、もう閉店しようとも考えていたのですが、この状況下でたくさんの方から温かいメッセージをいただき、私が想像していた以上に多くの方が、この場所を大切に思ってくださっていることを実感しました。
常連さんからは「京都に来たときに唯一ほっこりできる場所」
日本に住んでる外国人の方からも「ここは唯一、外国人としてじゃなくて普通の人として接してくれる人間にかえることができる場所」
など本当に私には勿体ない言葉ばっかりで本当に感動して、感謝の気持ちが溢れました。「ここは私だけのものじゃなくなったんだなぁ、そしたら絶対に守りたいなぁ」と思うようになりました。
正直、潰れるときは仕方がないとまで思っていました。ただ、私一人で始めたお店でしたが、本当にありがたいことにいつの間にか、ここを残してほしいと私以外の人が思ってくださっています。
だからこそ、なんとかしてお店を残していく方法がないかと考えた結果が、クラウドファンディングでした。もう自分だけの場所ではないからこそ、なんとかして皆さまと共にここを残していきたい、そう思って挑戦しました。
その結果、皆さんからの応援や拡散が広がり、数週間で目標金額を達成する事ができました。
最初は私一人で始めたこんなに小さなお店に、クラウドファンディングを達成できるほど応援して下さる方が、こんなにいるなんて本当に想像もしていませんでした。
この経験は、私が死ぬ時にも絶対に思い出すと思えるほど、そのくらい皆さんの優しさ思いやりの気持ちが心に染み渡っています。
社会全体がこのような状況でも、手を差し伸べてくれる人がいる、そんな素敵な発見を胸に、どんな時も人として正しい行いが出来るように、日々精進してもっともっと頑張ります。そして、カフェを通じて、幸せと笑顔、資源を循環させるという、私の夢を実現するために、これから一歩ずつ進んでいきます。
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