「人生って意外と 捨てたもんじゃないよ。」
そんな時に転機が来た。
それが今の妻との出会いである。
妻に出会わなければ治療をする事なんて出来てなかった。
何故なら治療への気持ちを自分の事の様に考えてくれ、
治療費を立て替えてくれると言った。
本当の男になったオレと結婚したいと言ってくれた。
情けない話だが事実だから隠さない。
どこまで他人頼りなんだって思われて当然だと思うから。
でもどうしても治療したかった。
男になりたかった。
高校の時の先輩が戸籍変更まで済ませていたので、嫁と2人で相談をしに行った。
先輩に治療の事を詳しく聞いた。
先輩は親身になって自分の体験を語ってくれた。
先輩は国内で男性ホルモン治療とおっぱいを取り、
タイで子宮と卵巣の摘出手術を受け戸籍変更をしていた。
タイは性別適合手術の技術が進んでるし費用も国内より格安。
国内で性別摘手術を実施している病院は数える程しかない。
一通りの話を聞き帰宅。
妻と二人で今後の治療について話し合った。
そして長年の夢だった治療を開始したのは
34歳と10ヶ月の2012年6月だった。
ここからはオレの治療履歴を書いて行こうと思う。
本来であれば、日本精神神経学会
「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に沿って、
まずは性同一性障害に精通した精神科にてカウンセリングを行い、
2名の医師の診断書(意見書)を受けてからの身体的治療に進むのが望ましい。
なぜなら一度身体的治療を始めたら、もう二度と元の体に戻ることが不可能だからだ。
これを承知の上で、自己責任でホルモン治療を先に開始した。
もし今後、治療を考えている人が居るんだったら、
あまり参考にならないのかもしれない。
基本的にはガイドラインに沿っていなければ、
国内での性別適合手術は不可能に近いから。
だから途中からガイドラインに沿う事にした。
もしガイドラインに沿わなくても性別適合手術が出来る病院があるならば、
そこでの治療は勧めない。
命を預けるのは危ないと思うから。
実際、おっぱいを取る手術で麻酔から目が覚めず亡くなった人もいる。
格安とか条件が緩かったりするにはやっぱり理由があると思う。
① ホルモン治療
まずはホルモン治療から始めた。
先輩が通っている病院(泌尿器科)を紹介してもらい受診。
先輩も同行してくれた。
経験者が側に居てくれるから心強い限りだ。
先生に事情を説明してホルモン治療を開始したいとお願いした。
先生は先輩のホルモン治療を行っているので、性同一性障害に理解があり
面倒臭い話もなく、治療を快諾してくれた。
早速その日に男性ホルモンの注射を打ってもらった。
今後は2週間に1度の間隔で注射を打つことに。
1本目の注射を打った時の事は一生忘れないだろう。
今までの自分じゃなくて男に一歩近づけたと思っただけで
大声で叫びたい位に嬉しかった。
思わずスキップしちゃいそうだったわ(笑)
そういえば家に帰って嫁にも自慢気に注射を打ったおしりを見せびらかしたっけ。
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