第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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著者: Shono Maho



でも、また叱られるし失敗もしてしまう。

お風呂で泣きながら何度も貼り直した絆創膏をやぶりすてた。




そしていつも怖くて不安だった。

両親が別々で暮らすことがあったら、

こんな私は引き取ってもらえないだろうと思っていた。




なんで私だけこうなんだろう。なんでうまくやれないんだろう?

こんな自分で、悔しくてたまらなかった。




バスタブで泣きながら、

小さいころの記憶と感情がとめどなく溢れてくる。




私はこんなにためてしまっていたんだ。

感情はなくならないんだ。昔我慢した感情は身体の奥にたまっているんだ。




出てくる感情の波を、少し大きくなった今の私が、泣きながら受けとめていた。




胸の中に、小さなあの頃の自分がいる気がする。

それはボロボロで自信がなく、傷ついた私だった。







ごめんね、きつかったね。ずっと我慢させてたね。




ずっと置き去りにしていた、あの頃の自分に話しかける。




でも、胸の中の小さな私はお母さんの事で悲しんでる訳じゃなかった。

怒られたこと、うまくいかないことで傷ついてるわけじゃなかったんだ。





嫌い。  大嫌い。 なんでうまくやれないの?


なんで失敗するの?   どうしていつもそうなの?


   私なんて大っ嫌い!




それは誰でもなく、私自身からのことばだったのだ。

私は、わたしからの、そんな言葉の刃でズタボロだった。





世界で一人しかいない自分を一番認められなかったのは、私だったんだ。

そう、私を一番嫌っていたのは私だった.....。





自分を愛する生き方を許可してみて。





作家さんの言葉が響く。





もういいんだ。私はわたしで。

できないのもダメなのも、全部私なんだ。

もうそろそろ自分を愛そう。

自分を許そう。



自分を愛することを、自分に許そう。




わたしは胸の中の小さなわたしを、思いっきり抱きしめて言った。




 「 もうそのままでいい。

   そのままの自分でいいんだよ。

   愛してるよ。」




それは小さい時、一番言われたかった言葉だった。




ずっと待っていた言葉を、やっと言ってもらえた。

少しおおきくなった私から、言ってもらえたんだ。




私は私を抱きしめながら、何度も何度も繰り返していた。

胸の痛みはいつの間にか大きなあたたかさに包まれて消えていた。



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