第11話 人生を変えた旅ペルーⅡ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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そして”怖い”という思いのまま街を歩くと、全然いいことがなかった。

むしろ、悪いことばかり起こる。



ヒッピーに騙されてお金をせびられたり、

物乞いのおじさんにしつこく追いかけられたり。



そして逃げるようにして入ったのは

あの馴染みのロゴマーク『スターバックス』だったのだ。




まほ
分かんない。何でここにいるのか、何のために旅に出たのか。分かんない。分かんないよ!!!




なっちゃんに溜まりに溜まった弱音を聞いてもらい、そして電話を切った。

キャラメルフラペチーノを持ったまま、涙目でボーっと一点を見つめていた。


旅に出た後悔すら湧いていた。




AKIRA
maho?? Hola!

※hola はスペイン語での挨拶



あ!



急に名前を呼ばれ顔を上げる。そこにはカップルが立っていた。




クルクルの髪のアニーみたいなブラジル人の女の子と、

いかにも旅人、というイタリア人の男の子。



ーケイシーとアキラだ!



名前を思い出した。

昨日もこのスタバで会ったんだ。



ふたりは小さなクッキーを半分こしている。

お金を節約しているのだろ。

wifiを使いに来たみたいだった。



そのとき、私をチラチラ見ながら彼らは言った。



AKIRA
まほ、いつもここににいるね。



そしてアキラとケイシーは顔を見合わせてニヤニヤ笑った。



言葉はよく分からないけれど、

その行動、空気、表情、間、すべてに、カッチーンときた。

馬鹿にされているのが分かる。



頭に血が上るような感覚。恥ずかしさ。情けなさ。怒り。


全部が同時に来た。



それから彼らは私にスペイン語と英語を駆使しながら

なにやらアドバイスらしきものを話し始めた。



「もっとスペイン語勉強しろ」とか、「外に出てバーに行け」とか、

「ツアーに参加しろ」とか



早くてよく分からない。

でも単語単語をつなげると、そんなことを言っているのが分かる。



だけれどもう、とにかく腹が立ってそんなの聞けなかった。

そんな忠告も、よけいなお世話だ!!という感じだ。



でも語学の出来ない負い目か、

悔しいことにヘラヘラと愛想笑いの適当な相槌しか打てない。



とにかくその場をやりすごした。

二人が早く目の前から消えてくれるのを待っていた。



気が済んだのか、クッキーを食べ終わり、

彼らはササッと用事を済ませお店を出ていった。



ふたりのイチャイチャする後ろ姿がドアの向こうに消えていく。



その途端、また我慢していた怒り、いいようのない感情、

悔しさ、全部が渦巻いてあがってきた。

こんな感情久しぶりだった。



アキラとケイシーに腹が立った。

でも知っていた。

本当は自分に腹が立っていたんだ。



情けなくて、悔しくて、しかたなかった。

言葉が話せないのも、怖くて動けないのも、

何をしていいかも分からないのも、全部嫌だった。



それから、その場で紙とノートを広げ、

指さしスペイン語アプリに書いている単語を全部ノートに書き写した。

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