第11話 人生を変えた旅ペルーⅡ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
空に星がポツポツと出ていた。
窓には私の顔が反射して、外が見えにくい。
でもまだ薄茶色の砂の道が続いているのが見えた。
ー夢か。
どちらが夢かよく分からないまま、
ポケットに入れた携帯を取り出す。
そのまま、外の明かりを頼りに
携帯にさっきの詩をメモした。
まだハッキリ覚えていた。
まるで、耳元で教えてもらったかのようだ。
書き終わると、そのままポケットに携帯をしまう。
窓の間から、外の風が少しだけ、ひんやりと入ってきた。
不思議な夢だった。
こんな夢、今まで見たことがない。
ぼんやり思いながら、またうつらうつらと眠りに入っていく。
ガタガタと車体を揺らしながら、バスはまだ走る。
不思議な夢とともに、長い長い道のりを、私をクスコまで運んでいった。
クスコからの旅が、何か変わるような気がした。
そんな予感だけがやってきた。
そしてまた、うとうとと深い眠りに落ちてしまった。
目が覚めると、早朝、バスはクスコへ着いていた。
第7章 アンパンマンマーチ。
分かりづらかったでしょ。
まきさんから紹介された、クスコの日本人オーナーの宿を訪ねる。
その宿はまきさんが25歳の旅のとき、お世話になった宿だった。
朝早いのに、快く宿に入れてくれる。
早朝揺り起こされるように、クスコの街に着くと、
朝6時前にはバスから出された。
クスコの街は、ヨーロッパの雰囲気がする素敵な街だった。
教会やセントロ、商業的な雑多な店たちを、ぐるりと大きな山が囲んでいる。
そのおかげで観光地なのに柔らかい風が吹いていた。
旅の計画はもちろんなかった。
なんとなくの日にちを、とりあえずオーナーに伝える。
彼女も元旅人だ。その辺の融通は効かせてくれるだろう。
彼女は2つベッドのある、木で出来たかわいい部屋に案内してくれた。
宿泊客は、私一人だった。
荷物を置いて、早速セントロへ出ることにした。
初めて、本当に一人で行動する。
ようやく一人旅が始まった!そんな感覚だった。
心のなかはワクワクでいっぱいだった。
どんな素敵な出会いが待っているだろう!
...の、はずだった。
そしてその2日後、私は泣きべそをかきながら『スターバックス』にいた。
それは安旅バックパッカーの中ではご法度とされる”逃げ場所”だった。
第7章 ケイシーとアキラ
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