第11話 人生を変えた旅ペルーⅡ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
分かんない。分かんないよ!!!
スターバックスでWIFIを拾い、
携帯で日本にいるなっちゃんに半泣きで電話をかける。
日本の1/3の物価のペルー。
しかし片手に持っているキャラメルフラペチーノは
絶対値引きはしませんというスターバックスの経営戦略のもと、
立派にも日本と同じ価格だった。
“ 旅先で「スターバックス」に行くやつは、負けだ ”
出発前に他の旅人から聞いていた言葉を思い出す。
ー...あ、それ今の私だ。
最高に情けない、敗北バックパッカーだった。
___
クスコへ到着してようやく本格的な一人旅が始まった。
最初はまだ楽しかった。
宿から一人歩いてセントロでペルー料理を食べたり
ペルーのおみやげ屋を覗いたりする。
公園で楽器を演奏するヒッピーたち。
石やアクセサリーを布の上で売っているペルー人。
見るもの全部が目新しくて新鮮だった。
しかし、3日目の朝、目覚めると私の中で大きな疑問がやってきたのだ。
ーあれ?私、何のために旅に出たんだっけ?
そしてその疑問の波は、私を大きく飲み込んでしまった。
“ ペルーに行く!”そう決めてから、
目印の置き石が置いてあるかのように必ず必要な「出会い」があった。
それは”前兆”だった。
そして行くべき場所に、ちゃんと私を運んでくれる。
リョニーさんとの出会いも、その時間や空気、全てパーフェクトだった。
だけど今、クスコの街を歩いても,ピンとくる人に誰にも会わない。
まず、日本人に一人も会わないのだ。
そして”前兆”らしきものが、全く見当たらなかった。
見知らぬ街を歩くだけで刺激的なはずだけれど、
”充実感”や”ワクワクする”ような思いは、全く湧いてこない。
ーえっと、何しにペルーに来たんだっけ?
ー旅ってなんだ?
旅なら、”観光”にでも行くもんだろう。
そう思ってツアー会社を覗いてみるものの、全くこころは動かない。
ーあれ???
ー私、なんで旅に出たんだ?何すればいいんだ??
まるで振り出しに戻ったような気分だった。
どうしていいか分からなかった。
思えば謎の勘と、本の主人公と同じ誕生日というだけでペルーに来たのだ。
最初から私の旅に出た目的はよく分からなかった。
そのあと”前兆”をたどって流れるようにここまで来たけれど、
クスコへ来てから、その辿る”前兆”も見当たらなかったのだ。
そうなると、急に怖くなった。
入ったお店屋のメニューも訳の分からないスペイン語。
話しかけられても言葉が分からないからコミュニケーションがとれない。
道も聞けない、タクシーにも乗れない。
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