【第八話】『旅人になった日』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
ずぅーっと、変わらない道。
目に見えるのは、
大月カントリークラブまであと…
時刻は午後4時を回った。
まだ変わらぬ景色を歩いている。
このままでは日が暮れる…。
夜になったら、危険だ。
何せ、街灯なんてありゃしないんだから。
大月…
ラジオの交通情報で、よく大月JCTって聞くな。
大月はきっと大きな街だ!
今日のゴールは大月駅にしよう!
駅前ならどこか宿があるだろう。
1日目にして、ゴール変更…。
しかし、この判断は正しかった。
やっと、山道を抜けた。
そしてついに…
大月カントリークラブ!
なんか感動した。
最初は12㎞先だったのに、今は350mで左折するところまで来ている。
すんげぇ歩いた。
そしてこの場所では、電車が走っている。
甲府行きの電車。
この電車や、僕を追い越していく車を見て思った。
人間はなんて非力なんだろう。
25㎞なんて、電車や車ならほんの数十分で辿り着いてしまう。
しかし、その距離を歩こうとすると丸一日かかる。
人間は非力だ。
世の中はどんどん便利になっていく。
しかしそれは、人間の知恵が優れているのではなく、
人間の非力さを必死で隠してきたように思えた。
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