【第八話】『旅人になった日』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
そんなことを思った。
それから、少し市街地に出たが、
山梨は、やはり神奈川とは違った。
街に、自然が溢れている。
当たり前にある景色から季節を感じ取ることが出来る。
「山梨県って良いところだな!」
甲州街道に入り、ひたすら歩く。
そこで、僕は第二村人に出逢う。
少し先に見える葬儀場から、2人の夫婦が歩いてきた。
60歳を過ぎたくらいだろうか。
おじさんと、おばちゃん。
僕は、声をかけられた。
おばちゃん:「どこまで行くの?」
僕:「日本海までです!」
おばちゃんはギョッとしていた。
そりゃそうだ。
山梨県で話しかけた奴が、日本海へ行くなんて、
後にも先にも聞いたことのない答えだろう。
おばちゃん:「まぁ、えらいわねぇ!」
なぜか褒められた。
僕は内心、
「全然えらくない。」
「仕事もしないで、周りの人に心配をかけ、更にはこの旅は死に場所を探すのが目的だ。」
「えらいどころか、僕は最低の人間なんだよ…」
と思っていたが、
おばちゃんは更にこう言った。
「若い子が頑張ってる姿は嬉しいわ。」
「時間があったら、うちでお茶でも飲んでいかない?」
この言葉でおじさんがギョッとした。
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